差異こそはすべて ALL YOU NEED IS GAP=広木隆
村上春樹の小説を面白いと思ったことがない。それでも、ガルシア・マルケスが死んだ翌日に日本で発売された彼の新刊本を手に取ったのは、そのタイトルに惹かれたからである。『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』から1年、短編小説集としては9年ぶりとなる村上春樹の新刊のタイトルは『女のいない男たち』。
ああ、これは俺のことだ、と思って買って読んだ。あっという間に読み終えた。特に、巻末に収められている表題作『女のいない男たち』は、ものの5分ほどで読み終えてしまった。本が発売されたのが金曜日。飲んで帰ったのでその日は読む時間が作れなかったが、土曜日の午前中、床屋に行って散髪中に読んだ。切った髪の毛が本にはさまるのを気に懸けながらの読書だったが、なにしろあっという間に読み終えてしまったのだから、あまり苦にならなかった。
『女のいない男たち』は散文なのか詩なのか。小説ではないと思う。僕には「散文詩」のように思えた。毎回のことだが、僕は少しも面白いと思わなかった。それでも若干ながら考えさせられる点があったのだから、まったく無駄な時間を費やしたわけではない(そもそも散髪をしていた時間だ)。考えさせられる点というのは「単数形・複数形」という問題についてである。…
(執筆者:広木隆 マネックス証券チーフ・ストラテジスト 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
村上春樹の小説を面白いと思ったことがない。それでも、ガルシア・マルケスが死んだ翌日に日本で発売された彼の新刊本を手に取ったのは、そのタイトルに惹かれたからである。『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』から1年、短編小説集としては9年ぶりとなる村上春樹の新刊のタイトルは『女のいない男たち』。
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2014-04-21 17:45