<最優秀ファンド賞>ごく身近な人にも強く勧められる負けない運用、「投資のソムリエ」は真のコアファンドに

アセットマネジメントOneが設定・運用する「投資のソムリエ」がファンド オブ ザ イヤー2020の安定資産(債券・バランス安定)型 部門で最優秀ファンド賞を受賞した。2020年のシャープレシオは2.11となり、類似ファンド分類平均を1.86上回り、極めて効率的な運用を実現した。トータルリターンは4.36%となり、類似ファンド分類中で上位12%(143本中第17位)となった。特に、市場が大きく下落した3月のコロナショックで基準価額がわずかな下落にとどまる安定性を発揮した。同ファンドの運用の主担当を務めているアセットマネジメントOneのソリューション戦略運用グループ ファンドマネジャーの得能達氏(写真)に、同ファンドの運用の実際について聞いた。
――「投資のソムリエ」は、昨年3月のコロナショックの時は、大きな変動を回避できたポイントを教えてください。
ファンドは2つの戦略を使っています。1つは月次の基本配分戦略で、投資対象の価格変動要因に着目した資産配分を行っています。2つ目が機動的配分戦略という日次の配分変更です。投資対象8資産の内、国内債券と為替ヘッジ先進国債券を「安定資産」、それ以外を「リスク性資産」と区分し、各資産のマーケットが危ないと判定した時には機動的にその資産のエクスポージャー(投資割合)を減らしにいく判断をしています。
2月下旬からコロナショックで株式等は非常に大きく下げましたが、2月の下旬にリスク性資産に対して警戒局面を示す黄色信号が出て、株式やリート等のエクスポージャーを通常の半分程度に引き下げました。さらに、3月の頭には危機局面=赤信号と判定し、エクスポージャーをほぼゼロに落としました。
機動的配分戦略は、特定のマーケットや指標にとらわれることなく、マーケットのボラティリティ、為替、信用リスクなど、幅広い指標にアンテナを張り巡らせることによって、どこからリスクが顕在化してもすぐにキャッチできるようにしています。資産の値動きが、どのマーケットの変動から波及してくるのかは、時々によって違いますので幅広くアンテナを張った運用モデルが大事だと考えます。
また、この戦略は、全て定量的に実行し、人の判断をできるだけ排除しています。ファンドマネジャーが「いずれ戻ってくるだろうから、そのまま置いておこう」などと判断するのではなく、モデルを信じて危ないと判定される局面では即座に売却しています。この幅広くアンテナを張った定量判断に基づいて即座に売買を実行する運用が良い結果につながっていると思っています。
これはエクスポージャーを引き上げるときも同様です。赤信号にまで行った危機局面から、黄色信号、そして、安定局面を示す青信号へとシグナルが変化していきましたので、それに応じでリスク性資産の組入比率を高めていきました。3月の下旬からモデルに従ってポジションを取り始めたことが、その後の回復を早めた要因とみています。正直、3月の下旬に赤信号から黄色信号へ変わった瞬間には、「このタイミングで買い戻すのか」という戸惑いはありましたが、結果としてモデルを信じて買い向かったことがパフォーマンスの向上につながりました。
――設定来、8年が経過しましたが、この間に運用チームのメンバーは変わりましたか? 運用ノウハウの継承は、どのように行われるのでしょうか?
私は、このファンドを2018年から担当し、設定来8年間の間には運用チームのメンバーも変わってきていますが、チーム全員が定量的な運用に特化したメンバーですので、このファンドの特性は変わらず維持されています。
また、このファンドは人の判断に依存しないファンドですので、私がチームを離れることがあっても、このファンドの特性はそのまま後任に引き継ぐことができます。これは長く持っていただくのに適した点であると思います。
ただ、最初にシステムを作って、それで終わりということではなく、ファンドマネジャーを含めチーム全員で、それぞれに課題認識をもって研究を続けています。年率リスク4%を目標に置いていますが、市場環境が変わっていく中でこの4%をどのように達成するのかという点では、それぞれが全力で議論しています。実際にファンドの設定来、すこしずつ改良を続けていますし、今後も改良は続けていきます。
――運用期間が長くなるほど、より精緻な投資判断をするシステムができるということですか?
バージョンアップには2つの意味があります。1つは、より良い戦略に変えていくものです。もう1つは、マーケットが刻一刻と変わり、世の中の学術的な知見も日々更新されていく中で、市場環境の変化や学術的な研究に追いついていくために行うものです。組み上がったシステムを放置していると、いずれマーケットにフィットしなくなる可能性は十分にあります。マーケットに適応しなくなるのを避けるため、そしてより適応するために、改良を重ねています。
一方、設定来変わらないものもあります。自分の親兄弟など、ごく近しい人間にも強く勧められるような、長期で安心して投資ができるファンドとは?ここがこのファンドの出発点です。「資産のコアとして保有するためには、負けにくいファンドが良いだろう。そうであれば、基本配分戦略で徹底した分散投資を追求し、機動的配分戦略でより負けないようにブラッシュアップをしていくという仕組みが良いだろう。」こうした、ファンドを立ち上げた当時の思いは、今後も変わらず運用担当者が受け継いで運用にあたってまいります。
――リスク性資産の価格変動率はかつてなく高まり、かつ、安定資産といわれる国内債券等については超低金利となったことで安定資産としての効果が期待しづらくなってきました。国内債券や為替ヘッジ先進国債券の他に、新たな安定資産の導入を検討されていますか?
投資対象を増やすような検討はしていません。ファンドのコンセプトとして、「投資初心者の方にもお勧めできる」という位置付けであり、投資を始める際に良く分からないものが入っていると、投資に躊躇されることがあると思います。こうした背景もあり、投資対象を増やすより、今の枠組みの中でしっかり運用するというスタンスです。
足元は低金利の環境ですが、この環境においてもファンドが最も重要視する各資産の分散効果は維持できており、リスクに見合ったリターンを獲得することは可能であると考えます。当ファンドは、資産配分比率では債券の配分が多くなっていますが、リターンの寄与は投資している8資産、それぞれの投資対象から偏りなく収益を積み上げています。このため、金利が低下し債券の期待リターンが落ちたからといってそれがそのまま当ファンド全体の期待リターンの低下となるわけではありません。
確かに、リスクの観点から、国内債券についてはほぼ値段が動かない状況が続いており、分散効果が低くなってきていることは事実です。そのため、国内債券の資産配分比率を年々落としてきています。一方で、為替ヘッジ先進国債券は未だに分散効果が高い状況ですので株式やリート等とうまく組み合わせることで運用効率の向上を目指しています。
ただ、コロナショックの時のように、マーケット全体からキャッシュが引き揚げられるようなタイミングでは分散効果は出にくくなってしまいます。このような局面は、これからもあるでしょう。その時には、機動的配分戦略によって、リスク性資産そして場合によっては安定資産への投資比率を引き下げて嵐が過ぎるまで待つというスタンスで対処します。
――このファンドをどのように使ってほしいと考えていますか?
当ファンドは資産のコアとしてお持ちいただけるよう設計しているため、様々な投資家の方々に使っていただけるファンドだと思っています。目標リスクを年率4%程度と明記していますので、これから投資を始めるという投資未経験者の皆様へは安心して始められる「はじめの一歩」になり得ると考えます。この目標リスクを明記している点は、資金の取り崩しステージにあるリタイヤ世代の方々にもメリットがあると考えています。退職金などまとまった資金を取り崩しながら運用する場合、リスクコントロールは非常に重要になるため、ぜひご検討いただきたいと思います。
また、若年層の方々で自助努力として、株式などアクティブに運用されている方もいらっしゃると思いますが、そうした運用は価格変動も大きいため、マーケットに一喜一憂してしまうことも多いのではないでしょうか。当ファンドは価格変動要因を分散していることから、どの資産とも相応に値動きの相関が低い、つまり併せ持ちの相性が良いことが特徴です。このため、リスク許容度に合わせて運用資産全体を調整するといった活用方法も考えられます。
「貯蓄から投資へ」が徐々に進み、その一環として「コア・サテライト戦略」というワードも目にする機会が増えてきました。しかし、その内容が必ずしも正しく伝わっているわけではなく、例えば、余資の中でコア・サテライトを作って運用する戦略と勘違いし、コアは不要と考えられている方もいらっしゃるようです。コア・サテライトはあくまで資金属性の話であるため、どんなにリスクがとれる方でも、金額の大きさは別として、大きなリスクを避けるべきコアとなる資金が存在します。「投資のソムリエ」はこのコア資金の投資先としても検討いただけるよう設計しており、実際それを運用実績で示すことができていると自負しております。ぜひ、資産形成で使う商品群の真ん中に置く運用商品として「投資のソムリエ」をご活用ください。(情報提供:モーニングスター社)
アセットマネジメントOneが設定・運用する「投資のソムリエ」がファンド オブ ザ イヤー2020の安定資産(債券・バランス安定)型 部門で最優秀ファンド賞を受賞した。同ファンドの運用の主担当を務めているアセットマネジメントOneのソリューション戦略運用グループ ファンドマネジャーの得能達氏(写真)に、同ファンドの運用の実際について聞いた。
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2021-02-26 10:15