<最優秀ファンド賞>低リスクのマルチアセット運用「クアトロ」を預金の一歩先に=ピクテ投信投資顧問の萩野琢英氏に聞く

ピクテ投信投資顧問が設定運用する「ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド」(愛称;クアトロ)がファンド オブ ザ イヤー2020の「バランス(成長)型 部門」で最優秀ファンド賞を受賞した。2020年のトータルリターンは6.30%と、類似ファンド分類平均を3.93%上回った他、運用の効率性を示すシャープレシオは0.97と、類似ファンド分類平均を0.77上回り、極めて効率的な運用成績だった。ピクテ投信投資顧問の代表取締役社長 萩野琢英氏(写真)に、同ファンドの優れた運用を実現できるピクテの運用に関する考え方や取り組みについて聞いた。
――最優秀ファンド賞を受賞した「クアトロ」は、国内外の株式や債券といった伝統的な資産の他、ヘッジファンドなどのオルタナティブ資産も含む多種多様な資産に分散し、かつ、資産の組入比率を機動的に変更して運用しています。「クアトロ」の運用の実際について教えてください。
「クアトロ」の運用は、スイスのジュネーブのマルチアセット運用チームが行っています。このチームは、ファミリーオフィスなど欧州の富裕層向けに最先端の金融技術を用いて安定的な資産運用サービスを提供しています。そもそも、数百億円規模の大きな資産を対象として提供している運用サービスを、日本の公募投信向けに小口化し、しかも、日本円の価値で安定的な運用成績を提供することは、当初はジュネーブでも非常に難しい挑戦だと受け取られました。
実際に、「クアトロ」で現在投資している35の資産は、一つ一つの内容を説明していくとかなり金融に詳しい方でも理解に時間がかかるような商品も含まれています。このような最先端の金融商品も取り入れつつ、円資産で長期的にインフレ率に負けない運用利回りを確保することが「クアトロ」が目指す運用です。中身が分からないものに投資するなとよく言われますが、たとえば、スマートフォンの精密な内部構造まで完全に理解していなくても、私たちはスマートフォンを日常的に使っていますが、使っていて困ることも少ないと思います。「クアトロ」も同じように、預金に置いたままになっているような資産を安心して預けておけるファンドとしてお使いいただきたいと思っています。
もちろん、ファンドの中身について詳しく知りたいという方には、弊社のホームページに「クアトロ」専用ページを設けて、基本的な商品設計や運用プロセスから足元の運用状況まで、できるだけ分かりやすく解説するよう努めています。「クアトロ」は2013年12月の設定から7年以上の運用実績があります。2021年1月末時点で、過去5年のトータルリターンは年率3.28%です。日本は消費者物価上昇率で年2%を目標とした金融政策をとっていますが、この年2%の物価上昇率に負けない安定的な運用実績を重ねています。その結果が投資家の方々の信頼につながり既に1600億円を超える運用資産残高に成長しました。
――「クアトロ」の運用の仕組みは?
「成長」と「保全」と「低相関」という役割を持つ3つの資産に分散投資します。株式は主に「成長」です。債券は「保全」が多く、オルタナティブは主に「低相関」で選んでいます。そして、各資産への投資比率は、常に最適な投資比率になるように機動的に配分比率の変更を行っています。
「何に投資するか」、そして、「各資産にどの程度投資するか」ということについて運用者の「目利き力」が発揮されるファンドです。ピクテが創業以来200年以上の歴史を経て、磨いてきた投資先を見極める「目利き力」を駆使しています。実際に、「クアトロ」の運用責任者であるエリック・ロセは、ピクテのバランス運用チームのヘッドを務めているトップの運用者です。
「目利き力」を一言でいうと「おかしなものをつかまない」ということです。たとえば、1980年代当時は、「オルタナティブ投資」は非常にまれな投資手段でしたが、当時からピクテはオルタナティブ資産への投資を始めています。その当時、マネージング・パートナーだったクロード・デモールがニューヨークに行き、現地でクオンタム・ファンドの運用者や有名なヘッジファンドの運用者と会って、吟味して投資を進めました。そのノウハウを伝承したのが、子息のバートランド・デモールです。バートランドはニューヨークでヘッジファンドの調査を続け、自身がパートナーに就任した時に、オルタナティブ投資の責任者に就きました。このように、ピクテの運用ノウハウや経験は、途切れることなく継承され、最良の投資先を選び抜く「目利き力」を磨いてきました。
「クアトロ」の運用には、このようなピクテの運用力が結集されています。日々の運用状況をモニタリングしていると、資産配分比率の変更についても、まるで精密な時計部品が精緻に時を刻んでいるようです。市場の価格変動や流動性の変化などに対応して非常に細かなところまで神経の行き届いた調整がなされていることが分かります。
――運用チームの特徴は?
運用責任者のエリック・ロセは、ジュネーブ大学の卒業生で、ジュネーブの価値観を体現している人物といえます。ジュネーブでキリスト教にカルヴァン派を起こしたジャン・カルヴァンが、1500年代にジュネーブ大学を創設しました。カルヴァン派は、キリスト教で初めて蓄財を認め、天職に励めば自分自身の救済を確信できると教え、蓄財も銀行業も認めました。このため、現代資本主義の基礎ともいわれています。この「天職に励めば」という考えに基づいて、ジュネーブではプライベートバンクの他、時計職人など技術を継承する伝統のある産業が盛んになりました。
ピクテは、採用時に「誠実さ」を最も重視しています。「利他の精神」が息づいているのです。勤勉で、やり抜く力のある人、周囲とのコラボレーションができる人材を集めて、安全資産の運用を追求しています。このような人材をベースにした運用体制は、マルチアセットの運用で良く使われるクオンツ型運用(システムが吐き出すシグナルに応じて機械的に売買する)とは真逆の運用体制といえます。
――「クアトロ」の使い方のヒントは?
コロナ禍によって、第2次世界大戦以来といわれる不況を脱却するため、世界の中央銀行は大規模な金融緩和を実施し、世界各国は大規模な財政出動を行いました。第2次世界大戦後に起こったことは、世界的なハイパーインフレでした。今のような環境下、現預金に偏ったポートフォリオにはリスクがあります。現預金の代替とも言えるような金融商品が求められています。
今の低金利の環境下で低リスク型の商品を組成することは簡単ではありません。「クアトロ」は広く薄く分散投資することで、リスク水準を日本国債や世界国債の為替ヘッジ付きと同じくらいに抑えています。また、現預金の代替となるような「保全する資産」については、3年から5年保有を続ければマイナスにならないことが重要です。リスクが高い資産は、高いところで買ってしまうと15年くらいずっとマイナスが続くことがあります。一方「クアトロ」は3年保有していると、これまでほぼマイナスになることはありませんでした。
現在の低金利環境下では預金や日本国債では利回りがほぼゼロです。このゼロ%金利のところを「欲張らない投資」と位置づけ、2.0~2.5%程度の期待収益率で持つことが実は重要だと思います。50歳の時に3000万円お持ちの方が、70歳まで年率2.5%で運用したとすると4916万円になります。特に、大きな資産をお持ちの方には「クアトロ」をご活用いただきたいと思います。もちろん、資産運用の第一歩としても、相対的に値動きの幅が小さい「クアトロ」は安心してご活用いただけます。この低金利下で、しっかりと収益を実現する運用商品として「クアトロ」をぜひ、幅広い方々にご検討いただきたいと思います。(情報提供:モーニングスター社)
ピクテ投信投資顧問が設定運用する「ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド」(愛称;クアトロ)がファンド オブ ザ イヤー2020の「バランス(成長)型 部門」で最優秀ファンド賞を受賞した。ピクテ投信投資顧問の代表取締役社長 萩野琢英氏(写真)に、同ファンドの優れた運用を実現できるピクテの運用に関する考え方や取り組みについて聞いた。
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2021-02-18 10:30