【為替本日の注目点】ダウは小幅ながら最高値を更新

ドル円は109円前半から半ばで推移。雇用情勢を示す指標は良好だったものの、米長期金利が低下したことから上値は限られた。ユーロドルはやや水準を切り下げ、1.20を割り込む。株式市場はまちまち。ダウは97ドル高と続伸し、最高値を更新。ナスダックは続落。債券相場は反発。長期金利は1.56%台へ下落。金は反発し、高値圏で推移している原油は反落。 4月ADP雇用者数       →  74.2万人 4月ISM非製造業景況指数   →  62.7 ドル/円  109.15 ~ 109.39 ユーロ/ドル 1.1992 ~ 1.2011 ユーロ/円  131.02 ~ 131.32 NYダウ +97.31  → 34,230.34ドル GOLD +8.30 → 1,784.30ドル WTI -0.06 → 65.63ドル  米10年国債  -0.026 → 1.566% 【本日の注目イベント】 トルコ トルコ中銀政策金利発表 独   独3月製造業新規受注 欧   ユーロ圏3月小売売上高 欧   ECB経済報告 英   BOE金融政策発表 英   英地方選(スコットランド議会選。ロンドン市長選など) 米   新規失業保険申請件数 米   労働生産性指数(1Q) 米   メスター・クリーブランド総裁、オンライン討論に参加 米   カプラン・ダラス連銀総裁、討論に参加  日本がゴールデンウィーク中ドル円は上昇し、3日(月)の欧州市場朝方には109円68銭までドルが買われ、3週間ぶりとなるドル高を付けました。日足チャートでも一旦は「雲」の中までドルが下落したものの、直ぐには跳ね返され、結局「雲」に沿った形で上昇していることが確認できます。一方米長期金利の方は、4月29日(木)に1.68%台まで上昇したものの、その後はどちらかと言えば、低下傾向です。今回のドル高への回帰は、米長期金利の影響ではなく、やはり「コロナワクチン接種の進捗状況の差」と言えるのではないでしょうか。日本は主要国でのワクチン接種率では圧倒的に遅れており、先月末にはユーロ円が132円30銭近辺まで売られたように、クロス円でも概ね円安が進んでいます。  また、第1四半期GDPに見られたように、米ファンダメンタルズは依然として好調のようで、この部分もドル高に作用していると見ています。明日には4月の雇用統計の発表もあります。既に100万人程度の雇用者が予想されていますが、昨日のADP雇用者数の結果を見ても、かなり伸びていることは間違いなさそうです。ただドル円は、ここからが正念場です。3月末には110円98銭までドル高が進み、112円も近いと思われたドル円でしたが、そこから約1カ月をかけ、107円48銭まで下落しました。すでに底値からは2円以上反発しているものの、ここからもう1円以上ドル高が進むには、やはり長期金利の上昇が不可欠かと思います。足元では1.56%台で推移している米長期金利は、ドル円が上記高値を付けた際には1.70~1.74%まで上昇していました。つまり、まだこのままドル円が110円を超えて112円まで買われる地合いではないと考えています。  イエレン財務長官は3日に米紙とのインタビューで「米経済が過熱しないよう確実を期するには、金利はやや上昇せざるを得ないかもしれない」と述べ、市場に動揺が広がりましたが、イエレン氏はその後、「私は予想したり、推奨しているわけではない」と述べ、発言の真意は、金融当局にはインフレが加速した場合に対応する手段があることを強調しています。昨日も多くの金融当局者の発言がありましたが、総じてインフレについてはまだ懸念を深めてはいない状況です。ダラス連銀のカプラン総裁は、「経済活動の再開が進む中で物価上昇圧力を注意深く見守っている」と述べ、「インフレ率は年末までに2.25%近辺で落ち着く」との認識を示しています。また、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁も、国内のインフレ上昇について、「一時的なものであり、また若干の上昇はわれわれにとって良いことだ」との立場を示しています。さらに、シカゴ連銀のエバンス総裁も、「このシナリオが起きる可能性は極めて低い」と述べています。(ブルームバーグ)  上でも述べたように、ドル円はここからもう一段上昇できるかが注目されますが、同時にユーロドルの動きも気になるところです。ユーロドルはゴールデンウイーク中に1.21台半ばまでユーロ高が進む場面もありました。ドルが売られユーロが買われた訳ですが、その際に円も売られたことになります。チャートでは「月足」でも上昇傾向が示されていますが、これはコロナ感染の拡大が落ち着き、経済活動の再開が見込まれていることを反映していると見ています。ただ、この先まだ不確実な点も多く、個人的にはユーロのさらになる上昇には懐疑的です。 本日のドル円は108円90銭~109円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は109円前半から半ばで推移。雇用情勢を示す指標は良好だったものの、米長期金利が低下したことから上値は限られた。ユーロドルはやや水準を切り下げ、(イメージ写真提供:123RF)
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2021-05-06 10:00