【為替本日の注目点】ユーロドル2週間ぶりの安値に

ドル円は109円台を回復し、109円18銭まで上昇。米長期金利が反発したことや、ユーロドルでドル高が進んだ影響からドルが押し上げられた。ユーロドルは反落。1.2182まで売られ、対ドルでは約2週間ぶりの水準までユーロ安が進む。株式市場は閑散とした取引の中、3指数は揃って反発。ダウは小動きの中10ドル高。ナスダックは80ポイント上昇し、このところ堅調な動きが目立つ。債券は反落。長期金利は1.57%台に上昇。金は続伸し1900ドル台に。米長期金利の低下傾向が支えに。原油も4日続伸。
ドル/円 108.86 ~ 109.18
ユーロ/ドル 1.2182 ~ 1.2240
ユーロ/円 132.99 ~ 133.30
NYダウ +10.59 → 34,323.05ドル
GOLD +3.20 → 1,901.20ドル
WTI +0.14 → 66.21ドル
米10年国債 +0.017 → 1.576%
【本日の注目イベント】
中 中国4月工業利益
独 独6月GFK消費者信頼感
米 新規失業保険申請件数
米 4月耐久財受注
米 1-3月GDP(改定値)
米 4月中古住宅販売成約件数
米 大手米銀CEO、下院金融委公聴会で証言
もみ合いが続いているドル円は109円台を回復し、109円18銭まで上昇しています。この日も特にドル円そのものに材料があったわけではなく、ユーロが対ドルで売られたことでドル円でも円が売られた側面が強かったものと見られます。昨日もこの欄で述べたように、短期的にはドルの上値が重くなる展開が続いていますが、それでも円が積極的に買われる可能性は低いと見られ、ドル円の下値は限定的と見ています。主要通貨に対して円が売られ易いことや、株式市場でも日本株の停滞が顕著なことも、やはりワクチン接種の進み具合が影響しているとの見方が衆目の一致するところです。
ただ、テレビでも連日放映しているように、東京と大阪で始まった「大規模接種」は徐々に効果を発揮すると見られ、菅首相が宣言した「1日100万回の接種」は簡単ではないとしても、各自治体での接種も徐々に効率的に運営されてくると思われ、どこかの時点でその影響が出て来る可能性もあります。接種率が大きく伸び、感染者数が急激に減少するような状況になれば、巻き戻しから円高、株高に振れる局面もあるかもしれません。ただ、東京や大阪など7都道府県は昨日、緊急事態宣言の延長を政府に要請しており、今週末にも宣言の延長を決定するようです。その場合、沖縄県の期限である6月20日、あるいは6月末までになりそうです。ワクチン接種の効果が本格的に出て来るのは6月の第2週目あたりからでしょうか?飲食店経営者からは「またか・・・・。」といった声と溜息が聞こえてきそうです。
ECBのパネッタ理事は日経新聞とのインタビューで、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)に関する目先の変更には慎重な考えを示しました。パネッタ氏は、「基調的インフレの上昇トレンドに反映され、インフレおよびインフレ期待をECBの目標に一致させるような持続可能なインフレ圧力の高まりのみが、購入の減速を正当化し得る」と語っています。パネッタ氏は、「ユーロ圏の見通しは改善しているものの、回復はまだ不完全で経済は依然として金融および財政の支えに頼っている」と指摘し、「政策による支援が不十分になることのリスクはなお高い」と述べています。またユーロの上昇についても、「現在の環境が驚きではないが、為替レートの持続的で無視できない上昇も続いている。これが持続すれば、インフレ圧力を弱めるだろう」との認識も示しています。ユーロドルはコロナ禍からの景気回復を先取りする形で4月下旬以降、概ね1.20を上回る水準を維持しています。パネッタ氏の発言は、さらにユーロ高が進めば輸入物価の下落を通じて2%の物価目標が抑制されるとの懸念を表したものと受け止められます。現時点ではECB当局者からの「口先介入」はありませんが、1.25を超えるようだと、ECBとしても警戒を強めてくることが予想されます。
米上院共和党のグループは、バイデン政権が掲げるインフラ投資計画を巡り、独自の提案をバイデン大統領に行う計画だとブルームバーグが伝えています。ウイッカー上院議員によると、その規模は1兆ドル(約109兆円)ちかいものになり、バイデン政権が21日に示した1兆7000億ドルを大きく下回っています。ウイッカー議員は、「これは非常に良い提案になるだろう」と述べています。バイデン政権は早期の合意を目指していることから、同案を受け入れる可能性もあるとブルームバーグは指摘していますが、ホワイトハウスのサキ報道官は否定的な会見を行っています。
ドル円は109円台を再び回復し、目先の焦点は109円30-50銭の水準を抜けることができるかどうかだと見ています。「日足」では、今朝の時点で「雲抜け」を示現しています。これは雲そのものが右下へ下降していることで、仮にドル円がこの水準で本日の取り引きを終えたとしても「雲抜け」が完成してしまいます。「雲抜け」はドル上昇のサインですが、抜け方がいまいちのため、そのまま上昇するかどうかはやや懐疑的です。本来であれば、ドル上昇の勢いそのものが雲という「抵抗帯」を打ち破ったという形が理想ですが、果たして今回はどうでしょう?
本日のドル円は108円80銭~109円60銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は109円台を回復し、109円18銭まで上昇。米長期金利が反発したことや、ユーロドルでドル高が進んだ影響からドルが押し上げられた。ユーロドルは反落。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-05-27 09:30