【為替本日の注目点】ユーロドル1カ月ぶりに1.19台後半に

 ドル円は東京時間朝方に109円を割り込み、108円75銭近辺まで売られたがその後はもみ合う。NYでも109円台まで反発する場面があったものの、上値は限定的。ドル安の流れが続き、ユーロドルは約1カ月ぶりに1.1987までユーロ高が進む。株式市場はまちまち。前日と異なりダウは上昇したものの、他の主要指数は下げる。金融機関の決算発表が好調だったことがダウを押し上げた。債券は小幅に反落。長期金利は1.63%台へと上昇。金は反落。原油は大幅に続伸し、63ドル台に。 3月輸入物価指数  → 1.2%   ドル/円  108.88 ~ 109.09 ユーロ/ドル 1.1954 ~ 1.1987 ユーロ/円  130.28 ~ 130.58 NYダウ +53.62  → 33,730.89ドル GOLD  -11.30 → 1,736.30ドル WTI  +2.97 → 63.15ドル 米10年国債  +0.018 → 1.632% 本日の注目イベント 豪   豪3月雇用統計 独   独3月消費者物価指数(改定値) トルコ トルコ中銀政策金利発表 米   4月NY連銀製造景況業指数 米   4月フィラデルフィア連銀景況指数 米   新規失業保険申請件数 米   3月鉱工業生産 米   3月設備稼働率 米   3月小売売上高 米   4月NAHB住宅市場指数 米   米財務省、半年次為替報告書の議会への提出期限 米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンライン討論会に参加 米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演(オンライン) 米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演(オンライン) 米   クラリダ・FRB副議長、オンライン討論会に参加 米   企業決算 → シティーグループ、バンクオブアメリカ、ブラックロック、アルコア  FRBが公開した地区連銀経済報告(ベージュブック)によれば、多くの地区で経済活動ペースが上向き、消費も改善していることが判明しました。ベージュブックでは、「全国的な経済活動は、2月遅くから4月初めに緩やかなペースで加速した」と指摘し、「消費は力強さを増した。観光業に関する報告はより前向きな内容となった。レジャー活動や旅行に対する需要の上向きに支えられた」と記されています。一方で ブル―ムバーグは「空の旅はまだ活気を取り戻していない」と報じ、航空会社による輸送能力は世界的に見た場合、まだパンデミック前の58%にとどまっていると伝えています。販売座席数は1週間当たり6200万席前後で、2019年の1億600万席には遠く及んでいない。しかし、アジアは回復をけん引しており、意外にもコンゴ民主共和国で持ち直しが見られるとしています。中国や一部アフリカの国で増加に転じている一方、カナダや欧州の一部では50%程度の回復にとどまっています。  パウエルFRB議長はブルームバーグとのインタビューで、インフレ率が2%を持続的に達成し、労働市場の回復が完了するまで、FOMCは利上げを待つだろうとした上で、それが2022年より前に実現する可能性は低いと述べました。議長は、「資産購入を段階的に縮小するのは、利上げを検討する『ずっと前』になる可能性が高い。その順番は投票で決めたわけではないが、ガイダンスとしてそうゆう認識だ」と語っています。今後インフレ率が高まっても突然利上げを行うことはなく、テーパリングを通じて利上げの可能性を示唆し市場の混乱を避けると、これまでの自身の発言を改めて繰り返したものと受け止めています。  ドル円は昨日の早朝に、この欄でも指摘した「4時間足のサポート」と見られる108円80銭前後を一旦割込み、108円75銭までドル安が進む局面がありました。その後はその水準を割り込むことなく推移していることから、現時点ではテクニカル上のサポートレベルが一応機能していることになります。ドルの上値が重いのは、米長期金利が1.77%台で天井を付け、徐々に低下傾向を見せているからです。同時にその背景はFRBが現行の金融緩和政策の維持に「強い姿勢」を見せていることが挙げられます。パウエルFRB議長の上記の発言でも、2022年より前に利上げを行う可能性は低いとしましたが、2023年末まで現行のゼロ金利政策を継続することを基本としています。また長期金利が急騰し1.77%台まで上昇し、市場の利上げ観測が「前のめり」になってきたことに対しても、何度もけん制してきました。その効果もあったのか、金利は落ち着きを取り戻し、徐々に低下しているのが現状です。確かに消費者物価指数の上昇は、大規模な景気刺激策の効果もあり際立った上昇を見せ始めています。ただそれでも、「物価の安定と労働市場の最大化」というFRBの「ダブル・マンデート」を鑑みると、後者の労働市場の回復が遅れており、FRBの目標には「程遠い」ことから利上げは時期尚早ということになります。その意味では、今後もコロナワクチン接種の進捗具合が大きなカギを握っていると考えられます。昨日の海外市場ではドルが主要通貨に対して売られましたが、円が強含む度合いはユーロに比べても弱く、その結果ユーロ円が上昇しています。ポンド円でも同じような傾向が見られ、これはワクチンの接種の状況とも大きく関係しているものと思われます。ワクチン接種率は先進国だけではなく、OECD加盟国の中でも最低だと報告されています。 本日のドル円は108円50銭~109円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間朝方に109円を割り込み、108円75銭近辺まで売られたがその後はもみ合う。NYでも109円台まで反発する場面があったものの、上値は限定的。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-04-15 09:45