テック株ファンドが売れ筋の中、利回りが再注目され始めている理由。米国高格付け社債に投資する「泰平航路」の魅力

「本当に自分の大切な資産を投資できるのは、利回りの読める金融商品だ」と考える人は少なくない。資産を増やすことを考えると、「せめて年率2%程度の利回りが確保できれば」という願いはあるだろう。史上最高値を更新し続ける米国株式市場は魅力的ではあるのだが、昨年の安値から大きく値上がりした株価は、少しの環境変化にも動揺してしまうほどに不安定だ。より安定的な収益を求める人たちの間で三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用している「コーポレート・ボンド・インカム(愛称:泰平航路)」が注目を集めているという。同ファンドの魅力と現在の運用環境について三井住友DSアセットマネジメントの伊藤健人氏と田村一誠氏に聞いた。
――資金の預け先として、利回りものの問い合わせが少しずつ出てきているということですが、その理由は?
伊藤 いつの時代も資産運用のコアとなる資産は、「利回り」で考えられる商品にしたいと考えられる方は少なくありません。預金や個人向け国債に一定の利回りがあればよいのですが、当面期待できません。少しでも利回りの高い外貨預金を求めても、かつての高金利通貨だった豪ドルも今では魅力的な利回りではありません。その中で、ここ数カ月の間に米国の長期金利が上昇してきたこともあり、関心が出てきています。
「泰平航路」は、米国の企業が発行するA格相当以上の高格付け社債に投資するファンドです。しかも、組み入れている社債はコカ・コーラやウォルト・ディズニー、ナイキやネスレといった誰でも知っている企業で、日用品等や電力、通信、運輸など安定業種の企業です。ここ数カ月で、米国の10年国債利回りが1.7%程度に上昇し、2.0%も視野に入ってきたことで、国債プラスアルファの利回りが期待できる米国社債への魅力が高まっています。
田村 「泰平航路」は10年以上の運用実績があるファンドですが、かつて、高い利回りの金融商品には、その運用の中身(信用力)を厳しく問われる時期がありました。その当時に、当ファンドは、投資しているすべての社債の情報を月報でも開示するようになりましたが、月報で投資している社債をご確認いただいても、その中身に安心していただける社債にしか投資していません。「泰平航路」のポイントの1つが、安心して投資できる社債を組み入れているファンドということです。
――超低金利が続いていることで、債券への投資魅力は失われたというイメージが強いのですが、実際にはどの程度の期待利回りがあるのですか?
伊藤 2021年3月末時点でファンドの年率期待利回りは3.3%になります。これは、ポートフォリオの最終利回り1.89%にロールダウン効果1.41%を加味した利回り水準です。
債券に投資する魅力の1つは、価格の安定性にあると思います。たとえば、米国債は2008年のリーマン・ショックで景気が減速し、株価が大きく下落した際に価格が安定して推移したために投資先としての価値が高まりました。これに対し、高格付け社債は、ショック時には価格が下落したのですが、2010年以降に企業業績が改善に向かう中にあっては、米国債以上に価格が上昇しています。
例えば、2008年5月を100とすると、米国債の価格水準は現在160程度に上昇していますが、高格付け社債は200を超えて上昇しています。現在もコロナショックによって停止した経済活動が徐々に持ち直す過程にありますので、高格付け社債に価格上昇の期待があります。
もうひとつ、社債投資の魅力として為替のノーヘッジ型については、米ドル高・円安の動きによる為替差益の期待があります。世界の金利の中で、米国の長期金利がいち早く上昇しています。積極的なワクチン接種と計画されている大規模な経済対策によって、米国経済は中国同様いち早く回復に向かうのではないかという期待が高いためです。再度のロックダウンを実施している欧州主要国やまん延防止措置の発動に至った日本とは対照的です。欧州や日本の金利は依然として低いままですが、今後、アメリカの経済回復が確認できれば、アメリカの金利は緩やかに上昇していくことが予想されます。為替相場の大きな決定要因である金利差が徐々に開いていくことになれば、米ドルが一段と買われる可能性があります。
――ロールダウン効果とは?
田村 通常、長期金利は短期金利を上回っています(この状態を順イールドといいます)。期間が長いほど金利が高いという状況に変化がなければ、債券の利回りは時間の経過とともに低下します。債券が満期に向けて期間が短くなるにつれ、利回りは坂道(カーブ)を転がり落ちるように低下し、債券価格は上昇します。これをロールダウン効果と言います。
現在の米国金利の状況も、短期金利は金融政策によって低く抑えているのですが、長期金利は将来の景気回復を見越して上昇してきています。これによって短期金利と長期金利の格差が開いてイールド(利回り)のカーブの傾きが今まで以上に急になってきているのです。それだけロールダウン効果が大きく(時間経過によって大きく利回りが低下する)なっていて、当ファンドの3月末で期待できるロールダウン効果を年率換算すると1.4%を超える水準になっています。過去5年のロールダウン効果の平均も約0.7%程度と以前からこの効果は債券投資の魅力の1つです。
実際に「泰平航路」が投資している社債の最終利回り1.89%とロールダウン効果を合わせた年3.3%という期待利回りの水準は、当ファンドの信託報酬である年1.089%を差し引くと、年2.211%という投資家利回りが確保されることになります。たとえば、円預金は利回りがほぼゼロ%、外貨預金をして少しでも利回りを取りたいと考える方も少なくありませんが、米ドル預金もゼロ%とそれほど変わらない水準だと思います。これと比較すると「泰平航路」で期待できる投資家利回りの魅力が分かっていただけると思います。
――ファンドの基準価額は、為替ヘッジなしの1年決算型では、今年年初に1万3500円台だったものが1万4000円台に乗せています。今後にも期待できるということですか?
伊藤 現在の環境は、イールドのカーブが右肩上がりで立ち上がり、その状況が維持される期待が強いと考えられますので「泰平航路」に投資していただくには、良いタイミングにあると思います。ただ、過去の推移をみても高格付けの米国社債投資は、いつから投資しても中長期的には良好なパフォーマンスをあげることができると思います。
債券ファンドは株式ファンドと違って、5年、10年という期間で2倍、3倍というような大きな成果を期待できるものではありません。ただ、株式ファンドがショックの際には大きく価格が下落することがある中で、格付けが高い債券ファンドは株式ファンドより価格の下落が大きくないために安心して保有ができるメリットがあります。長期に資産成長を期待する株式ファンドと、安定的に緩やかな成長が期待できる格付けが高い債券ファンドを合わせて保有したり、資金の性格によって使い分けてみてはいかがでしょうか。
たとえば、昨年の株高で株式ファンドに投資されていた方は、大きな売買益を獲得されて、次の投資を検討中という方もいらっしゃると思います。その際に預金やMMF等にキャッシュとして置いておかれるのであれば、「泰平航路」のような格付けが高く魅力的な利回りのある債券ファンドを使うという選択肢もあると思います。
「泰平航路」の毎月決算・為替ヘッジなしコースは、3月末現在でモーニングスターの評価では5ツ星(★★★★★)の最高格付けをいただいています。過去10年の年率トータルリターンは6.28%、シャープレシオはカテゴリーでトップという投資効率の高さもあります。ぜひ、これからの投資対象として「泰平航路」をご検討ください。
田村 「泰平航路」には、4つのコースがあります。毎月決算型と1年決算型、そして、それぞれに為替ヘッジの有り無しのコースがあります。毎月決算型は、為替ヘッジなしが1万口あたり35円、為替ヘッジありが同15円の分配金です。
「泰平航路」の4つのコースは、資金使途に応じて使い分けができると思います。ぜひ多くの方々に当ファンドのご活用をご検討いただきたいと思います。(グラフは、「泰平航路(為替ノーヘッジ型)」と類似ファンド分類平均=モーニングスターインデックス国際債券・北米・為替ヘッジなしの過去3年間のトータルリターンの推移)(情報提供:モーニングスター社)
より安定的な収益を求める人たちの間で三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用している「コーポレート・ボンド・インカム(愛称:泰平航路)」が注目を集めているという。同ファンドの魅力と現在の運用環境について三井住友DSアセットマネジメントの伊藤健人氏と田村一誠氏に聞いた。(グラフは、「泰平航路(為替ノーヘッジ型)」と類似ファンド分類平均=モーニングスターインデックス国際債券・北米・為替ヘッジなしの過去3年間のトータルリターンの推移)
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2021-04-09 15:00