【為替本日の注目点】ドル円約9カ月ぶりに102円台に

 ドル円は続落し、約9カ月ぶりに102円88銭まで売られた。米経済対策の合意が近いことや、金融緩和が長期にわたって継続されることなどが材料視され、リスクオンが強まったことが背景。  ユーロドルも続伸し、一時は1.2273までユーロ高が進行。株式市場はリスクオンが一段と強まり、3指数が揃って最高値を更新。債券は続落し、長期金利は0.93%台へと上昇。金は3日続伸。原油も買われ48ドル台に 新規失業保険申請件数         → 88.5万件 11月住宅着工件数          → 154.7万戸 11月建設許可件数          → 163.9万戸 12月フィラデルフィア連銀景況指数  → 11.1 ドル/円    102.88  ~ 103.16 ユーロ/ドル  1.2239  ~ 1.2273 ユーロ/円   126.03  ~ 126.52 NYダウ    +148.83 → 30,303.37ドル GOLD    +31.30  → 1,890.40ドル WTI     +0.54   → 48.36ドル 米10年国債  +0.017  → 0.933% 【本日の注目イベント】 日  11月消費者物価指数 日  日銀金融政策決定会合 日  黒田日銀総裁記者会見 独  独11月生産者物価指数 独  独12月ifo景況感指数 欧  ユーロ圏10月経常収支 英  英11月小売売上高 米  経常収支(7-9月) 米  11月景気先行指標総合指数 加  カナダ10月小売売上高  NYではリスクオンがさらに進み、「株高・債券安・ドル安」が一段と進行しています。米経済対策が合意に近いとの観測や、前日のFOMCで緩和政策が長期に継続されることが確認されたことなどが、市場の先行きに不透明感を覆っている「新型コロナ」に打ち勝っている状況です。  もっとも、上記材料に加え、「過剰流動性」が根底にあり、大量の資金が次の「ホットスポット」を求めて躍動していることも挙げられます。「リスクオン」の流れを受け、下げ基調にあった金が1900ドル台まで買われたことや、WTI原油価格が約9カ月ぶりの高値となる48ドル台半ばまで買われたことなどがそれを物語っています。要は、「カネ余り」が続いているということです。  ドル円は11月に記録した直近のドル安水準を割り込み、102円88銭前後までドル安が進みました。明らかに、「円高ではなくドル安」であることは、その他のドルストレートを見ても、クロス円でも確認できます。  ユーロドルは1.2273までユーロ高が進み、こちらは2018年4月16日以来の水準ですが、ECB高官からは目立ったユーロ高をけん制する発言はありません。NY株は「3指数が揃って最高値を更新」しました。これで今年は何回目の「最高値更新」になるのでしょう?。米ゴールドマンサックスは、トレーディング部門が好調なことから、賞与を20%増やす計画だと、ブルームバーグは伝えています。コロナ禍で職を失う人もいる中、対照的なニュースで「悲喜こもごも」といったところです。  安全資産の債券は売られましたが、こちらは思ったほど下げはきつくなく、「長期金利の1%超え」は近いようで遠い印象です。FRBが恒常的に市場から債券を購入していることで、金利上昇圧力はあるものの、1%を前に足踏み状態です。  米経済対策を巡り共和党のマコネル上院院内総務は、超党派合意が「間近だとみえる」と発言し、上下両院を通過させるため、「これを仕上げるまでわれわれはここに残る。週末を通した作業が必要になったとしてもだ。そうなる可能性は非常に高い」と述べています。ペロシ下院議長も「進展があった」と述べており、今週末にも合意の実現性が高まってきました。  またトランプ大統領も、議会指導部が48時間以内に経済対策で合意することを楽観していると、ホワイトハウスの報道官が述べています。昨日のNYの株高は合意を織り込んだ動きとも言えます。  もう一つの難問である英国とEUの通商協議の方は、お互いがある程度の歩み寄りを見せているようですが、最後の「漁業権」問題で折り合いがついていないようです。ジョンソン英首相は、「われわれは公平な競争環境でEUの合理的な要求に対応すべく、あらゆる努力をしている。しかし、相違は縮まったものの、一部の根本的な分野は難しいままだ」と語っています。一方相手側のフォンデアライエン欧州委員長はより具体的に、「英国との通商交渉では、特に『漁業権で大きな相違』がある」と述べています。  ジョンソン英首相とフォンデアライエン委員長は英国時間17日午後7時から電話会談を行うことになっていますが、ジョンソン首相は、「相違点を解消するのは非常に困難だろう」と、会談前に語っていました。  今週に入ってからは、ドル下落方向で見ていましたが、ドル円は目先の「岩盤」と見られていた103円を割り込んできました。ただ、今のところその動きは「一歩前進、二歩後退」といった動きで、まだドルの急落には至っておらず、いわば「想定内」の動きです。  3月に記録した101円台を目指していると見ていますが、上でも述べているように、米長期金利の推移には注意が必要です。足元では、市場全体の方向性を決めているのが「NY株の動き」です。これが市場全体を「リスクオン」に向かわせるかどうかを決定付けていると見られます。これがいつ「債券の動き」に替わるかもしれないからです。  本日のドル円は102円60銭~103円40銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続落し、約9カ月ぶりに102円88銭まで売られた。米経済対策の合意が近いことや、金融緩和が長期にわたって継続されることなどが材料視され、
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2020-12-18 09:45