【為替本日の注目点】NYダウ、S&P500、最高値を更新

ドル円は反発し110円目前までドル高に。米長期金利が上昇し、株も買われ上昇したことでリスクオンが強まり、ドルが全般的に買われる。ユーロドルは前日と同水準で推移。1.18台半ばから1.19台に乗せる。
株式市場は景気回復期待の高まりから主要3指数が揃って上昇。ダウとS&P500は共に最高値を更新。債券は反落。長期金利は1.65%台後半に。金と原油はともに下落。
3月生産者物価指数 → 1.0%
ドル/円 109.56 ~ 109.96
ユーロ/ドル 1.1867 ~ 1.1910
ユーロ/円 130.24 ~ 130.55
NYダウ +297.03 → 33,800.60ドル
GOLD -13.40 → 1,744.80ドル
WTI -0.28 → 59.32ドル
米10年国債 +0.039 → 1.658%
【本日の注目イベント】
欧 ユーロ圏2月小売売上高
英 英2月鉱工業生産
英 英2月貿易収支
米 3月財政収支
米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
3月の米生産者物価指数は前月比「1.0%」上昇で、前年同月比では「4.2%」の上昇でした。前年比の伸びは2011年9月以降で最大となり、米長期債は売られています。
明日発表される3月の消費者物価指数も高い伸びが予想され、ブルームバーグは「主要なインフレ指標はパンデミックの初期に低下したことから、ベース効果により前年比での高い伸びが示された」と報じています。
ただそれでも米長期金利の上昇幅は限定的で、株価の上昇を抑制するほどではなかったようです。ドル円は長期金利の上昇に反応し、109円96銭までドル高が進みました。前日8日のNY市場では一時109円まで売られたドル円でしたが、反発に転じてきました。ただこれも、111円には届かずにジリジリと上値を切り下げてきたこともあり、すぐに同水準を再び試す展開でもないと予想します。今度は110円台半ばから上方ではドル売り注文が集まりやすく、重くなることが考えられます。
パウエル議長はCBSニュースの番組で、米経済はワクチン接種と強力な政策支援を受けて成長や雇用が先行き一段と強くなる「変曲点」にあると指摘しました。議長は「経済の成長が一層速まり始め、雇用が一段と急速に創出される段階にあるという感触だ」と述べ、その上で、「現時点での米経済への主要なリスクは新型コロナの感染が再び拡大することだ、ソーシャル・ディスタンスとマスク着用を続けることが出来れば、賢明だろう」と語っています。
バイデン政権の中国包囲網が強化される中、その中心的役割を担っているブリンケン国務長官はNBCニュースとのインタビューで、中国による台湾侵攻の可能性を巡り警告を発しました。ブリンケン氏は、中国による台湾海峡での「好戦的な行動」を非難し、「台湾が確実に自衛できるよう米国は支援していく」と表明しました。
米国はこれまでトランプ政権が行っていた、単独で中国と対峙する政策から、同盟国を巻き込んで中国に圧力を掛ける政策を推進しています。このいわば「点から面」への中国への圧力は中国を刺激し、中国共産党系メディアの環球時報は10日付けの社説で、「トランプ前政権が中米関係の枠組みを破壊し、バイデン政権が引き継いだ。中国を抑圧する政策が体系化・恒久化しつつある」と指摘しています。
米国は3月には日本、オーストラリア、インドの4カ国の連携の枠組み「クアッド」で、首脳会談を開催し、さらに4月には「クアッド」にフランスを加えて海上共同訓練をインド洋で実施しています。
これらの行動に対して中国は猛反発をしており、この欄でも何度か述べているように、今後「民主主義対専制主義」の対立が新たなリスクとして市場の関心を集める可能性があると感じています。現時点ではその可能性は低いと見られますが、もしそのような事態になれば、円が買われることになると見ています。
その意味でも、今週16日にワシントンで予定されている初の「日米首脳会談」で、台湾問題が議論されるのかどうか、注目されます。
ドル円の上昇トレンドは不変ですが、現時点での方向感はニュートラルと言えます。109-111円のレンジとすれば、110円近辺はちょうど「真ん中」にあたり、市場参加者の関心も高まりにくいレベルです。ドルが下がったら拾うスタンスとしても、上昇した際には確実に利益を確保して置くことも必要です。
本日のドル円は109円40銭~110円10銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は反発し110円目前までドル高に。米長期金利が上昇し、株も買われ上昇したことでリスクオンが強まり、ドルが全般的に買われる。
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2021-04-12 09:45