【為替本日の注目点】米長期金利一時1.60%台を割り込む

ドル円は小幅に反落。米長期金利が低下したことでドル売りが優勢となり108円71銭を付ける。ドルは豪ドルなど主要通貨に対して売られる。ユーロドルは反発。ドル安が優勢となり、1.2230まで上昇。株式市場は主要指数が揃って上昇。インフレ懸念が後退したことからハイテク株を中心に買われる。ナスダックは190ポイント上昇。債券価格は上昇。長期金利は一時1.60%台を割り込み、1.601%近辺で引ける。金は反発。原油はイランの核合意が不透明なことから大幅に続伸し、66ドル台に。
ドル/円 108.71 ~ 108.94
ユーロ/ドル 1.2204 ~ 1.2230
ユーロ/円 132.77 ~ 133.03
NYダウ +186.14 → 34,393.98ドル
GOLD +7.80 → 1,884.50ドル
WTI +2.47 → 66.05ドル
米10年国債 -0.020 → 1.601%
【本日の注目イベント】
独 独1-3月期GDP(改定値)
独 独5月ifo景況感指数
米 3月ケース・シラ-住宅価格指数
米 3月NAHB住宅市場指数
米 4月新築住宅販売件数
米 5月消費者信頼感指数
米 5月リッチモンド連銀製造景況業指数
米 クオールズ・FRB副議長、上院銀行委で証言
米 エバンス・シカゴ連銀総裁、日銀のオンラインイベントに参加
「大規模接種」が昨日から東京と大阪で始まり、政府は1日で1万5000回の接種を掲げていましたが、一方で今月31日までの「緊急事態宣言」の期限を延長する方向で検討するとの報道です。昨日は月曜日ということもありましたが、東京都の感染者は340人、大阪府では216人と、明らかに緊急事態宣言の効果が出ているように見られますが、専門家の多くは「まだ宣言を解除できるような状況ではない」と、口を揃えています。そんな中、米国務省は日本への渡航警戒レベルを引き上げ、国民に日本への渡航中止を勧告しました。「新型コロナウイルスの感染拡大で東京都や大阪府などが緊急事態宣言下にある中、4段階で最も厳しい渡航中止勧告への引き上げは、開幕まで2カ月を切った東京五輪開催への新たな懸念材料となった」と、ブルームバーグは伝えています。この決定には、コロナワクチン接種が遅れていることが影響しているようです。米英両国での接種率はすでに40%を超えており、日本の接種率はわずか3%強と、OECD(経済協力開発機構)加盟国37カ国で最も低い状況が懸念されています。果たして、オリンピック・パラリンピックは本当に開催されるのでしょうか?今回の米国の渡航中止勧告は、今後の開催実施に向けた議論に大きな一石を投じたと見ています。
講演での発言が注目されていたブレイナードFRB理事でしたが、ブレイナード氏は「インフレ動向の非常に重要な部分は長期的なインフレ期待で、こうした期待は極めて安定していた状況が続いている。インフレが上昇するような展開になっても、現状のインフレに深く影響を及ぼすことは想定されないと示唆している」と発言し、「今後数カ月に一段と上昇することが予想されるが、こうした経済再開やボトルネックに関連した物価上昇は弱まると私は見込んでいる」と述べています。この発言を受け、債券と株が買われ、ドルが売られる展開になっています。ブレイナード氏はまた、インフレが当局が想定する以上に上昇した場合でも、インフレ目標に戻るよう緩やかに誘導する「手段と経験」があるとも述べています。
インフレ高進長期化の懸念は低いとのブレイナード発言を受け、市場ではテーパリング開始観測が後退し、ハイテク株を中心に株式が大きく買われ、債券価格も上昇。金利が低下したことでドルが売られ、ドル円は108円71銭まで下落しましたが、それでも円の上昇幅はユーロや豪ドルなどと比べ小さく、結果として豪ドル円は84円40銭手前、ユーロ円は133円台まで円安が進んでいます。米金利が低下してドルが売られる場合であっても、円も売られる展開が続いており、その主因は、上記米国務省の渡航中止勧告でも明らかかと思います。
本日もクオールズ・FRB副議長の上院銀行委員会での証言があります。FRB執行部の一人であるため、インフレに対する認識は共有していると考えられ、昨日のブレイナード理事との相違はないと思われます。ただ、テーパリング開始の協議については前向きな発言も予想され、発言のトーンによっては昨日と全く逆な反応があるかもしれません。バイデン大統領のインフラ投資計画の規模縮小など、米長期金利上昇圧力の抑制が見られますが、ここからの米長期金利の低下(下方)が限定的であることは論を待ちません。現時点でのドルの下値も同じように限定されると思います。
本日のドル円は108円40銭~109円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小幅に反落。米長期金利が低下したことでドル売りが優勢となり108円71銭を付ける。ドルは豪ドルなど主要通貨に対して売られる。ユーロドルは反発。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-05-25 09:45