【為替本日の注目点】ドル円5週間ぶりに109円台後半まで続伸

 ドル円は大幅に続伸。約5週間ぶりとなる109円92銭までドルが買われた。米長期金利の上昇と、失業保険申請件数が減少していたことなどが材料に。  ユーロドルは小幅に続落。1.2180まで売られたが前日の安値と同水準で下げ止まる。ユーロは対円で134円台に乗せる場面も。  ポンドが大幅に上昇。早期の利上げもあり得るとの英金融当局者の発言を手掛かりに、ポンドドルは1.41台前半から100ポイントほど上昇し、約3カ月ぶりの高水準に。  株式市場は続伸したものの、ナスダックは長期金利の上昇が嫌気され小幅に下落。ダウは141ドル高と、最高値に300ドルほどに迫る。  債券は続落。長期金利は1.60%台に上昇。金は前日とほぼ変わらないながらも高値圏で推移。原油は5日続伸。 新規失業保険申請件数       →  40.6万件 4月耐久財受注          →  -1.3% 1-3月GDP(改定値)     →  6.4% 4月中古住宅販売成約件数     →  -4.4% ドル/円     109.22  ~ 109.92 ユーロ/ドル   1.2180  ~ 1.2211 ユーロ/円    133.21  ~ 134.02 NYダウ    +141.59  → 34,464.64ドル GOLD    +0.10    → 1,897.89ドル WTI     +0.64    → 66.85ドル 米10年国債  +0.031   → 1.606% 【本日の注目イベント】 日  4月失業率 日  5月東京都区部消費者物価指数 欧  ユーロ圏5月消費者信頼感(確定値) 欧  ユーロ圏5月景況感指数 米  4月個人所得 米  4月個人支出 米  4月PCEコアデフレータ 米  5月シカゴ購買部協会景気指数 米  5月ミシガン大学消費者マインド(確報値) 米  バイデン大統領、2022年度予算教書発表  ドル円が日足ベースで「雲抜け」を見せドルの上昇を示唆しているが、抜けた形がいまひとつであったことから、ドルの上昇には懐疑的だとのコメントを、昨日この欄で印ました。しかし思った以上にドルが買われ、ドル円は約5週間ぶりに109円92銭まで上昇しました。昨日述べたように、109円30-50銭の目先のレジスタンスゾーンを抜けています。労働市場の改善傾向を示す指標と米長期金利の上昇が材料になりましたが、ここからは110円台に乗せることができるかどうかが次の焦点になります。それにしても、ドル高材料が出てドル円は素直に上昇するものの、ユーロドルなどではそれほどドル高が進まず、「円の独歩安」がさらに進みました。ユーロ円は134円台に乗せ、ポンド円では156円台と、約3年4カ月ぶりの水準まで円安が進んでいます。  発表された新規失業保険申請件数は4週連続の減少で、新型コロナワクチンの普及で、事業制限措置が引き続き緩和される中、労働市場の回復が順調に進んでいることを表していると考えられます。州別ではワシントン、ニュージャージー、フロリダ州で、申請件数が大きく減少しています。来週には早くも5月の雇用統計が発表されますが、今度は4月のような「ネガティブ・サプライズ」はないかもしれません。  バイデン大統領が今日の予算教書で発表する案は、連邦政府の歳出が6兆ドル(約660兆円)に増加する模様で、年間の財政赤字は今後10年にわたって1兆3000億ドルを超える見通しだとNYタイムズ紙が報じています。  この予算にはバイデン氏が掲げる1兆7000億ドルのインフラ投資計画も含まれています。議会が予算案をこのまま受け入れるかどうかは不明ですが、詳細は今夜発表されます。  イエレン財務長官は下院歳出委員会の公聴会で、高水準のインフレ率は年末まで続くが、依然として一時的なものだとの認識を維持する姿勢を見せました。  イエレン氏は、「最近のインフレは一時的であり、定着するようなものではないというのが現時点での私の判断だ」とし、「しかしながら、この状態はもう数カ月間は続き、今年末までインフレ率は高止まりするとみている」と述べています。(ブルームバーグ)イエレン氏はインフレが進んだ理由として、新型コロナウイルス禍に関連した個人支出の変化や、サプライチェーン障害が物価の変動を引き起こしたものであると指摘しています。  ドル円は再び110円台を回復できるかどうかが焦点です。  110円台を回復すれば、4月6日以来ということになりますが、ただこの時でも110円台での「滞空期間」はわずか5日でした。110円台に乗せたとしても、この水準を長く維持できるかどうかも焦点になります。  「日足」の「雲抜け」は完成させましたが、110円台での「滞空時間」が短期間に抑制されているのは、「月足」チャートを見ればまさに「一目瞭然」です。「月足」では、雲がちょうどおいかぶさるように、ローソク足の上に横たわっています。この雲の上限は現在112円75銭近辺にあります。  112円台と言えば、昨年のドルの高値が112円23銭でしたので、この月足の雲を抜ければ、上方に空間が広がりドルの上昇にさらに弾みがつくとも予想されます。もちろん、そう簡単ではないでしょう。今後は「日足」の雲に支えられながらも、「月足」の雲に上昇を抑えられるといった展開かもしれません。  本日のレンジ予想は109円40銭~110円20銭程度といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は大幅に続伸。約5週間ぶりとなる109円92銭までドルが買われた。米長期金利の上昇と、失業保険申請件数が減少していたこと
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2021-05-28 10:00