【為替本日の注目点】ドル円半年ぶりに106円台後半に

ドル円は続伸。昨年8月28日以来となる106円89銭までドル高が進む。米株価が再び上昇し、VIX指数も急低下したことでリスク選好が強まる。ユーロドルは1.20台で推移。1.2028まで下落し、1.20割れを試す展開か。株式市場は大幅に反発。長期金利は上昇したものの小幅に留まり、安心感が戻る。ダウは603ドル上昇し、ナスダックも3%上昇。債券相場は落ち着きを取り戻し、1.41%台で引ける。ドル高の流れから金は5日続落。原油も続落。
2月ISM製造業景況指数 → 60.8
2月マークイット製造業PMI(改定値) → 58.6
ドル/円 106.53 ~ 106.89
ユーロ/ドル 1.2028 ~ 1.2070
ユーロ/円 128.22 ~ 128.66
NYダウ +603.14 → 31,535.51ドル
GOLD -5.80 → 1,723.00ドル
WTI -0.86 → 60.64ドル
米10年国債 +0.012 → 1.417%
本日の注目イベント
豪 豪10-12月期経常収支
豪 RBA、キャッシュターゲット
日 1月失業率
日 2月マネタリーベース
独 独2月雇用統計
欧 ユーロ圏2月消費者物価指数(速報値)
米 2月自動車販売
米 ブレイナード・FRB理事、討論会に参加
米 デイリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
加 カナダ10-12月期GDP
昨日のNY市場では多くの投資家が債券の動きに注目していました。債券は売られたものの大きな動きにはならず、長期金利は小幅に上昇するに留まりました。債券市場に落ち着きが戻ってきたことで、株式市場も大幅に反発し、ナスダックは先週末の水準から396ポイント(3%)上昇しています。昨日の日経平均株価が先週末の急落から下落分の半分以上を回復したことも伏線となっていたようで、加えて、昨日発表された2月のISM製造業景感指数も「60.8」と、市場予想を上回り、3年ぶりの高水準だったことも好感されたようです。為替市場ではドル高が続き、ドル円は昨年8月28日以来となる106円89銭までドルが買われ、ユーロドルも1.2028レベルまでドル高が進みました。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は、ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)とのインタビューで、米国の景気回復に伴い短期的なインフレ率上昇を予測しているが、時間をかけて当局の目標水準へ向かうことに確信を示しました。バーキン総裁は、「景気には地平線上の夜明けが見える」として、「非常に健全な春と夏を期待している」と述べ、債券利回りの上昇については、「景気見通しが強まっていることを考えれば、驚きはない」と語っています。(ブルームバーグ)今週はパウエル議長や、FOMCメンバーによる講演などが多く予定されています。先週1.61%まで急騰した長期金利に関する発言も予想されますが、恐らく昨日のバーキン総裁と同じように、市場を落ち着かせるような内容の発言をすると思われます。景気拡大に至っていない金利の急上昇は一時的なものだと認識を示すものと予想しています。
昨日発表された2月のISM製造業景況感指数は前月の「58.7」から急上昇し、3年ぶりの高水準でした。特に受注残は「64」と、2004年以来の高水準を記録しています。ISM製造業調査委員会によると、在庫水準が低く、家計と企業からの需要は年初から堅調に推移しているとする一方、製造業者は原材料費の高騰や人員のやりくり上の混乱、輸送費上昇にあえいでいると指摘しています。
米国ではバイデン大統領の掲げる1.9兆ドル(約202兆円)規模の経済対策案が下院を通過し、さらに2兆ドル規模のインフラ投資も計画されています。また新型コロナウイルスの感染拡大も減少傾向にあり、ワクチンもファイザーとモデルナに続き、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が昨日出荷を開始しています。今後景気が急拡大するとの予想もあり、大量の資金が米株式市場に流れ込んでいます。この傾向はまだ続くと予想されますが、コロナのパンデミックに見舞われた多くの国の中では、米国の立ち直りが早いと見られ、これがドル高にも影響している可能性があります。
ドル円はいよいよ「週足」の雲抜けを試す状況になってきました。早ければ今日にも107円台に乗せるかもしれません。この展開は筆者の予想を超えた動きですが、調整というか、「押し目らしい押し目」が見られないのが現状です。ただ、この水準から上のレベルでの取引には依然として慎重な姿勢を維持したいと思います。本日のドル円は106円40銭~107円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続伸。昨年8月28日以来となる106円89銭までドル高が進む。米株価が再び上昇し、VIX指数も急低下したことでリスク選好が強まる。ユーロドルは(イメージ写真提供:123RF)
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2021-03-02 10:00