【為替本日の注目点】テーパリング、予想よりも早まる可能性も

FOMC議事録公開の影響から米長期金利が上昇し、ドル円は109円台を回復。109円29銭までドル高が進み、米金利に連動する流れが続く。ユーロドルは1.22を挟みもみ合い。ドルが買われたことから1.2160までユーロ安が進むが、円に対しては底堅く推移。株式市場は続落。議事録に加え、ビットコインが売られた影響が株価の重石となりダウは164ドル安。債券は反落し、長期金利は1.67%台に上昇。金は5日続伸し、約4カ月ぶりの高値に。原油は大幅に続落。
ドル/円 108.58 ~ 109.29
ユーロ/ドル 1.2160 ~ 1.2238
ユーロ/円 132.63 ~ 133.37
NYダウ -164.62 → 33,896.04ドル
GOLD +13.50 → 1,891.30ドル
WTI -2.13 → 63.36ドル
米10年国債 +0.034 → 1.671%
【本日の注目イベント】
豪 豪4月雇用統計
日 4月貿易収支
欧 ユーロ圏3月経常収支
米 新規失業保険申請件数
米 5月フィラデルフィア連銀景況指数
米 4月景気先行指標総合指数
米 IMF専務理事、ECB総裁、講演
資産購入規模の縮小について「いずれかの時点で協議し始めるのが適切になるかもしれない」・・・・。昨日公開された4月27、28両日に開いたFOMCでは、「幾人かの参加者は経済が委員会の目標に向けて急速な進展を続ければ、今後の会合のいずれかに資産購入ベースの調整に関する協議を開始し始めることが適切になるかもしれないと提案した」ことが、議事録で明らかになりました。これまでパウエル議長をはじめ、多くのFOMCメンバーが「なお時期尚早」と繰り返し、4月の会合でも政策金利をゼロ付近に据え置き、雇用と物価の目標に向けて一段と顕著な進展があるまで、米国債を月800億ドル(約8兆7000億円)、住宅ローン担保証券を400億ドル購入する方針を維持しましたが、会合では「テーパリング」のタイミングについての提案があったことになります。
同会合は、開催時には3月の雇用統計が大きく予想を上振れした結果を受けての会合でしたが、その後4月の雇用統計では失望を誘う内容となり、景気の見通しは定まっていません。そのため金融当局は楽観的な見通しを維持しながらも、慎重な姿勢を崩していません。物価上昇が続く中、雇用は新型コロナウイルスパンデミック前に比べ、依然として800万人ほど下回っており、これが「目標からは程遠い」という当局者の言葉を正当化していました。議事録ではインフレに関しても、幾人かは、供給不足は「早急に解消されない可能性があり、そうなれば来年以降もこれらの要因の影響で物価に上昇圧力がかかる可能性がある」と述べていたことも明らかになりました。
議事録を受けて、金融当局者が口で言うよりもテーパリングの開始時期が早まるとの観測から、株式と債券が売られ、金利上昇に伴いドル円は109円台前半まで買われました。もっとも昨日のNY株の下げは金利上昇によるものだけではなく、仮想通貨が急落したことも大きく影響しました。ビットコインは一時30%を超える下げとなった後に下げ幅を縮小しましたが、それでも4万ドルを割り込んでいます。EVメーカ、テスラの創業者であるイーロン・マスク氏の言動に振り回されている印象です。マスク氏は自社のEVを仮想通貨でも購入できるとし、さらにテスラ社としても大量のビットコインを購入したことでビットコインの価格が急騰しましたが、今度は一転してビットコインを使ってEVを購入することを一時停止しました。つい最近も米SECは「ビットコインは非常に投機的」との評価を出したばかりで、個人投資家にとっては「一か八か」といった、非常にリスクの高い投資商品です。
バイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相と再度電話で会談し、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの戦闘を直ちに緩めるよう求めました。ブルームバーグによると、「ネタニヤフ首相は空爆は続くと言明し、停戦には一切触れなかった。両者の電話会談は、先週のイスラエルとハマスの戦闘開始以降で4度目だが、立場は依然として平行線のままだ」と伝えています。
ドル円は昨日の欧州市場の昼頃から下げ足を速め、108円58銭まで売られましたが、その後は反発して、上述のように109円台に乗せました。やはりドル売りが進んでも現時点での下値は限定的のようです。日足では109円60銭をしっかりと超えれば、「一目均衡表の雲」を上抜けすることになり、上昇に弾みがつくことも考えられます。FOMC議事録の内容が明らかなり、今後は委員会メンバーの発言がどのように変わるのか、あるいは変わらないのか、注意深く見ていきたいと思います。
本日のドル円は108円80銭~109円60銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
FOMC議事録公開の影響から米長期金利が上昇し、ドル円は109円台を回復。109円29銭までドル高が進み、米金利に連動する流れが続く。ユーロドルは1.22を挟みもみ合い。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-05-20 09:45