中国「首都圏経済一体化計画」6月発表へ・・・天津、河北に産業を配分移転、北京は金融管理機能など重視、廊坊は「新たな副中心都市」か

 人民日報社が発行する中国経済周間(中国経済週間)誌は2014年第15号で(4月21、22日ごろ発売)、北京市、天津市、河北省を一体化して開発する「首都圏経済圏一体化計画」が6月にも発表されると報じた。同計画の焦点は北京から天津、河北への産業移転。金融については北京では管理を、天津では営業に重点を置くなど、各地域の地域特性を生かしながら配分する。北京市と天津市に挟まれた位置にある河北省廊坊市は、首都圏経済圏にとって「新たな副中心都市」になるという。  北京と周辺地域の今後について、北京市内でIT関連企業などが集中する中関村(海淀区)の天津浜海新区への移転が取りざたされている。しかし実際の発展戦略は、そう単純ではないという。  中国区域科学協会の楊開忠会長によると、中関村から浜海新区の移転が考慮されるのは、中関村の産業構造における「非核心部分」という。北京大学首都発展研究院の李国平院長は、「北京の毎年の経済成長のうち、中関村は2割程度を占めている」と指摘。そのため、中関村の産業全体を他地域に移すのは非現実的で、「北京は本部として研究開発を行う。新たな成果の応用、ハイテク産業の製造部門は天津や河北に移す」との考えだ。  中国人民大学・区域と都市経済研究所の孫久文所長は「北京に最も適している産業は、科学技術、文化、教育、医療、金融」と指摘。「これらの産業は北京に残してよいが、伝統的は卸売業や物流関係の産業は、市場メカニズムにもとづき、北京外に移転してよい」と主張した。  天津市の浜海新区については中央政府・国家発展委員会が新たな金融センターを作ることを認めた。区域科学協会の楊会長は、金融においても北京と天津の役割分担が行われる説明。北京市では「金融業の核心機能」を、天津市では「金融業の市場機能」を発展させる。  李院長も「北京市では金融管理の分野で比較的多くを担う。天心氏は金融の営業の分野だ。北京と天津が共同で、国際金融センターを形成することを目指す」と述べた。  河北省も、「首都圏経済一体化計画」の恩恵を受けることになる。まず、同省廊坊市、燕郊鎮などに、首都第二空港が建設される。空港建設にともない、北京からサービス業が進出することになる。  北京、天津、河北という「中国首都圏」の行政区分を見ると、海からやや離れた場所に北京市があり、その南側に渤海湾に面した天津市がある。北京、天津市を河北省が大きく取り囲んでいる。  しかし北の北京市と南の天津市が完全に「密着」しているのではなく、両市にはさまれたように存在しているのが、河北省廊坊市だ。李院長は廊坊市について、「首都圏経済一体化計画において、最も有利な地理的位置」と説明。「北京市の機能を補充する役割を果たす。北京のサービス業が(廊坊市に向けて)伸びていく。会議、教育、医療、そして住宅や商業機能など、すべてが北京と接続する」と説明。  李会長によると、廊坊市は北京と天津の間のひとつの「副中心都市」になり、北京、天津、河北省全体と協調しながら発展していくという。「別の都市の副中心」ではなく、廊坊市はあくまでも相対的に独立した「副中心都市」として発達することが望ましいという。  「首都圏経済圏一体化計画」については草稿がすでに完成しており、さらに検討を進めた上で、国務院(中央政府)での審議を経て正式発表する。発表時期は6月を見込む。現在は、計画中に習近平党総書記の方針をしっかりと盛り込む作業を行っているという。(編集担当:如月隼人)
 人民日報社が発行する中国経済周間(中国経済週間)誌は2014年第15号で(4月21、22日ごろ発売)、北京市、天津市、河北省を一体化して開発する「首都圏経済圏一体化計画」が6月にも発表されると報じた。同計画の焦点は北京から天津、河北への産業移転。金融については北京では管理を、天津では営業に重点を置くなど、各地域の地域特性を生かしながら配分する。北京市と天津市に挟まれた位置にある河北省廊坊市は、首都圏経済圏にとって「新たな副中心都市」になるという。
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2014-04-22 12:00