【為替本日の注目点】米ナスダック大幅安

ドル円は108円台後半で小動き。米長期金利は上昇したものの、109円台回復には至らず。ユーロドルは前日よりもやや水準を切り上げる。1.2178まで買われる場面もあり底堅く推移。株式市場は3指数が揃って反落。FOMCメンバーが労働市場に対する楽観的な見方を示したことや、商品市況の上昇にハイテク株が売られた。債券市場は軟調。長期金利は1.60%台へと上昇。金は4日続伸。原油は落ち着いた動きを見せ小幅高。 ドル/円  108.66 ~ 108.87 ユーロ/ドル 1.2128 ~ 1.2178 ユーロ/円  132.02 ~ 132.36 NYダウ -34.94  → 34,742.82ドル GOLD +6.30 → 1,837.60ドル WTI +0.02 → 64.92ドル 米10年国債  +0.025 → 1.602% 【本日の注目イベント】 中   中国4月消費者物価指数 中   中国4月生産者物価指数 独   独5月ZEW景気期待指数 欧   OPEC月報 英   ベイリー・BOE総裁、討論に参加 米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンラインイベントに参加 米   ブレイナード・FRB理事、オンラインイベントに参加 米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、オンラインイベントで講演 米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、ウェブ会議で講演 米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンラインイベントで講演 米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、質疑応答に参加(オンライン)  米国最大のパイプラインがサイバー攻撃を受け操業を停止していましたが、運営会社のコロニアル・パイプラインは10日、実質的な全面復旧を週末までに果たす方針を示しました。この報道を受け、米東部沿岸の人口の多い地域に影響が広がるとの懸念は和らぎ、急騰したガソリン先物価格は上昇分の大半を消しています。FBIはパイプラインのサイバー攻撃を実行したのはハッカー集団「ダークサイド」だと断定しています。バイデン大統領は具体的な証拠はないものの、ハッカー、あるいはハッカーが使用したソフトウェアはロシアに存在するという証拠があるため、「ロシアに一定の責任はある」と述べ、適切な行動を求めました。ただこの影響は債券市場に及んでおり、市場が予想する今後5年間の平均インフレ率は2006年以来の高水準に達しています。5年物BEI(ブレークイーブン・レート)は一時3.4bp上昇し、2.7327と、2008年のピークを上回る場面もありました。  先週末の雇用統計では予想外の低調な結果に、市場は「サプライズ」として受け止めました。金融緩和の長期化が意識され、低金利が続くことから債券は買われ長期金利が急低下。長期金利の低下を受けドル円は108円34銭前後まで売られました。一方低金利の長期化を好感し、株価は大幅な上昇を見せたのが先週末の市場の反応でした。昨日のNY市場ではFOMCメンバーの講演が多くあり、その内容に一喜一憂したようです。  シカゴ連銀のエバンス総裁は、債券購入のテーパリングを話し合う適切な時期について、「雇用統計が毎月、十分に改善するのを確認する必要があり、その上で協議を開始することになると考える。それにはしばらく時間がかかるだろう」としながらも、雇用の回復には楽観的な見方を示しました。また、ダラス連銀のカプラン総裁も、先週末の雇用統計が予想を下回ったものの、「労働市場は力強い回復を続けるはずだ」と語っています。一方サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、金融政策当局はまだ資産購入のテーパリングについて協議する時期にはないと、上記2総裁とは異なった見方をしています。デーリー総裁は、「このような雇用統計が発表され、ボラティリティーが生じた際、正しい道筋にはいるが回復の道のりは長いということになる。回復の道のりが長いのであれば、当局が講じてきた緩和策を緩めることについて協議を始める時期ではまだない」と述べています。(ブルームバーグ)このように全く反対の発言がなされましたが、昨日の市場はエバンス総裁の楽観論により強く反応し、雇用統計発表直後とは真逆の動きになっています。個人的には楽観論に同調したいところですが、前提条件としてコロナワクチン接種のさらなる進展を挙げる必要があります。また、雇用統計の内容は「単月」ではなく「四半期」で観ることも必要だと考えます。  ドル円は短期的には「ニュートラル」と見ています。日足では長い移動平均線(200日線)が一番下にあり、「順目」に揃って右肩上がりになっています。また「MACD」ではマックDとシグナルが「ゼロ」近辺に集まっており、判断しにくい状況です。「週足」の「MACD」ではデッドクロスしそうな気配もあり、もしデッドクロスが示現するようだと昨年12月以来ということになります。ただし「プラス圏」でのデックロスは、下落傾向が長期に渡って続くケースはそう多くありません。 本日のドル円は108円40銭~109円20銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は108円台後半で小動き。米長期金利は上昇したものの、109円台回復には至らず。ユーロドルは前日よりもやや水準を切り上げる。1.2178まで買われる場面もあり(イメージ写真提供:123RF)
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2021-05-11 09:45