【為替本日の注目点】米11月の失業率6.7%に

 11月の雇用統計では非農業部門雇用者数が予想を大きく下回ったことを受け、ドル円は103円83銭まで売られる。ただ、その後は反発し、米長期金利の上昇や、経済対策が早期に実現するとの見方が支えに。  ユーロドルは1.21台後半から反落。週末を控え、利益確定の売りが優勢となり、1.2110まで下落。株式市場は3主要指数が揃って上昇し、最高値を更新。経済対策へ期待が高まりダウは248ドル上昇し、引け値で3万ドルの大台に。債券は反落。長期金利は0.96%台に上昇。金は4日ぶりに反落し。原油は続伸し46ドル台に。 11月失業率        → 6.7% 11月非農業部門雇用者数  → 24.5万人 11月平均時給 (前月比) → 0.3% 11月平均時給 (前年比) → 4.4% 11月労働参加率      → 61.5 10月貿易収支       → -631億ドル   10月製造業受注      → 1.0% ドル/円    103.83 ~ 104.24 ユーロ/ドル  1.2110 ~ 1.2171 ユーロ/円   126.18 ~ 126.54 NYダウ    +248.74 → 30,218.26ドル GOLD    -1.10   →  1,840.00ドル WTI     +0.62   → 46.26ドル 米10年国債  +0.060  → 0.966% 【本日の注目イベント】 日  10月景気先行指数(CI)(速報値) 日  10月景気一致指数(速報値) 中  中国11月外貨準備高 中  中国11月貿易統計 独  独10月鉱工業生産 米  10月消費者信用残高  11月の米雇用統計は失業率こそ「6.7%」と前月よりも改善していたものの、非農業部門雇用者数は予想を大きく下回り「24.5万人」でした。10月が「66.1万人」だったことから、雇用の伸びは大きく鈍化を示し、全米で拡大するコロナ感染の影響が出てきたものと思われます。  ドル円は発表直後に売られ103円83銭までドル安が進みましたが、その後ジリジリと反発し、104円台を回復しています。雇用統計の悪さを帳消しにしたのが、経済対策の早期実現観測でした。  民主党のペロシ下院議長と共和党のマコネル上院院内総務がともに景気対策案と包括的歳出法案の統合を望んでいるとのコメントが伝えられ、株式市場がこれを好感し、主要3指数は揃って最高値を更新しました。  ペロシ議長は2法案の一本化に関する質問に対し、「それが望ましい」と答え、景気対策協議のたたき台として9080億ドル(約95兆円)規模の超党派案を支持していると改めて表明しました。  ダウは248ドル上昇し、引け値で3万ドルの大台を大きく上回っています。先週はS&P500の上昇が目立ち、3主要指数が揃って最高値を更新するケースは見られない展開が続いていましたが、週末にようやく揃い踏みといった状況です。また期待外れの雇用統計の結果でしたが、市場はむしろ、早期の経済対策を促す材料として捉えているようで、雇用統計の悪化も足元の株価上昇基調には、存在感が薄かったようです。  英国とEUとの間で協議が続いている通商交渉は、未だに合意には至ってはいませんが、主な争点の一つである漁業権問題では、解決に向かう兆しも見えているようです。  双方は7日夕刻までの最終合意を目指しており、ジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員会委員長が同日夕刻に電話で直接協議する模様です。  ただ、交渉が遅々として進まない中、EU当局者の一人は、24時間以内に合意が得られる可能性は低いと警告していると、ブルームバーグは報じています。  新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、ワクチンの実際の接種が今週にも開始されそうです。英国では8日にも医療従事者から優先的には接種が始まり、米国でも10日の米食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可を出せば、11日にもワクチンの接種が始まる見込みです。一方でコロナの感染は、カリフォルニア州で1日の新規感染者数が過去最多となる3万75人を記録し、ノースカロライナ州でも新規感染者数と入院者数が過去最多となっており、NY市では感染状況が引き続き悪化しています。米ジョーンズホプキンス大学の集計では、世界の新型コロナ感染者数は6640万人を突破し、死者数は152万人を上回っています。  日本でも東京都で600人に迫る新規感染者が確認され、大阪、北海道でも高水準の感染が続いており、「新たなステージに入った」と指摘する専門家もいます。今週英国と米国でワクチン接種が開始され、その効果を見極める段階のようですが、一方で慎重論もあります。  調査会社ギャラップ社が11月に公表した世論調査では、新型コロナのワクチンを無料で接種できるとしても、接種を希望すると答えたのは、米国人の「58%」にとどまっていました。大規模な治験を経て、有効性が95%といった暫定結果であっても、その副作用はまだ不透明な部分もあります。  人間の心理と言えるのかもしれませんが、「出来れば他の人が受けて、その経過を見極めてから接種したい」と考える人が多いということのようです。日本でもこの傾向は変わらないと思われ、ワクチン接種が始まっても、これも、次の課題として考えておかなければなりません。  本日のドル円は103円70銭~104円60銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
11月の雇用統計では非農業部門雇用者数が予想を大きく下回ったことを受け、ドル円は103円83銭まで売られる。
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2020-12-07 10:00