【為替本日の注目点】ユーロ円2年半ぶりに131円台半ばへ

ドル円は108円台後半まで続伸。米長期金利が1.6%台を回復し、消費者マインドなども予想を上回ったことでドルが買われた。この日の高値は108円77銭。
ユーロドルは1.20台後半で小動き。ドル円が円安に大きく振れたことでユーロ円は131円51銭前後まで買われ、2018年10月以来の高値を記録。
株式市場はまちまち。ダウは前日とほぼ同水準のプラス圏で引けたが、ナスダックとS&P500は小幅安。債券は続落。長期金利は8日ぶりに1.6%台に乗せて取引を終える。金は反落し原油は反発。
2月ケース・シラ-住宅価格指数 → 11.94%
2月FHFA住宅価格指数 → 0.9%
4月消費者信頼感指数 → 121.7
4月リッチモンド連銀製造景況業指数 → 17
ドル/円 108.23 ~ 108.77
ユーロ/ドル 1.2070 ~ 1.2093
ユーロ/円 130.78 ~ 131.51
NYダウ +3.26 → 33,984.93
ドルGOLD -1.30 → 1,778.80ドル
WTI +1.03 → 62.94ドル
米10年国債 +0.055 → 1.622%
【本日の注目イベント】
豪 豪第1四半期消費者物価指数
独 独5月GFK消費者信頼感
米 FOMC 政策金利発表
米 パウエル議長記者会見
米 バイデン大統領、上下両院合同会議で演説
米 企業決算 → アップル、フェイスブック、ボーイング
加 カナダ2月小売売上高
ドル円は東京時間から海外にかけても108円台で推移し、NYでは長期金利の上昇や消費者マインドなどの上振れを支えにドルが買われ、108円77銭までドル高が進みました。
先週末には一時107円50銭を割り込む場面もあり、市場のセンチメントも円高方向にかなり傾いた局面もありましたが、それでも米長期金利のさらなる低下の可能性は低いと見て、ドル高シナリオを維持していましたが、今のところシナリオ通りといった状況です。米長期金利は8日ぶりに1.6%台に乗せ、1.62%近辺で引けています。
また4月のコンファレンスボード消費者マインドは「121.7」と、事前予想の「113.00」を大きく上回り、昨年2月以来の高水準でした。コロナのパンデミック前の水準を回復したということになります。
バイデン大統領が大規模な経済対策を矢継ぎ早に講じ、ワクチン接種も急速に進んでいることが、消費者心理を大きく改善していると見られます。米疾病対策センター(CDC)は27日、屋外マスク着用ルールを変更し、新型コロナウイルスのワクチン接種を完了すれば、運動や少人数での食事など、屋外で活動する時のマスクを着用しなくてもよいとのガイドラインを発表しました。ワクチン接種を完了した者同士や家族が屋内で集まる場合、マスクの着用もソーシャルディスタンスも不要だということです。ただし、多人数で集まる場合にはこれまで通りマスクの着用は必要とのことです。
今週25日から4都府県で3度目の緊急事態宣言を発出した日本との差は歴然です。バイデン大統領はこの発表を受けた演説で、ワクチン接種を受けていない人に対して、「Now! Now!」と、すぐに接種を受けるよう訴えていました。香港でも、バーとナイトクラブ、カラオケ店の再開と深夜過ぎまでの営業を29日から認める予定で、利用できるのはワクチン接種を受けた住民のみとする(ブルームバーグ)ことを決めています。
全米ベースの2月ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で「12%」上昇し、2006年以来となる高い伸びとなっています。引き続き歴史的に低い住宅ローン金利と株高による資産効果が追い風となっており、新型コロナウイルスの流行をきっかけとした「すごもり」も、米国民の購買意欲を高めていると見られます。さらに住宅価格の上昇が人々に早めの購入を促しているようで、フェニックスやサンディエゴ、シアトルなどの主要都市では住宅市場がタイト化していると伝えられています。
バイデン大統領は本日上下両院合同会議で演説を行い、「米国の家族のための計画」について公表する予定です。
ブルームバーグは非公開情報であり、ホワイトハウスの確認が取れていないとしながらも、バイデン大統領と経済チームは、低所得層・中間層支援策の財源確保の手段として、個人の遺産税(相続税)適用を拡大する措置は見送る方針だと伝えています。
バイデン大統領は2020年の大統領選挙のキャンペーンでキャピタルゲイン税と法人税に加え、遺産税についても増税を公約に掲げていました。
明日の朝方3時にFOMCの政策発表があります。
今回は政策変更はなく、据え置きがコンセンサスになっていますが、注目はパウエル議長の発言内容です。上述のように、発表される経済データはほぼ全てが良好です。足元の物価も着実に上昇しており、市場にも「テーパリング」を意識する発言が目立ってきました。今回の会合で「テーパリング」に踏み込むことはないと思いますが、次回(6月15-16日)か、その次(7月27-28日)の会合に向けた地ならし程度はあるかもしれません。FRBのダブル・マンデートである「物価の安定と労働市場の最大化」では、まだ後者がFRBの目標から「ほど遠い」状況ですが、その労働市場でも非農業部門雇用者数や失業保険申請件数などでは改善傾向が顕著になってきました。加えて、ワクチン接種の進展もあり、今後サービス業を中心に雇用の伸びも期待できそうです。
「引き続き経済データを注視する」と述べながらも、FRBの目標には届いていないことから、政策変更は「時期尚早」との姿勢を示すのではないかと予想しています。また先週、カナダ中銀が他の中銀に先駆けて「テーパリング」に踏み切ったことの影響も気になるところです。
金融緩和策の継続が強調されるような「ハト派的」であれば、株価の上昇につながり易い一方、長期金利の低下要因になる可能性があります。
本日のドル円は108円10銭~109円10銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
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5月6日(木)から再開いたします。
ご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上げます。
ドル円は108円台後半まで続伸。米長期金利が1.6%台を回復し、消費者マインドなども予想を上回ったことでドルが買われた。この日の高値は
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2021-04-28 10:00