【為替本日の注目点】米4月のPPIは0.6%

ドル円は109円台で小動き。米長期金利がやや低下したことでドルを売る動きもあったが109円41銭までと、限定的。ユーロドルは小幅に反落。1.2062まで売られ。上値も1.21近辺と、上昇も一服。株式市場は大幅に反発。米景気の回復を示唆する経済指標にダウは433ドル上昇し、他の指数も揃って買われた。
債券は反発。長期金利はやや低下し1.65%台に。金は反発。原油はパイプラインの一部再開で大幅安に。
新規失業保険申請件数 → 47.3万件
4月生産者物価指数 → 0.6%
ドル/円 109.41 ~ 109.69
ユーロ/ドル 1.2062 ~ 1.2100
ユーロ/円 132.07 ~ 132.55
NYダウ +433.79 → 34,021.45ドル
GOLD +1.20 → 1,824.00ドル
WTI -2.26 → 63.82ドル
米10年国債 -0.038 → 1.657%
【本日の注目イベント】
米 4月鉱工業生産
米 4月設備稼働率
米 4月小売売上高
米 4月輸入物価指数
米 3月企業在庫
米 5月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米 カプラン・ダラス連銀総裁、オンライン討論に参加
米4月のPPIは前月比で「0.6%」、前年同月比で「6.2%」と、前日のCPI同様に、市場予想を上回りました。新型コロナウイルスのパンデミックから経済が回復するのに伴い、供給障害と不足で商品価格が上昇し、同時に労働コストの上昇も加速し始めていると見られます。
企業はコスト上昇を価格に転嫁し、生産性を向上させない限り、利ザヤが圧迫されかねないと、ブルームバーグは伝えています。PPIは大きく上昇していましたが、昨日は前日のCPI発表時と異なり市場の反応は落ち着いていました。新規失業保険申請件数が減少し、米景気回復が依然として順調に進んでいるとの判断が働いたようです。
NY株式市場は前日の急落から大幅に反発し、債券も買われ長期金利が低下し、ドル円はやや水準を切り下げましたが、109円台半ばで推移しています。
先週末の雇用統計からインフレ懸念が高まり、安全資産の債券とリスク資産の株が揃って売られ、金利が上昇したことでドル円が買われました。日本サイドから見れば株価が大きく下げ、円が売られ、国債も売られたことから、「日本売り」に近い展開でした。
新型コロナウイルスの感染第4波収束のめどが立たないうえ、ワクチン接種でも対応の不手際からトラブルが絶えません。大阪では重症患者数が重症者を受け入れるベッド数を大きく上回っており、コロナ以外の重篤患者への対応がままならない状況です。医師からは「本来救える命が救えない」といった声も多く聞かれます。もはや「人災」の域に入っていると言えるのではないでしょうか。
対照的に米国では、米疾病対策センター(CDC)が、新型コロナウイルスワクチンの接種が完了した人は、マスクを着用する必要はないと13日に発表しています。CDCのワレンスキー所長はホワイトハウスでの記者会見で、「ワクチン接種を完了した人は、マスク着用や人的距離の確保をせずに屋外での活動に参加可能だ。活動規模の大きさも問わない」と説明しました。今回の発表は新型コロナがパンデミックとなって以降、連邦当局による最も重大な指針変更となった(ブルームバーグ)、と評価されています。
FRBのウォラー理事は、インフレ率が金融当局の目標である2%を上回るのは一時的だとしつつ、2022年いっぱい続く可能性があるとの見解を示しました。
ウォラー氏は、「昨日発表されたCPIの伸びは予想外に大きかったが、インフレに上向きの圧力をかけている要素は一時的なものであり、緩和的な金融政策は景気回復の支援という点で引き続き重要な役割を担っている」と指摘し、「われわれはインフレ率の一時的なオーバーシュートには過剰に反応しない」と述べました。足元のインフレ率の高まりは一時的なものだという点では、FOMCメンバーのほぼ全員が足並みを揃えている印象です。
あまり経済や為替には関係ありませんが、米下院共和党はトランプ前大統領を痛烈に批判してきたリズ・チェイニー議員を指導部から排除する人事を発表しました。チェイニー氏は下院議員総会議長というナンバー3の座にあり、下院での重鎮の1人です。チェイニー氏は解任後、「われわれは真実に基づいて前に進まなければならない。トランプ氏が再び大統領職に選ばれる可能性がないよう、できることは全てする」と、議会内の会見で述べています。
共和党としては2022年の中間選挙で、下院の過半数を奪還するにはトランプ氏支持が不可欠と判断し、トランプ批判を続けているチェイニー氏を「切った」と見られます。2024年の大統領選を話題にするには早すぎますが、終始市場をかく乱させた記憶しかないトランプ氏。個人的には「No more Trump」です。
本日も小売売上高やミシガン大学消費者マインドなど、景気の先行きを判断する重要指標の発表があります。いずれも予想を上回れば米景気回復が早まるとの期待から株価の上昇につながることが予想されますが、インフレ率の上昇を想起させるようだと、今週目の当たりにしたように、多くの市場で粗っぽい動きにつながる可能性があります。
本日のドル円は109円10銭~109円90銭程度を予想しますが、今回のセッションで110円台に乗せることが出来るかどうか、正念場です。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は109円台で小動き。米長期金利がやや低下したことでドルを売る動きもあったが109円41銭までと、限定的。ユーロドルは小幅に反落。
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2021-05-14 10:00