【為替本日の注目点】ドル円1カ月半ぶりに108円近辺に

ドル円は続落。ユーロドルでユーロが買われた影響から円も急伸。108円近辺までドル安が進み、3月6日以来となる円高水準を付ける。ユーロドルは続伸し、1.20台に乗せ、約1カ月半ぶりに1.2041まで上昇。株式市場は反落。連日の最高値更新の中、利益確定の売りに押され3主要指数は揃って下落。債券は小幅に下落。長期金利は1.60%台を回復、金は反落し原油は反発。 ドル/円  108.01 ~ 108.31 ユーロ/ドル 1.2015 ~ 1.2041 ユーロ/円  129.81 ~ 130.22 NYダウ -123.04  → 34,077.63ドル GOLD -9.60 → 1,770.60ドル WTI  +0.25 → 63.38ドル 米10年国債  +0.025 → 1.605% 【本日の注目イベント】 豪   RBA議事録 独   独3月生産者物価指数 英   英3月失業率 米   企業決算 → J&J、ネットフリックス、P&G、ロッキード  ドル円は久しぶりに大幅な下げに見舞われ、一時は108円ぎりぎりの水準まで売られ、何とか108円割れを回避した状況でした。連日この欄でも触れていたように、108円30-40銭のサポートゾーンを大きく割り込んで来ました。一目均衡表では2つの「逆転」が完成し、あと「雲」を下抜けすれば「三役逆転」が完成することになりますが、それには106円を割り込む必要があります。テクニカルでは「ドル安」を示唆していましたが、結局テクニカルが優勢だったということになります。もっとも、昨日の円高はユーロ高やポンド高に引っ張られた側面が強く、純粋に円を買う動きとは異なると捉えています。今後の円高には警戒が必要ですが、敢えて円が再び売られるサインを探せば、「200日移動平線」や「120日移動平均線」では、まだわずかですが上向きで推移している点です。ただこの移動平均線もドルがここから大きく反発しなくても、108円台前半で推移し続ければ、横ばいから下向きに変化してきます。  米ファイザーと独ビオンテックはEU向けのコロナワクチンを追加で1億回分供給することで合意したと発表し、これがユーロ買いにつながったようです。ポンドも同様に、先進国で最もワクチン接種が進んでいることから早期の景気回復が期待できるとの観測がポンドを押し上げています。そう考えると、我が国のワクチン接種率は問題外のレベルです。国全体では0.1%以下にとどまっており、昨日厚生労働省から発表されたデータでは、医療従事者でさえも2回接種を終えた割合は15%程度にとどまっています。国民にワクチン注射を行う医師自身が接種を終えていない例が多く見られるようです。ワクチンの接種率がその国の通貨の強弱に影響している足元の為替では、このまま円が買われ続ける可能性は極めて低いと考えても不思議ではありません。  昨日のNY株式市場ではハイテク株の下落が目立ちましたが、その中でもイーロン・マスク氏率いる「テスラ」株が大きく売られました。17日テキサス州で運転者「不在」だったテスラ車が高速運行中にカーブを曲がり切れず、木に衝突。事故を起した車は炎上し、乗っていた2人が死亡しました。同地区の警察の調では、事故を起したのは2019年式のセダン「モデルS」で、「死亡した1人が助手席で、別の1人は後部座席で発見されたことから、「衝突時に誰も運転していなかった」ことが示唆されると指摘しています。この事故に関して、イーロン・マスク氏はツイートし、「これまで回収された記録からは自動運転支援システム『オートパイロット』が有効になっていなかったことが示されている」とし、「事故車では完全自動運転ソフトウェア(FSD)が購入されていなかた」とも指摘しています。(ブルームバーグ)この報道でテスラ株は一時10%も下げる場面があったようです。  ドル円が110円97銭まで上昇したのは、ちょうど3月末でした。そこを頂点にじり安が続いていますが、次のサポートを探してみると、まず108円は大台替えということでサポートになり易いと考えられます。ここを割り込んだ場合、フィボナッチ・リトレースメントでいう所の「38.2%戻し」に当たるのが、107円77銭辺りです。これは今年1月6日の102円59銭から上記110円97銭の上昇幅を計算したものです。またCFTCの先物建て玉を見ると、ネットの円売り枚数は3月30日の48510枚がピークとなっており、その後やや減少傾向です。これは、この日の翌日にドル円が111円手前まで上昇したことと整合性が取れます。108円水準までドル安が進んだことで、円を買い戻す動きも活発化したと思われますが、先週16日(金)時点での数字は本日、米商品先物取引委員会(CFTC)から発表されますが、ネット円売りポジションは相当減少していると予想しています。  テクニカルではドル安を示唆する中、今後105円を目指すのか、あるいは再び110円に向かうのか難しい選択を迫られることになります。 本日のドル円は107円70銭~108円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続落。ユーロドルでユーロが買われた影響から円も急伸。108円近辺までドル安が進み、3月6日以来となる円高水準を付ける。ユーロドルは続伸し、1.20台に乗せ、(イメージ写真提供:123RF)
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2021-04-20 09:45