【為替本日の注目点】米長期金利さらに低下し、ドル円下落

ドル円は東京時間には109円75銭近辺まで買われたものの、海外に入ると下げに転じる。NYでは米長期金利の低下に合わせ、109円03銭までドル安に。
ユーロドルは1.18台後半からじり高となり、1.1956まで買われる。
株式市場はまちまち。ダウはマイナスで終わったものの、ナスダックは146ポイント高。S&P500は13ポイント上昇し最高値を更新。債券は反発。3月のCPIは高水準だったものの、反応は限定的。金と原油は上昇。
3月消費者物価指数 → 0.6%
ドル/円 109.03 ~ 109.61
ユーロ/ドル 1.1878 ~ 1.1956
ユーロ/円 130.12 ~ 130.44
NYダウ -68.13 → 33,677.27ドル
GOLD +14.90 → 1,747.60ドル
WTI +0.48 → 60.18ドル
米10年国債 -0.051 → 1.615%
【本日の注目イベント】
欧 ユーロ圏2月鉱工業生産
欧 国際エネルギー機関(IEA)月報
欧 ラガルド・ECB総裁、ロイター主催のイベントで講演
米 3月輸入物価指数
米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
米 パウエル・FRB議長、オンラインイベントに参加
米 クラリダ・FRB副議長、オンラインイベントに参加
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンラインイベントに参加
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンライン討論会に参加
米 カプラン・ダラス連銀総裁、オンライン討論会に参加
米 企業決算 → JPモルガン、ウェルズファーゴ、ゴールドマン
3月の消費者物価指数は予想通り大きな伸びを見せました。
前月比「0.6%」と市場予想を上回り、前年同月比では「2.6%」の上昇と、2017年以来の大幅な上昇でした。特にガソリン価格の上昇が大きく、総合CPIの半分を同価格の上昇が占めています。ワクチン接種が進み、経済活動が再開したことで、米景気が回復に向かっていることを示すものですが、市場の反応は冷静だったようです。「今回のCPIの結果が直ぐに金融政策の変更につながるものではない」といった見方から債券が買われ、10年債利回りは一時1.6145%近辺まで低下し、3月25日以来約3週間ぶりとなる低水準を付けています。ドル円も米金利低下に素直に反応し、109円03銭までドル安が進みましたが、今のところNYでは109円割れは回避できています。
ワクチン接種が順調に進んでいる米国ですが、米保健当局はジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスワクチンの投与を一時停止するよう勧告しました。同ワクチンを接種した18歳から48歳の女性6人が、血小板の減少を伴う深刻な脳血栓を発症したというのがその理由です。
米食品医薬品局(FDA)の責任者は会見で、このうち少なくとも1人が死亡し、1人が危険な状態にあると報告しています。ホワイトハウスでコロナ対応の責任者は、「今回の接種中断がバイデン政権のワクチン計画に大きな影響を与えることはない」と説明し、これまで通り1日300万件のワクチン接種を維持できる考えを示しています。この措置を受けてJ&Jの株は売られ、モデルナ株は大きく上昇しています。
フィラデルフィア連銀のハーカー総裁はバーチャル形式のイベントで、「米経済の状況は改善しつつあるものの、回復はまだ初期段階にある。よって支援策を引き揚げる理由は今のところ見当たらない」と述べ、「現在のところ、金融政策は現状で据え置かれるだろう」との認識を示しました。
同総裁は今年のFOMCでの議決権は持っていませんが、ワクチン接種の拡大と感染率低下が、米経済を力強く押し上げると語っています。
バイデン大統領はロシアのプーチン大統領と電話会談を行いました。
ホワイトハウスは米ロ電話首脳会談について声明を発表し、「バイデン大統領はロシアがウクライナ国境と占拠中のクリミアに軍を突然集結させていることについて懸念を表明し、ロシアに緊張緩和を呼びかけた」と説明し、「サイバー攻撃や選挙介入など、ロシアの行動に対して、米国は断固とした行動を取ることもバイデン大統領は明確にした」と続けています。(ブルームバーグ)
バイデン大統領は3月のTV局とのインタビューで、プーチン大統領を「殺人者」だと思うかという質問に対して「そう思う」と答えたこともあり、今回の突然の電話会談はやや意外でしたが、ウクライナでの緊張の高まりに対応したようです。
ロシアがウクライナ国境の近いところに4万人の軍を集結させていることで、ウクライナ情勢が再び緊張を増しており、日本を含むG7は12日、直ちに緊張を緩和するよう共同声明を発表しています。
昨日もこの欄で述べたように、ドル円の動きは米長期金利の動きにリンクしており、その金利が低下傾向を見せていることから、上値を徐々に切り下げる展開が続いています。昨日発表のCPIの上振れが「一つのきっかけ」となって再びドル高へのステップを踏み出すイメージも持っていましたが、米長期金利の急低下にドル円は109円近辺まで押し戻されています。
現時点では、ドル高シナリオを維持していますが、当面のレンジを109円~111円程度と予想しているため、109円を大きく割り込む展開になれば、予想シナリオの修正も考える必要が出て来ます。本日ドル円は、108円80銭前後にある4時間足の「120本平均線」辺りが、下値のサポートかと思います。
予想レンジは108円70銭~109円50銭程度といったころでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間には109円75銭近辺まで買われたものの、海外に入ると下げに転じる。NYでは米長期金利の低下に合わせ、
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2021-04-14 09:45