【為替本日の注目点】NY、ドル円続伸し108円に迫る。

 ドル円は米金利の上昇を受け続伸。107円98銭までドルが買われ、108円台が視野に。ユーロドルでもドル高が進み、1カ月ぶりに1.20台を割り込む。1.1962までユーロ安が進行。  株式市場では、パウエル議長の講演をきっかけに下げ幅を拡大。ダウは345ドル下げ、ナスダックは274ポイント下落と、ほぼ全面安の展開に。債券も、パウエル発言後に急速に売られ、長期金利は1.56%台に急騰。金は続落し、一時は約9カ月ぶりに1700ドル台を割り込む。  原油は大幅に続伸。「OPECプラス」が増産を見送ったことを手掛かりに64ドル台まで急伸し、63ドル台後半で引ける。 新規失業保険申請件数     →  74.5万件 1月製造業受注        →  2.6% ドル/円    107.38   ~ 107.98 ユーロ/ドル  1.1962   ~ 1.2054 ユーロ/円   129.04   ~ 129.63 NYダウ    -345.96  → 30,924.14ドル GOLD    -15.10   → 1,700.70ドル WTI     +2.55    → 63.83ドル 米10年国債  +0.083   → 1.564% 【本日の注目イベント】 中  中国全国人民代表大会 独  独1月製造業新規受注 米  1月貿易収支 米  2月雇用統計 米  1月消費者信用残高 米  ボスティック・アトランタ連銀総裁講演  注目されていたパウエルFRB議長の発言では、期待していたほど市場を落ち着かせる具体性はなく、発言が伝わると債券と株が大きく売られ、金利上昇を手掛かりにドルが主要通貨に対して大きく買われています。  ドル円は一時108円に迫る水準までドル高が進み、2020年7月1日以来となる水準を付けました。筆者も個人的には市場の混乱を鎮めるような、「パウエル・プット」を期待していましたが、市場は「失望」から債券と株を、さらには金(きん)も大きく売りに走ったということのようです。  議長は、「われわれは広範囲にわたる金融環境を注視している。目標からまだ遠いところにいると考えている」と発言し、「われわれも目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」と続けました。  市場はこの「無秩序な状況」に「懸念する」と発言したにとどまった議長の発言に、「失望」したようです。議長はまた、インフレ懸念を巡る質問には、今後1年間に物価は上昇するが、持続はしない公算が大きいとの見方を示し、「2%を大きく超えるインフレ期待を生むほどの水準にとどまることは確実にない」と発言しています。  この発言後に債券市場では売りが強まり、長期金利は一時1.567%台まで急上昇しています。2月25日記録した1.61%には届かなかったものの、市場が債券売りには極めて敏感になっている状況が窺えます。  バイデン大統領は4日、ホワイトハウスで民主・共和両党の下院議員との会合を開き、自身が掲げる大型インフラ支出案に支持を求めました。このインフラ支出案は、議会で審議中の1.9兆ドル(約205兆円)の経済対策案を上回る可能性があるとされています。  バイデン氏は会合の冒頭、「われわれはインフラや米国の競争力、そして米国がインフラ全般で世界を再びリードするのを確実にするため、何をするのかについて話し合う」と語り、「それは雇用を創出するだけではなく、世界における米国の競争力を大幅に強化することになる」と発言しました。  バイデン政権はすでに暫定的な「国家安全保障戦略」をまとめており、その指針では中国を、「経済、外交、軍事、技術力を複合させ、安定した開放的な国際秩序に絶えず挑戦する唯一の競争相手」とみなし、その上で、「私たちの利益を促進し、価値を反映する新しい国際規範や合意を形作るのは中国ではなく、米国だ」と明確に発表しています。  今朝の日経1面での「米軍が対中ミサイル網」「アジアに6年で2.9兆円要望」との記事も、その戦略の一環とみられます。  ドル円はリスク回避の円買いには動かず、米金利の上昇に引っ張られています。早朝には108円をつっかける場面もあり、円売りが一段と強まっている状況です。108円まで上昇したことで、「週足」の雲抜けを完成させ、さらに「120週移動平均線」も抜け、現在「200週移動平均線」をテストしているところです。ここを完全に抜け切れば、「週足」では昨年6月に記録した108円半ばから後半の直近高値が意識されるくらいで、目立ったレジスタンスは見られません。ただ「週足」のMACDではゴールデンクロスはかなり以前に完成させてはいますが、本格的に上昇すると予想される「プラス圏」には入っていません。この点は意識しておきたいところです。また、これまで2月23日の105円割れからは押し目もなく一貫してドルが上昇していることは「日足」チャートでは歴然です。移動平均線からの「乖離率」もやや気になることころで、一旦調整があってもおかしくはありません。  本日は雇用時統計です。  非農業部門雇用者数は先月の4.9万人から大幅に伸びるとみられ、19.8万人が予想されています。全ての市場で「ボラティリティ」が上昇していることを考えると、値幅は大きくなると予想され、取引には注意が必要です。  本日のドル円は107円40銭~108円40銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は米金利の上昇を受け続伸。107円98銭までドルが買われ、108円台が視野に。ユーロドルでもドル高が進み、
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2021-03-05 09:45