【為替本日の注目点】ドル円109円台前半から半ばで推移

材料難から為替市場全体は小動き。ドル円は109円台半ばから前半で推移し、ややドル売りが優勢な展開。ユーロドルは1.19台前半で小動き。前日から水準を小幅に切り上げる。株式市場は主要3指数が揃って反落。ダウは55ドル下げ、3日ぶりに下落。債券は前日比ほぼ変わらず。長期金利は1.66%台に。金は続落し、原油は上昇。 3月財政収支   →  -6596億ドル  ドル/円  109.28 ~ 109.45 ユーロ/ドル 1.1900 ~ 1.1919 ユーロ/円  130.18 ~ 130.33 NYダウ -55.20  → 33,745.40ドル GOLD  -12.10 → 1,732.70ドル WTI  +0.38 → 59.70ドル  米10年国債  +0.007 → 1.666% 【本日の注目イベント】 豪   豪3月NAB企業景況感指 中   中国 3月貿易収支 独   独4月ZEW景気期待指数 英   英2月鉱工業生産 米   3月消費者物価指数 米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンラインイベントで講演 米   IMF専務理事と欧州委のジェンティローニ委員(経済担当)、講演 米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演  昨日のNY市場では材料難から金融市場全体が動意に欠ける動きで、為替市場も値幅は出ず小動きでした。思ったよりドルの上値が重く、ドル円は109円28銭まで下げ、ユーロドルも終始1.19台で推移しています。本日発表される3月の消費者物価指数や、15日(木)に発表される3月の小売売上高を見極めたいとする雰囲気が強まっていたようです。特に消費者物価指数については,インフレ懸念が高まってきているだけに、結果次第ではテーパリングの前倒しなど、FRBの緩和姿勢が早まる可能性もあり、注目度が高いようです。  そのFRBのテーパリングについてセントルイス連銀のブラード総裁はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、米国でワクチン接種率が75%に達すれば、新型コロナウイルスの危機が収束しつつあることを示すシグナルとなり、米金融当局が資産購入のテーパリングを検討する条件が整うとの見解を示しました。ブラード総裁は、「金融政策の変更について話すのは時期尚早だ」とした上で、「われわれがパンデミックのトンネルの中にとどまっている間は極めて緩和的な金融政策が望ましい。トンネルの出口まで行けば、次に行きたい場所を検討し始める時だろう」と述べ、さらに「ワクチン接種率が75%、80%に達し始め、一段と状況が収束しつつあることを示すより希望の持てるメッセージを米疾病対策センター(CDC)が発し始め、一部の指針緩和に動き始めたら、その時に経済全体が自信を得ることになろう」と語っています。そして最後に、「2021年はここ数年よりインフレ率が高まると考えられ、その一部がインフレ期待に流れることを望む」と述べています。ブラード総裁は金融政策変更には慎重な姿勢を見せながらも、インフレの足音が迫って来ていることを感じ取っていると見られ、ワクチン接種の進展具合が一つのきっかけになることを示唆していると考えられます。  財務省が半期に一度議会に提出する「為替報告書」の提出期限が15日に迫っています。イエレン財務長官は就任後初となる「為替報告書」で、中国を為替操作国に認定しない方針だと、事情に詳しい複数の関係者の話としてブルームバーグが伝えています。トランプ前政権時代、財務省は通常の公表時期ではない2019年半ばに突如、中国を為替操作国に認定し、そのわずか5カ月後、米中貿易交渉で譲歩を引き出すために認定を解除した経緯があります。その際、「為替報告書」を政治化しているとの批判がありました。今回イエレン長官のチームは、競争上優位に立つため為替を操作していると認定するハードルを引き下げたトランプ政権の19年の決定を覆す可能性を議論していると関係者が述べているとのことです。因みに米財務省が「為替操作国」に認定する基準は以下の3つとされています。1.米国に対する貿易黒字が200億ドル以上の国であるかどうか。2.一方的な為替介入による外貨の購入を1年間で6カ月以上繰り返し行い、この金額がGDPの2%以上の国かどうか。3.経常黒字がGDP比で2%以上の国にあたるかどうか。という基準で判断されています。トランプ政権の下した決定が覆されれば、「為替報告書」の対象国のうち、警戒が必要な監視対象国・地域の数はほぼ半減する可能性があるとのことです。  バイデン大統領は世界的な半導体不足に対応するため、ホワイトハウスでGMやフォード、グーグルの親会社アルファベットなどのCEOと会談しました。その上で、半導体の製造や研究向けに500億ドル(約5兆5000億円)を投じる政府案を支持する上院議員23人と下院議員42人の書簡を読み上げました。大統領は、「民主・共和両党がわれわれの提案を強く支持している」と述べています。  先週8日に109円まで売られ、その後110円近くまで反発したドル円でしたが、戻りの勢いは以前ほどではありません。それは株式、債券市場でも同じような動きで、「リスクオン」への勢いがこれまでとは異なって来た可能性もあります。ドル高基調は変わっていないものの、上値を徐々に切り下げているのも事実で、ここからは慎重に動きを見て行く必要がありそうです。焦点の一つは、109円台が維持できるかどうかです。 本日のドル円は109円~109円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
材料難から為替市場全体は小動き。ドル円は109円台半ばから前半で推移し、ややドル売りが優勢な展開。ユーロドルは1.19台前半で小動き。前日から水準を小幅に切り上げる。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-04-13 09:45