【為替本日の注目点】米長期金利1.75%台へ急騰

ドル円は米長期金利の上昇を手掛かりに109円22銭まで上昇。その後株価の下落に円を買う動きも強まり108円83銭まで売られる。ユーロドルはやや水準を下げたものの、1.19台で推移。米金利が一段と上昇したことで株価は大きく反落。特にナスダックは3%を超える409ポイントの下げに。
債券相場は続落。2年債や5年債なども売られ、10年債利回りは一時1.752%まで上昇し、2020年1月以来となる高水準に。金は小幅に続伸。原油は大きく売られ前日比4.6ドル安。コロナワクチン接種の進んでいないインドなど、輸入量の減少観測が浮上し、不透明感が広がる。
3月フィラデルフィア連銀景況指数 → 51.8
新規失業保険申請件数 → 77.0万件
2月景気先行指標総合指数 → 0.2%
ドル/円 108.83 ~ 109.22
ユーロ/ドル 1.1907 ~ 1.1947
ユーロ/円 129.59 ~ 130.30
NYダウ -153.07 → 32,862.30ドル
GOLD +5.40 → 1,732.50ドル
WTI -4.60 → 60.00ドル
米10年国債 +0.065 → 1.708%
【本日の注目イベント】
豪 豪2月小売売上高
日 2月消費者物価指数
日 日銀金融政策決定会合
日 黒田日銀総裁記者会見
加 カナダ1月小売売上高
「2023年末までゼロ金利政策を維持する」としたFOMCの決定も、その効果は限定的だったようです。昨日の米債券市場では中期債も含め債券が大きく売られ、10年債利回りは一時1.752%まで上昇する場面がありました。引けにかけては水準を下げましたが、2020年1月以来、1年2カ月ぶりの高水準ということなります。
市場は大規模の追加経済対策や個人に対する直接給付金などの影響で、インフレが想定以上に早く進むといった感触を持っており、金融当局とは「温度差」があるようです。このままさらに金利上昇が続くようだと、市場からの「催促利上げ」といった形も想定され、FRBによっては厳しい選択を迫られる局面も来るかもしれません。
米金利高を背景にドル円は109円台前半まで上昇しましたが、欧州市場での109円30銭も含めて、直近高値を更新できていません。やはり、109円台ミドルの「レジスタンス・ゾーン」が意識されている可能性があります。
米長期金利の上昇から、前日3万3千ドルの大台乗せを達成したダウは売られ、ハイテク株の多いナスダック指数は400ポイントを超える大幅安に見舞われています。昨日の東京株式市場でも日経平均株価は3万円の大台を大きく超え、ザラ場では前日比500円を超える上昇を見せる場面もありました。本日の日経平均株価は、昨日のNY株の大幅安の影響が避けられない見通しです。
イングランド銀行(BOE)は18日、金融政策の現状維持を決めました。BOEは声明で、「現在は経済に大きな余剰能力があると判断できる。パンデミックからの回復期間中の需給動向を中心に、景気見通しは引き続き異例なほど不透明だ」と述べています。金融政策委員会(MPC)は最近の債券利回りの上昇についての懸念は示さず、全体的な金融環境は2月以降「おおむね変わっていない」との認識を示しています。(ブルームバーグ)
米中の外交トップ会談がアラスカで開かれています。
米国からはブリンケン国務長官とサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)が参加し、中国側からは楊共産党政治局員と王外相が出席しています。中国側はトランプ前政権が導入した対中制裁・制限の撤回を米国に求めると見られ、米国は香港や新疆ウイグル地区での人権問題について追及していく構えのようです。今回の協議がうまくいけば、中国は4月24日の「アースデー」前後の米中首脳会議を提案する考えがあると、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じています。
前日ABCテレビのインタビューでロシアのプーチン大統領を、「人殺し」と思うかと聞かれて、「そう思う」と答えたバイデン大統領の発言に対してプーチン氏は、「お互いさまだ」と反論しました。
またロシア外務省はこの発言に対して、アントノフ中米大使を一時ロシアに帰国させることを発表し、米ロ関係は急激に悪化する可能性が出て来ました。バイデン大統領はこの発言の後にも、プーチン氏が「代償を払うことになる」と警告しており、プーチン氏に近い複数の人物を対象に、制裁を発表すると見られています。
市場は引き続き米金利を中心に動いています。
米長期金利は「節目の2%」まで、昨日は25bpまで迫りました。米長期金利が2%を達すれば、金利差に連動する形で動くドル円は110円を超えてくる可能性が高いと見ていますが、金利高を嫌う株式市場が昨日のように大きく下げれば、「リスクオフ」の流れが強まり、株価が大幅に下落する可能性もあります。こうなると、ドル円は必ずしも金利差だけに反応するわけではなく、「リスクオフ」による株価の下落の影響から、ドル高が幾分「相殺」されることも予想されます。「リスクオン」でドルが買われ円が売られたわけですから、「リスクオフ」ではその逆の動きも想定されます。
今後は米経済指標の結果がこれまで以上に重要となり、注意深く見ていく必要があります。
本日のドル円は108円50銭~109円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は米長期金利の上昇を手掛かりに109円22銭まで上昇。その後株価の下落に円を買う動きも強まり108円83銭まで売られる。
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2021-03-19 10:00