【為替本日の注目点】ユーロ円約3年ぶりに133円台前半に

 ドル円は109円台を割り込み、108円83銭まで売られる。経済指標の下振れや法人増税の報道などから米長期金利が低下し、ドル売りが強まる。  ドル安の流れからユーロドルは1.22台を回復。一時は1.2234までユーロ高が進み、約3カ月ぶりの高値を付ける。ユーロは対円でも133円18銭近辺まで上昇。  株式市場は3指数とも揃って反落。住宅関連指標が予想を下回ったことや、イエレン財務長官の法人増税の発言を嫌気した。  リスクオンがやや後退したことから債券相場は反発。長期金利は1.63%台へと低下。金は小幅ながら4日続伸。原油は反落。 4月住宅着工件数     → 156.9万件 月建設許可件数      → 176.0万件 ドル/円   108.83  ~ 109.02 ユーロ/ドル 1.2197  ~ 1.2234 ユーロ/円  132.91  ~ 133.18 NYダウ   -267.13 → 34,060.66ドル GOLD   +0.40   → 1,868.00ドル WTI    -0.78   → 65.49ドル 米10年国債 -0.012  → 1.637% 本日の注目イベント 日 3月鉱工業生産(確定値) 欧 ユーロ圏4月消費者物価指数(改定値) 英 4月消費者物価指数 米 FOMC議事録(4月27-28日分) 米 ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベントに参加 米 バイデン大統領、米沿岸警備士官学校の卒業式で演説 加 4月消費者物価指数  日米とも決算発表をほぼ終え、新型コロナによる影響から決算内容も「K字型決算」と言われ、増収増益のところもあれば、記録的な赤字を計上する企業もありました。新型コロナウイルスの感染拡大状況についても同じように、「K字型感染」状況が見られます。  米国ではテキサス州でも郡や市などの自治体や学区などで、マスク着用を義務化するのを禁止し、金融大手のJPモルガンでは米国在勤の従業員に対し、ワクチン接種を完了している者はマスク着用が不要になると通知したようです。  欧州でも、ギリシャでは基幹産業の観光を再開し、海外からの観光客受け入れを再開しており、さらなる感染抑制が見込まれることから、多くの国でロックダウンを解除しています。  その一方で、感染はインドなどアジアで猛威を振るい、インドでは感染が農村部に広がりつつあります。農村部の大半は新型コロナに対抗する手段がなく、感染が深刻化しており、一部の農村では「家族全員」が感染で死亡したとの報告もあります。  18日にはインド全体の死者数が4329人と、過去最多を記録しており、1日の新規感染者数も26万人台と高止まりしています。ブルームバーグは、首都ニューデリーから1時間半ほどのところにあるウッタルプラデシュ州バシ村では、村民5400人のうち4分の3が発症し、過去3週間に30人余りが死亡したと報じています。村には医師がおらず、医療施設も酸素吸入器もなく、ソーシャルメディアの利用が活発な都市部とは異なり、ツイッターなどで外部の支援を求めることも村民はできないと、厳しい現状を伝えています。  インドの保健省によると、感染者数は累計で2500万人強としていますが、感染規模は公式発表の数字よりもはるかに大きいとの声が多いようです。農村部では高熱があっても自宅から離れたがらない人が多く、地方当局は死者数を適切に記録出来ていないと見られています。  パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルとの間では、依然として激しい戦闘が続いています。イスラエルのガンツ国防相は、同国軍には「攻撃目標がまだ数千ある」と話しています。バイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相と電話会談を行いましたが、NYタイムズは、バイデン大統領は公にしたよりも厳しい言葉をネタニヤフ首相に伝えたと報じています。今回の軍事衝突を巡り、欧州では各国でパレスチナを支持するデモが起きています。  フランスでは大規模なデモが繰り返されており、ダルマナン内相は「憎しみや反ユダヤのデモを許すわけにはいかないと」と警告しましたが、デモは一向に治まる気配はありません。またドイツやスイス、イギリスでも大規模なデモが起きています。  イエレン財務長官は18日、景気テコ入れを目指す大規模なインフラ投資計画のための法人税引き上げを米企業に受け入れるよう呼び掛けました。  バイデン政権が計画している2兆2500億ドル(約245兆円)規模の財源確保を目的とした法人税引き上げについてイエレン氏は、「最終的に企業の利益を拡大させ、世界での競争力を向上させる」と説明し、「企業経営者がそうした認識で、この計画を支持してくれることを期待する」と述べています。  ただ経済団体側の反応は冷ややかで、米商業会議所は、インフラ投資そのものには支持を表明しているものの、その財源の大部分は利用料で賄うことを求めています。  企業の法人税引き上げについてはバイデン政権発足当時から計画されており、これ自体新しい材料ではありませんが、昨日はこの発言が株価の重石になったようです。  今週に入りややドル安傾向が見られます。  特にユーロドルでは「ドル安・ユーロ高」が顕著で、昨日のNYではユーロドルが1.22台半ばまで上昇しています。  一方ドル円では、円が買われているもののユーロに比べると勢いはなく、大きく買われてはいません。その結果、ユーロ円が133円18銭前後まで上昇し、2018年4月23日以来となるユーロ高を示現しています。  ユーロ円は2018年1月に137円台半ばまで上昇し、これがここ6年程の最高値になっています。上昇傾向が鮮明なユーロ円がこの水準まで上昇するのかどうかも焦点のひとつです。  本日のドル円は108円50銭~109円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は109円台を割り込み、108円83銭まで売られる。経済指標の下振れや法人増税の報道などから米長期金利が低下し、ドル売りが強まる。
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2021-05-19 10:15