【為替本日の注目点】ドル円欧州市場で109円37銭まで続伸

ドル円は109円台で小動き。欧州市場で109円37銭近辺までドル高が進んだが、NY市場では上値を追う動きは見られず。ユーロドルも目立った動きはなく、1.19台前半での動きにとどまる。株式市場は3指数が揃って上昇。ダウは174ドル高と、7日続伸で最高値を更新。S&P500も最高値を更新し、金利が低下したことで、ナスダックも139ポイント高。債券は反発。長期金利は1.60%台へ低下。金は反発し、原油は続落。
3月NY連銀製造景況業指数 → 17.4
ドル/円 109.03 ~ 109.25
ユーロ/ドル 1.1911 ~ 1.1937
ユーロ/円 129.99 ~ 130.26
NYダウ +174.82 → 32,953.46ドル
GOLD +9.40 → 1,729.20ドル
WTI -0.22 → 65.39ドル
米10年国債 -0.019 → 1.606%
【本日の注目イベント】
豪 豪第4四半期住宅価格指数
豪 RBA議事録
日 1月鉱工業生産(確定値)
独 独3月ZEW景気期待指数
米 2月鉱工業生産
米 2月設備稼働率
米 2月小売売上高
米 2月輸入物価指数
米 3月NAHB住宅市場指数
ドル円が底堅い動きを見せています。昨日の東京時間でも、大きな上昇は見せなかったものの、終始109円台を維持し、欧州市場に入ると109円37銭近辺までドルが買われています。これは昨年6月8日以来のドル高水準になります。
昨年の今頃を振り返ってみると、昨年2月に新型コロナウイルス感染が米国でも大きく取り上げられ、ダウは2月21日(金)の2万9219ドルから、2月28日(金)には2万5409ドルまで、わずか5営業日で4800ドルの急落をみせました。ドル円も同じようにドル安に振れ、110円台から107円台まで円高が進んでいます。ドル円はその後3月9日には101円台まで一気に円高が進みます。
新型コロナウイルスのパンデミックを受け、FRBが臨時の政策会合を開き、政策金利を大きく引き下げたことで円高が進みました。それでも3月5日の米長期金利の水準は1.05%台です。クライマックスは3月9日でした。この日はリスク回避の流れが最高潮に達し、長期金利は過去最低の0.5%台まで低下し、ダウはこの日だけで2013ドルの暴落でした。これは「過去最大の下げ幅」として記録されています。
ドル円はこの日の底値(101円18銭)からすでに8円以上も戻しています。一方米長期金利の方は0.54%近辺から先週末の1.64%台まで1.1%戻したことになります。今年も1月には102円60銭までドルが売られる場面があり、それから2カ月余りで109円台ミドルまでドルが反発することになるとは、筆者を含め、どれだけの専門家が予想できたでしょう。もちろん、「新型コロナウイルスのパンデミック」という、予想できない事態が起きたことは「エクスキューズ」の一つにはなりますが・・・。ここで理解できることは、やはりドル円は米金利との相関が基本だということです。今年2月頃には株価の動きがドル円にも影響していましたが、今や米10年債利回りはほぼ全ての市場に大きな影響を与える存在となっています。
その米長期金利は前日1.64%まで上昇しましたが、昨日は落ち着いた動きから低下しています。金利上昇から「調整局面入りした」可能性もあるナスダックは上昇しています。3月のNY連銀製造業景況感指数は「17.4」と、前月の「12.1」から大きく改善していました。これは2018年11月以来の高水準です。仕入れ価格と販売価格の指数がともに上昇したことが寄与したと報じられていますが、6カ月先の雇用者数を示す指数は「31.4」と大きく伸び、こちらは2010年6月以来の水準で、今後製造業でも雇用者の増加が見込まれることを示唆しています。
今朝の報道では、バイデン大統領は大規模な経済対策の原資として、本格的な増税を検討しているとブルームバーグが複数の関係者の話として伝えています。詳細は不明としながらも、検討中の計画として、法人税の28%への引き上げ(現行21%)や、個人の所得税も年収40万ドル(約4300万円)を上回る人を対象に税率の引き上げ。さらに年間所得100万ドル以上の個人に対するキャピタルゲイン税率引き上げなどが基本になっているようです。バイデン大統領は1.9兆ドル(約207兆円)の経済対策実施に踏み切り、さらにインフラ支出としてそれを上回る規模の財政出動も予定されています。増税案についてはイエレン財務長官も言及していると伝えられていますが、今後共和党の支持を取り付けられるかどうかだけではなく、「身内の」民主党からも全面的な支持が得られるのかどうか不透明です。
ドル円は昨日とほぼ同じ水準で推移しています。市場は108円台を固めていると見られますが、109円台ミドルを超えて上昇できるかどうかが、目先の焦点かと思います。NYダウが「7連騰」していることや、筆者も含め多くの人が「110円台は当然」といった相場観にシフトしつつあることなどを考えると、注意が必要かもしれません。
本日のドル円は108円70銭~109円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は109円台で小動き。欧州市場で109円37銭近辺までドル高が進んだが、NY市場では上値を追う動きは見られず。ユーロドルも目立った動きはなく、1.19台前半での(イメージ写真提供:123RF)
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2021-03-16 10:00