【為替本日の注目点】ユーロ円131円台後半へ

ドル円は下落。日米の株価の大幅上昇に底堅い動きを見せていたが、雇用統計を前に持ち高調整のドル売りに押され109円近辺まで下落。
ユーロドルは反発し、1.2071まで上昇。ユーロは対円でも131円85銭前後まで買われ、2018年10月以来となる高水準を記録。
株式市場は3指数とも揃って上昇。特にダウは318ドル上昇し、連日で最高値を更新。新規失業保険申請件数など、良好な経済指標に安心感が広がる。債券相場はほぼ横ばい。長期金利は1.57%台と小幅に上昇。金は大幅に続伸し1800ドル台を回復。原油は続落。
新規失業保険申請件数 → 49.8万件
労働生産性指数(1Q) → 5.4%
ドル/円 109.00 ~ 109.40
ユーロ/ドル 1.2044 ~ 1.2071
ユーロ/円 131.42 ~ 131.85
NYダウ +318.19 → 34,548.53ドル
GOLD +31.40 → 1,815.70ドル
WTI -0.92 → 64.71ドル
米10年国債 +0.004 → 1.570%
【本日の注目イベント】
中 中国4月外貨準備高
中 中国4月財新サービス業PMI
中 中国4月財新コンポジットPMI
中 中国4月貿易統計
独 独3月貿易収支
独 独3月鉱工業生産
欧 ラガルド・ECB総裁講演
米 4月雇用統計
米 3月卸売在庫
米 3月消費者信用残高
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、オンライン討論に参加
昨日の東京時間では久しぶりに日経平均株価が大幅な上昇を見せたことから、ドル円は堅調に推移し、その流れはNY市場にも引き継がれた格好でしたが、今夜の雇用統計を前にポジション調整のドル売りが優勢となり109円前後まで押し戻されています。労働市場の改善傾向は続き、発表された新規失業保険申請件数は「49.8万件」と、市場予想を下回り、新型コロナウイルス感染がパンデミックとなって以来最小となっています。
失業保険申請件数は全米で減少していましたが、特にバージニア州とNY州での減少が目立っています。コロナワクチンの接種が進み、経済活動が再開されてきたことを表していると見られますが、今夜の雇用統計でも100万人を超える増加があるかもしれません。アトランタ連銀のボスティック総裁は、「4月の雇用者数が100万人増となっても驚きはしない」と述べています。
相変わらずコロナ関連のニュースで満載です。米ファイザーと独ビオンテックは東京五輪・パラリンピックの選手団向けにワクチンを供給することで国際オリンピック委員会(IOC)と合意したと発表しました。
一方でファイザーのブーラCEOは、ワクチン開発に伴う特許権の一時放棄を支持すると表明したバイデン政権に対して反発しています。開発されたワクチンに関する特許が一時的に適用除外になれば、ジェネリック品の開発が進み、途上国でのワクチン不足が一気に解決する可能性がありますが、ブーラCEOは「これから始めようとしても1~2年で作れるとは思えない。特許権の放棄はむしろ生産を遅らせる可能性がある」と反対しています。
また特許権の放棄を巡っては欧州でも見解が分かれており、フランスのマクロン大統領は直ちに支持を表明しましたが、ドイツのメルケル首相は、「米国の提案はワクチン生産に深刻な問題を生じさせる」とし、「製薬業界は、研究開発への投資で利益が生まれるというインセンティブがなくなれば、各社が将来のワクチン生産に積極的に動かなくなる恐れがある」と指摘しています。
欧米ではワクチン接種が着実に進み、イギリスはレジャー目的の海外旅行を今月中旬にも解禁する方向です。一方インドでは感染拡大が止まらず、1日当たりの新規感染者数が41万2262人、死者数も3980人と報告されており、いずれも過去最多を記録しています。感染はインド国内にとどまらず、隣接していているネパールとパキスタンはもとよりタイなどでも爆発的に広がっています。
今後はアジアでの感染がどこまで拡大するのかが焦点になりそうです。日本でもゴールデンウイーク後の感染拡大が懸念されています。ワクチン接種は医療従事者でもまだ完了していません。2週間後に発症することが多いことから、19日以降に発表される感染者数が注目されます。
トルコ中銀は6日、政策金利を現行の「19%」で据え置くことを決め、これで2会合連続の据え置きとなりました。中銀は声明で、「高水準のインフレ率とインフレ期待に鑑み、4月のインフレ報告が示した見通しに沿って大幅に低下するまでは、現行の金融政策姿勢が維持されるだろう」としています。トルコの4月のインフレ率は「17.1%」で、7カ月連続で上昇しています。カブジュオール総裁は、インフレ率はこれをピークに低下し始め、年末には「12.2%」になるとの見通しを示しています。(ブルームバーグ)トルコの高インフレ率は自国通貨安の影響も大きく、足元ではリラ安が高止まりしています。
市場介入で「ドル売り・リラ買い」を行えば一時的にでもリラが強含む可能性はありますが、その原資である「外貨準備」も潤沢ではありません。果たしてカブジュオール総裁の思惑通りインフレ率がそこまで低下するかどうか、非常に未知数です。
本日のドル円は108円70銭~109円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は下落。日米の株価の大幅上昇に底堅い動きを見せていたが、雇用統計を前に持ち高調整のドル売りに押され109円近辺まで下落。
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2021-05-07 10:00