【為替本日の注目点】カナダ中銀金融正常化へ踏み出す

 東京時間に107円88銭前後まで売られたドル円はその後反発。NYでは小動きの中108円20銭までドル高に振れたが上値の重い展開が続く。ユーロドルは小幅に反落。ECB理事会を控え、ポジション調整から1.20を割り込む場面も。株式市場は3日ぶりに大きく反発。景気回復期待から素材・エネルギー・金融銘柄が大きく上昇し、ダウは316ドル高。債券相場はほぼ変わらず。長期金利は1.55%にとどまる。金は続伸。原油は続落し61ドル台に。 ドル/円  107.98 ~ 108.20 ユーロ/ドル 1.1999 ~ 1.2038 ユーロ/円  129.63 ~ 130.14 NYダウ +316.01  → 34,137.31ドル GOLD +14.70 → 1,793.10ドル WTI  -1.32 → 61.35ドル 米10年国債  -0.003 → 1.556% 【本日の注目イベント】 欧  ユーロ圏4月消費者信頼感指数(速報値) 欧  ECB政策金利発表 欧  ラガルド・ECB総裁記者会見 米  新規失業保険申請件数 米  3月景気先行総合指数 米  3月中古住宅販売件数 米  バイデン大統領、気候サミット開催(オンライン、23日まで) 米  企業決算 → AT&T、インテル、ブラックストーン  昨日の東京市場の朝方は前日と同じ展開で、日経平均株価が寄り付きから大きく下げたことで円を買う動きが強まり、107円88銭近辺までドル安が進みました。これまでの動きと異なるのは、米金利一辺倒だったドル円の動きが、日経平均株価の動きにも左右され易くなったことです。ここ数日のようにリスク回避の流れが強まると、「株の下落」には特に反応しやすくなるのがドル円です。株価が上昇してもドル円は下げ、株価が下落してもドル円は上昇したような、非相関の関係からは脱却し、その意味では東京時間でも株価が動けばドル円の短期的な動きは把握しやすくなっています。さすがに今日の日経は上昇すると見られますが、予想外に大きく上昇すればリスク回避の流れが後退することでドル円は短期的には上昇するかもしれません。今朝の経済新聞に世界的な株安の流れの中、日本株の下落が突出しているとの記事がありましたが、その順位を見るとワクチン接種率との関係も浮かび上がってきます。  カナダ中銀のマックレム総裁は20日、資産購入の規模を週30億カナダドル(約2600億円)と、現行の40億カナダドルから縮小するほか、利上げが可能になる時期のメドを前倒しにしたことを発表しましまた。この発表は市場にとってサプライズで、ドル・カナダは1.2630近辺から1.25前後まで急速にドル売りカナダ買いが進みました。米国やオーストラリアなど、金融政策の正常化を模索する中、カナダ中銀は新型コロナウイルスのパンデミックからの回復が予想以上に底堅いとして、緊急時のレベルに拡大していた金融緩和の規模を他の主要中銀に先駆けて縮小した形です。今後金融緩和からの出口の機会を探している他の中銀に影響を与える可能性もあります。  バイデン大統領が明日から開く「気候変動サミット」に40カ国の首脳が出席する予定です。この中に習近平中国主席や、プーチン・ロシア大統領も含まれています。ブルームバーグは、「他の多くの問題で緊張が続いている米国と中国が、気候変動問題を他の問題と切り離して会合に臨めるかどうかが注目される」と報じています。一方プーチン大統領は21日の年次教書演説で、米国や欧州に対して「一線を越えないと期待する」と述べています。ウクライナやベラルーシでの緊張の高まりを巡り、他国が一線を超えた場合「ロシアの対抗措置は非対称的、迅速で厳しいものになる」と警告しました。米国とロシアは、反体制派を主導するナワリヌイ氏の拘束問題でも緊張が高まっており、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はCNNで、「われわれは様々な代償を検討している。現時点でそれを公にする考えはない。ただ、ナワリヌイ氏の死亡には結果が伴うと伝えてある」と述べ、米政府は同氏が死亡した際にはロシアに対して相応の制裁を考えていることを、すでに発表しています。  大阪を中心に関西圏でコロナ感染者数が急増しています。昨日は全国でも5300人近い新たな感染者が報告されており、3回目となる「緊急事態宣言」も時間の問題のようです。世界に目を向けると、インドの感染者数の増加が際立ってきました。1日で30万人近い新規感染者が出ており、昨日は死者数が2023人と、これまでで最多となっています。一方でフランスでは地域間移動を制限する措置を5月3日で解除するようです。またギリシャでも5月初旬に主なロックダウン措置の大半を緩和すると伝えられています。ここでもまさに「ワクチン接種率」が明暗を分けているということになります。 本日のドル円は107円70銭~108円50銭程度を予想しています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
東京時間に107円88銭前後まで売られたドル円はその後反発。NYでは小動きの中108円20銭までドル高に振れたが上値の重い展開が続く。ユーロドルは小幅に反落。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-04-22 09:45