【為替本日の注目点】NYダウ最高値を更新

発表されたCPIが予想を下回ったことでリスクオンが強まり、ドル円は下落。欧州時間では108円台後半までドルが買われたものの、NYでは円買いが優勢となり108円34銭までドル安に。ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。ドルが売られたものの、ユーロは1.1930近辺での上昇にとどまる。バイデン大統領の推進する大規模な経済対策案が下院で可決したことを受け、株式市場は景気敏感株を中心に大幅高。ダウは464ドル上昇し最高値を更新。一方ナスダックは5ポイント程下落し明暗を分ける。債券は小幅に上昇。長期金利は前日とほぼ変わらず。金は続伸し、原油は反発。 2月消費者物価指数     →  0.4% 2月財政収支        →  -3109億ドル ドル/円  108.34  ~ 108.77 ユーロ/ドル 1.1882 ~ 1.1930 ユーロ/円  128.88 ~ 129.42  NYダウ  +464.28  → 32,297.02ドル GOLD  +4.90 → 1,721.80ドル WTI  +0.43 → 64.44ドル 米10年国債  -0.009 → 1.518% 【本日の注目イベント】 欧   ECB政策金利発表 欧   ラガルド・ECB総裁記者会見 欧   OPEC月報 米   新規失業保険申請件数  米下院は10日、バイデン大統領が推進する1.9兆ドル(約206兆円)規模の経済対策法案を賛成220、反対211で可決しました。これにより同法は、バイデン大統領の署名を経て成立することになります。署名は12日に予定されています。同法案は1400ドルの直接給付金や、週300ドルの失業給付金上乗せを9月まで延長することに加え、新たな医療保険料補助、子どもに関する税額控除も含まれています。ペロシ下院議長は審議終了時に、「WHOが新型コロナのパンデミックを宣言してから、明日で1年となる。宣言以来、3000万人近い米国民が感染し、50万人を超える国民が亡くなった。外国との戦争での累計死者数を上回る数の国民の命が失われた」と発言し、「この法律は米国民に1兆ドル近くを給付する。間もなく支援が届くと約束したバイデン大統領に私は同意する」と語っています。(ブルームバーグ)ただ大統領は当初、共和党も含む議会の支持を得て同法案の成立を目指していましたが、結局今回の成立に関しては、上院下院を通じて一人の共和党議員も賛成していません。米国民の分断とともに、議会での分断も鮮明であることが判明した格好です。  NY株式市場ではこの法案可決を好感し、ダウは景気敏感株を中心に大きく買われ、約2週間ぶりに最高値を更新しています。また、この日に発表された2月の消費者物価指数で、変動の大きい食品とエネルギーを除く「コア指数」が前月比0.1%上昇したにとどまり、市場予想の+0.2%を下回ったことも株式市場のプラスに働いたようです。「衣料品が0.7%低下し、中古車は3カ月連続で0.9%下げたほか、処方薬は2018年7月以来の大幅低下となった。」(ブルームバーグ)ようです。予想されたほどインフレが進んでいないことが確認され、長期金利も小幅に低下したことが「リスクオン」につながっています。ドル円は金利低下を手掛かりにドル売りが優勢となり、一時108円台後半まで上昇したドルは108円34銭まで売られています。  バイデン大統領はジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した1回接種型の新型コロナワクチンを追加で1億回分注文し、従来の2倍に増やす方針を決めました。米政府は既に1億回分の注文をしており、これで米国でのワクチン供給は5億人の接種に十分な量になると見られています。  市場は引き続き米金利の動きに注目しており、ここを中心に株式、為替、あるいは商品市場にも大きな影響を与えています。米長期金利は依然としてもう一段上昇する可能性を残していますが、1.61~1.62%の水準がやや壁になりつつあります。今後米国では「インフラ対策(支出)」が議論されることになりますが、その規模は2兆ドルを超えるとの見方もあり、引き続き潜在的な米金利の上昇圧力として残ります。足元のドル円は上昇傾向の調整局面であると見られ、再び109円を目指す展開が予想されます。下値のメドは昨日も述べたように、「1時間足」での「120時間移動平均線」がある108円30銭前後と、「1時間足」で言えば、「200時間移動平均線」が107円80銭前後に位置しているため、仮に108円を割り込んだ際にはサポートとなることが考えられます。と言うことで、本日のドル円は108円~108円80銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
発表されたCPIが予想を下回ったことでリスクオンが強まり、ドル円は下落。欧州時間では108円台後半までドルが買われたものの、NYでは円買いが優勢となり(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2021-03-11 09:30