【為替本日の注目点】米富裕層へのキャピタルゲイン税引き上げへ

ドル円は上値の重い展開が続く。再びリスク回避の流れが強まり、米長期金利が低下したことを受け、概ね108円台前半で推移。1.20台半ばで推移していたユーロドルは、ECBが政策維持を決めると下落。1.1994前後までユーロ売りが優勢に。
株式市場は大幅に反落。バイデン大統領が富裕層に対するキャピタルゲイン税を現行の約2倍に引き上げる見通しと伝わったことで主要株価指数は急落。債券は続伸。長期金利は1.53%台へと低下。金は反落し、原油は上昇。
新規失業保険申請件数 → 54.7万件
3月景気先行総合指数 → 1.3%
3月中古住宅販売件数 → -3.7%
ドル/円 107.95 ~ 108.23
ユーロ/ドル 1.1994 ~ 1.2070
ユーロ/円 129.66 ~ 130.46
NYダウ -321.44 → 33,815.90ドル
GOLD -11.10 → 1,782.00ドル
WTI +0.08 → 61.43ドル
米10年国債 -0.017 → 1.538%
【本日の注目イベント】
日 3月消費者物価指数
独 独4月製造業PMI(速報値)
独 独4月サービス業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏4月総合PMI(速報値)
欧 ユーロ圏4月製造業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏4月サービス業PMI(速報値)
英 英3月小売売上高
英 英4月製造業PMI(速報値)
英 英4月サービス業PMI(速報値)
米 4月マークイット製造業PMI
米 4月マークイットサービス業PMI
米 4月マークイットコンポジットPMI
米 4月新築住宅販売件数
米 企業決算 → アメックス
NY株式市場では主要株価が軒並み下げ、再びリスク回避の流れが強まったことから債券が買われ、長期金利が低下しました。ドル円は107円台では底堅い動きを見せるものの、長期金利が思ったほど上昇しないことで上値が抑えられる展開が続いています。
バイデン大統領が富裕層に対するキャピタルゲイン税の税率を「39.6%」と、現行の「20%」からほぼ2倍に引き上げる見通しだと、複数のメディアが報じました。対象は所得が100万ドル(約1億800万円)の個人とし、投資収入に対して現在課している付加税を合わせると、キャピタルゲインに対する連邦税の税率が最高で「43.4%」に達する可能性があるようです。ホワイトハウスのサキ報道官は記者会見で、「どのようなものになるか、まだ調整中だ」と述べるにとどめていますが、この富裕層に対する増税案は今に始まったことではなく、大統領選の際にも公約として掲げられており、バイデン大統領は経済対策の財源確保と同時に、「所得格差の拡大」に歯止めを掛ける目的のようです。これに対して共和党は、トランプ前大統領が実施した2017年の減税を維持することを強く主張し、現行のキャピタルゲイン税の枠組みは貯蓄を促し、将来の経済成長を促進すると述べています。(ブルームバーグ)
ECBは22日の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入枠1兆8500億ユーロ(約240兆円)の据え置きを決め、他の政策手段も据え置きました。
ラガルド総裁は会見で、「入ってくる経済指標や高頻度データは経済活動が今年1-3月(第一四半期)に再び縮小した可能性を示唆するが、4-6月(第2四半期)の成長再開を示している」と述べ、刺激措置の「段階的終了は議論しなかった。全く時期尚早だ」と、一部にある「テーパリング観測」を一蹴しました。また景気見通しについても「全体として、ユーロ圏の成長見通しを取り巻く短期的なリスクは引き続き下方向だが、中期的なリスクはより均衡している」と述べています。ラガルド総裁のやや「ハト派的」な発言に、ユーロドルは1.20台半ばから1.20近辺まで売られています。
昨日発表された米週間失業保険申請件数は「54.7万件」と、パンデミック後では最小でした。大規模な経済対策とコロナワクチン接種の進展で、サービス業を中心に雇用の勢いが増していると捉らえられます。
一方で、3月中古住宅販売件数は「-3.7%」と、7カ月前の水準に減少していました。こちらは、住宅価格の高騰と物件不足が潜在的な買い手を遠ざけた(ブルームバーグ)と見られます。
ドル円は108円を挟み、やや膠着感が強まっています。
値動きの少ない理由の一つは、米長期金利の変動幅が縮小してきたことが挙げられます。今週は今日1日を残していますが、長期金利は1.53~1.62%のレンジ内で動き、ほぼ1.55~1.60%の狭い範囲に収まっています。
今後、バイデン大統領の掲げるインフラ投資規模の着地点や、富裕層に対するキャピタルゲイン税引き上げによる税収効果などが具体化すれば、債券市場も動意を見せるものと予想しています。
本日のドル円は107円70銭~108円50銭程度と見ています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は上値の重い展開が続く。再びリスク回避の流れが強まり、米長期金利が低下したことを受け、概ね108円台前半で推移。
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2021-04-23 09:45