【為替本日の注目点】米長期金利1.52%台まで急低下。

ドル円は続落。好調な米経済指標を受け、長期金利が急低下したことでドル円は108円62銭まで下落。ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。1.1984までユーロが買われたが、1.20を目前に上昇力も鈍い。
株式市場は大幅に上昇。小売売上高が予想を超える伸びを示し、失業保険申請件数も大きく減少していたことでダウは305ドル上昇し、初の3万4000ドル乗せ。S&P500も最高値を更新。
債券相場は上昇。長期金利は大幅に低下し、一時は1.526%を付ける。その後1.57%台まで戻して引ける。金は大幅に続伸。原油も買われ4日続伸。
4月NY連銀製造景況業指数 → 26.3
4月フィラデルフィア連銀景況指数 → 50.2
新規失業保険申請件数 → 57.6万件
3月鉱工業生産 → 1.4%
3月設備稼働率 → 74.4%
3月小売売上高 → 9.8%
4月NAHB住宅市場指数 → 83
ドル/円 108.62 ~ 108.88
ユーロ/ドル 1.1957 ~ 1.1984
ユーロ/円 130.02 ~ 130.31
NYダウ +305.10 → 34,035.99ドル
GOLD +30.50 → 1,766.80ドル
WTI +0.31 → 63.46ドル
米10年国債 -0.056 → 1.576%
【本日の注目イベント】
◆中 1-3月GDP
◆中 中国3月小売売上高
◆中 中国3月鉱工業生産
◆欧 ユーロ圏2月貿易収支
◆欧 ユーロ圏3月消費者物価指数(改定値)
◆米 3月住宅着工件数
◆米 3月建設許可件数
◆米 4月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米 日米首脳会談(ワシントン)
◆加 カナダ3月住宅着工件数-
予想していたといえ、 米3月の小売売上高の伸びはややサプライズでした。前月比「9.8%」伸び、10カ月ぶりの大幅増加でした。2月分も上方修正されましたが、ワクチン接種の進展から行動制限も徐々に緩和され、さらに政府による1400ドル(約15万円)の現金給付も効いたようです。またこの日発表された週間失業保険申請件数も先週から大きく減少しており、バイデン政権の大規模な経済対策の効果が鮮明になっていると考えられます。
良好な経済指標を受け、NY株式市場では株価が大きく上昇しました。ダウは前日比305ドル上昇し、初の3万4000ドル台に乗せました。3万3000ドル台に乗せたのが先月10日でしたので、わずか35日での「大台替え」を達成しています。3万円台に乗せては何度も押し戻されている日経平均株価とは、大きく異なることを改めて感じさせられます。S&P500も最高値を更新し、軟調な展開が続いているナスダックでさえも、最高値更新まで50ポイント程度に迫ってきました。FRBがゼロ金利政策継続の姿勢を見せており、折からの企業決算発表でも、現時点では金融機関を中心に好決算が相次いでいることも、投資家心理を明るくしているようです。
米長期金利が急低下し、一時1.526%と、昨年11月3日以来となる低水準を付ける場面もありました。1.77%台まで上昇した米10年債利回りでしたが、その後は低下傾向が続いており、あの急騰劇は一体何だったんでしょう。
米プリンシパルのチーフストラテジストは、「単純に最近数カ月の利回り上昇が急激過ぎ、多くの予想よりも早かったことが原因かもしれない」(ブルームバーグ)と述べ、明確な理由がつかめない様子です。
また昨日の債券価格の上昇については、4月に入り、国内生保の資産用計画が明らかになり、国内での運用難から米国債の利回りが魅力的なことで買いに入ったとの声も聞こえてきました。特に10年債利回りから為替のヘッジコストを差し引いた利回りが、年初は0.5%程度だったものが3月には約1.4%まで拡大し、これは日本の30年債の利回りの2倍にあたるといった「講釈」まで出ています。
国内での運用難は今に始まったことではありません。このまま米金利がさらに大幅に低下するとも思えません。米景気の回復にともない、インフレの足音は着実に迫っていると思います。物価上昇が長期金利の上昇につながり、米国債は国内生保にとってはさらに投資妙味が増すと考えれば、それはドル需要の拡大につながると思われます。
米金利との相関が強いドル円は金利低下に108円62銭まで下落しましたが、それでも昨年の11月3日のドル円は104円台であったことを考えると、米金利低下に対する耐久力がついてきたとも言えます。日足では108円35-40銭辺りがサポートと見ており、この水準を大きく割り込むようだと、一目均衡表では「遅行線」がローソク足を割り込み、「展開線」が「基準線」を割り込む「逆転」が示現します。日足で「逆転」現象が現れるということは、ドル安の始まりを示唆することになります。「米国の一人勝ち」を基本とすれば、まだドル高が続くと予想していますが、この点には注意が必要です。ファンダメンタルズでは「ドル高」を示す一方、テクニカルでは「ドル安」を示唆することになるかもしれません。
トルコ中銀は15日、政策金利の据え置きを決めました。
エルドアン大統領の逆鱗に触れ更迭された総裁に替わり新総裁に就任したカブジュオール氏の最初の金融政策会合であったこともあり、注目されていました。政策金利据え置きを決めたものの、声明で、この日の決定について「必要に応じて追加的な引き締めを行う」という文言が削除されていたことで、発表直後リラ円は売られましたが、その後元の水準を回復しています。ただ、トルコを巡る情勢は厳しいものがあります。足元の消費者物価指数は16%に迫っています。仮にエルドアン大統領が望むように利下げが実施されればさらにリラは売られ、通貨安が進めば一段と輸入物価を押し上げます。原油高もトルコにとっては厳しく、スタグフレーションに陥り「負のスパイラル」が続くことになります。当面、リラが水面に浮上する可能性は低いと見ます。
本日はワシントンで日米首脳会談が予定されています。
実際に行われるのはあすの未明かと思いますが、今回は為替に与える影響はほとんどないと予想しています。中国問題での日本の役割を中心に、人権問題や東シナ海などでの海洋進出、気候変動などについて話合われるものと見られます。
本日のドル円は108円30銭~109円10銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続落。好調な米経済指標を受け、長期金利が急低下したことでドル円は108円62銭まで下落。ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。
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2021-04-16 10:00