【為替本日の注目点】日米で株価大幅安

 日本株の厳しい下げにNY株も大きく下げ、ドル円はややリスク回避の円買いが優勢となり、108円35銭まで下落。ユーロドルはじり高が続き1.1281まで上昇。  独ZEW期待指数の上振れもユーロ買いをアシスト。株式市場は3指数とも揃って下落。ダウは一時600ドルを超える下げを見せたが473ドル安で引ける。ナスダックは前日大きく下げたこともあり小幅安にとどまる。債券相場は続落。長期金利は1.62%台に上昇。金は5日ぶりに反落。原油は続伸。 ドル/円   108.35  ~ 108.68 ユーロ/ドル 1.2145  ~ 1.2181 ユーロ/円  131.78  ~ 132.24 NYダウ   -473.66 → 34,269.16ドル GOLD   -1.50   → 1,836.10ドル WTI    +0.036  → 65.28ドル 米10年国債 +0.020  → 1.622% 【本日の注目イベント】 日  3月景気先行指数(CI)(速報値) 独  独4月消費者物価指数(改定値) 欧  ユーロ圏3月鉱工業生産 欧  欧州委員会経済見通し 英  英3月鉱工業生産 英  英3月貿易収支 英  英1-3月期GDP(速報値) 英  ベイリー・BOE総裁講演 米  4月消費者物価指数 米  4月財政収支 米  バイデン大統領、民主・共和両党の上・下院幹部とホワイトハウスで会談 米  クラリダ・FRB副議長、オンラインイベントで講演 米  ボスティック・アトランタ連銀総裁、ウェブ会議で講演 米  ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンラインイベントで講演  「Sell in May」(5月に売れ)。  米株式市場でよく使われる「アノマリー」ですが、昨日の東京株式市場もこの「アノマリー」を地で行く動きでした。日経平均株価は前日のNY市場でナスダックが大きく売られたこともあり、朝方から売りが先行。一時は1000円近い下げに見舞われました。  引け値では909円安でしたが、日本株の弱さが際立っています。  日本では3月決算の発表がピークを迎え、コロナの影響をもろに受けた空輸、鉄道、飲食、サービス業などの業績が相当悪化していますが、一方で「巣ごもり」の影響から家電量販店、一部の電気メーカーや食品、ゲームなどは空前の利益を上げているところもあります。日本株の大幅な下げの影響もあり、昨日のNYではこれまで堅調だったダウが大きく売られ、やはり「Sell in May」の「アノマリー」は健在だったようです。先週の日経新聞で、今年はコロナ禍の影響により米国でも確定申告の期限が延長されたことから「Sell in June」になるのではないかといった記事がありましたが、そうでもないような雰囲気の下げがきつくなっています。為替はややドル売りが優勢ですが、米債券も売られ金利が小幅に上昇していることもあり、ユーロドルでは「ドル安ユーロ高」が鮮明ですが、ドル円の下げは今のところ限定的です。ドル円は大枠としては107-110円のレンジと見ていますが、短期的には明確な方向性がない中、先週の雇用統計でのサプライズを引きずり、やや円を買う動きが優勢のように見受けられます。  FRBのブレイナード理事は11日の講演で、「見通しは明るいがリスクは残っており、われわれの目標からは程遠い」と述べました。  さらに理事は、「ガイダンスに盛り込まれた最大限の雇用とインフレの目標達成に今後も辛抱強く集中することが重要になる」と語っています。また景気については、「経済の道筋を巡っては通常より大きな不透明感が存在する」とし、「予想ではなく、結果に基づいた政策を進めることでFOMCは前向きな成果を上げている」と指摘しています。(ブルームバーグ)  一方アトランタ連銀のボスティック総裁は厳しい認識を示し、米国は回復軌道を進んでいるが、「道のりは長い」と指摘し、労働市場が完全雇用に程遠い状況にあるため、金融政策は緩和的にとどまるべきだと述べています。今週はFOMCメンバーの発言が多くありますが、インフレ率の上昇についてはほぼ「一時的なものだ」といった認識で一致していますが、景気や労働市場の現状に対する認識では足並みがそろっていません。  4月の雇用統計の結果が一時的なものであり、株価が再び巡航経路に戻れば、年内のどこかでFRBがテーパリングのメッセージを発してくる可能性があると予想しています。9月か11月のFOMCでの可能性が高いのではないでしょうか。  世界的に新型コロナウイルスワクチン接種の進み具合が、国の景気や物価、為替にも大きく影響しているように思われます。英国のイングランドでは1日当たりのコロナによる死者が9日には「ゼロ」となり、昨年3月以来初めてのこととなっています。イングランド地域ではこれまでに11万2000人以上が新型コロナ感染で亡くなっており、英国のワクチン接種計画が効果を上げていることが示されています。またドイツのシュパーン保健相は現在の感染拡大の波を抑制出来ており、楽観し得る理由があると述べており、ギリシャは観光業の後押しを図るため、6月末までに島しょ部の全住民にワクチン接種を行う目標を設定したと伝えられています。一方日本では今日から「緊急事態宣言」の期限を今月末まで延期し、さらに愛知県や福岡県も追加されました。  昨日の発表ではコロナによる死者も100人を超えてきました。  まさにこの差が日本の株価が低迷し、円が弱く、ポンドやユーロが高値圏で推移している理由の一つになっていると考えられます。  本日のドル円は108円30銭~109円10銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
日本株の厳しい下げにNY株も大きく下げ、ドル円はややリスク回避の円買いが優勢となり、108円35銭まで下落。ユーロドルはじり高が続き
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2021-05-12 10:00