【為替本日の注目点】ドル円一時108円を割り込む

昨日の東京時間朝方に108円を割り込み、107円97銭まで売られたドル円はその後緩やかに反発。NYでは108円台ミドルまで買われたが、米長期金利の低下に再び下落し、108円10銭前後で取引を終える。
ユーロドルは1.20台で底堅く推移。ワクチン接種の差が意識され、ユーロ買い円売りが強まりユーロ円は131円手前まで上昇。
株式市場は続落。インドなど、コロナ感染の拡大懸念が広がり、主要3指数は揃って下落。債券相場はリスク回避の流れから上昇。長期金利は再び1.6%を割り込み、1.55%台に低下。ドル安が進み金は上昇。原油は反落。
ドル/円 108.03 ~ 108.51
ユーロ/ドル 1.2023 ~ 1.2056
ユーロ/円 129.99 ~ 130.68
NYダウ -256.33 → 33,821.30ドル
GOLD +17.80 → 1,778.40ドル
WTI -0.94 → 62.44ドル
米10年国債 -0.046 → 1.559%
【本日の注目イベント】
豪 豪3月小売売上高
欧 IOC理事会
英 英3月消費者物価指数
英 ベイリー・BOE総裁、オンラインイベントで講演
米 企業決算 → ベライゾン、
加 カナダ中銀政策金利発表
加 カナダ3月消費者物価指数
昨日の朝方にはドル円が一時108円を割り込み、107円97銭まで売られる場面がありました。瞬間的な動きであったため107円台での「滞空時間」は短かったものの、107円台は3月5日以来の水準です。
背景は日経平均株価が朝方から大きく売られ、「リスク回避」の流れが強まったことにあります。先週末からの日本株の動きは、米国株が大きく上昇し最高値を更新しても上昇幅はわずかで、米国株が下げるとそれ以上に下げが加速する。昨日などはその典型でした。
「投資家の目線が『感染者の数』から『ワクチンの接種状況』に移った」(日経新聞)というのがその大きな理由のようですが、まったく同感です。日本の感染者は世界の先進国の中では驚異的に少なく、「ファクターX」などと呼ばれ、日本人特有の何かがあるのではないかと研究対象にもなっていますが、それが逆に医療体制の遅れや、ワクチン確保の遅れにつながったことは否定できないと思います。
昨年夏には、コロナ感染者が増加する予想がある中、「GoToトラベル」を中止しなかった菅政権でしたが、政権内の「読みの甘さ」が現在の第4波につながっています。
昨日もこの欄で述べたように、日本全体のワクチン接種率が0.1%以下という「世界の主要国の中でも突出して低い」ことがリスクとして意識され、株価の下落につながっています。本来なら円は売られても不思議がない中、ドル円ではドル安が進んでいることから相対的に円が買われているに過ぎません。昨日の夕方、欧州勢が参入して来ると、ワクチン接種が進むと見られるユーロが買われ、ワクチン接種が大きく遅れている円が売られ、ユーロ円は130円97銭近辺まで上昇しました。これは2018年10月以来、実に2年半ぶりの水準になります。
また一時は108円を割り込んだドル円でしたが、その後は値ごろ感からドル買い戻しも入り、108円台ミドルまで反発しましたが、NYでは再び108円近辺までドル売りが再燃しました。NY株式市場が大きく下げたことでリスク回避の流れが強まり、安全資産の米国債が買われ、金利が低下したことでドルが売られています。
今後もドル高が継続されるといった見方の根拠に、インフレの高まりから米金利が上昇し、その結果、米金利と相関が強いドル円が上昇するという「シナリオ」があります。今後日米の株価が大きく「調整局面入り」するようだと、米金利の低下要因となることから、NY株式市場の動向にも目配りが必要です。
中国海南省で行われた「ボーアオ・アジアフォーラム」で中国の習近平主席はビデオ演説を行い、日米を直接批判しなかったものの間接的な表現を使い、「偉そうな態度で他国を指図し内政に干渉しては、人心を得られない」、「一つまたは幾つかの国が決めた規制を他国に無理強いできない」など、人権問題、台湾海峡、さらにはサーバー攻撃問題などで、自国の正当性をアピールしていました。そして、「いかなる形の新冷戦にも、イデオロギーの対立にも反対する」と述べています。
先週ワシントンで行われた日米首脳会談での共同声明は、中国にとって一歩踏み込んだものであったことから、中国側の猛烈な反発も予想されましたが、今のところ「大人の対応」を取っているようです。
ロイター通信はパウエルFRB議長がリック・スコット上院議員に宛てた書簡で、今年のインフレは若干上昇する可能性があると認識をしていると報じています。議長は、「インフレが2%を著しく上回ったり、長期間にわたって2%を超える状況を目指していない」と書簡で述べ、「1960年代と70年代で経験した高インフレの教訓、そしてその経験が米国民にもたらした負担をわれわれはよく理解している。そうしたインフレ圧力は予想していないが、現実に起きた場合でも当局には対応できる手段がある」と記してあります。
「108円台の攻防」の様相を呈しているドル円ですが、本日も日本株は下落が予想され、昨日と同じように、リスク回避の流れが強まり下値を試す可能性があります。
本日は107円60銭~108円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
昨日の東京時間朝方に108円を割り込み、107円97銭まで売られたドル円はその後緩やかに反発。NYでは108円台ミドルまで買われたが、
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2021-04-21 10:00