【為替本日の注目点】WTI原油価格さらに上昇

ドル円は109円台半ばから後半で推移。ユ-ロドルでユーロが売られる場面もありドルが買われたが、110円台には届かず。ユーロドルはやや軟調に推移。1.2180まで売られ、依然として1.22台半ばが「壁」に。株式市場は3指数とも揃って上昇したが、雇用統計の発表を控えており上昇は限られた。ダウは25ドル上昇し、5営業日続伸。債券は反発。長期金利は1.58%台に低下。金は続伸。原油価格は大幅に続伸し一時69ドルを記録。 5月自動車販売台数  →  1699万台(年率換算)   ドル/円  109.53  ~ 109.79 ユーロ/ドル 1.2180 ~ 1.2218 ユーロ/円  133.69 ~ 133.89 NYダウ  +25.07  → 34,600.38ドル GOLD +4.90  → 1,909.90ドル WTI  +1.10 → 68.83ドル 米10年国債   -0.019 → 1.587% 【本日の注目イベント】 豪   豪4月貿易収支 中   中国5月財新サービス業PMI 中   中国5月財新コンポジットPMI トルコ トルコ5月消費者物価指数 独   独5月サービス業PMI(改定値) 欧   ユーロ圏5月総合PMI(改定値) 欧   ユーロ圏5月サービス業PMI(改定値) 英   英5月サービス業PMI(改定値) 英   ベイリー・BOE総裁講演 米   5月ADP雇用者数 米   新規失業保険申請件数 米   5月ISM非製造業景況指数 米   5月マークイットサービス業PMI(改定値) 米   5月マークイットコンポジットPMI(改定値) 米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演(オンライン) 米   クオールズ・FRB副議長講演(オンライン) 米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演  本日はADP雇用者数の発表があり、明日は雇用統計の発表があります。今回は、FRBによるテーパリング開始時期に注目が集まっていることもあり、労働市場の趨勢が政策変更に影響を与えることから、かなり注目度が高くなっています。ADP雇用者数はすでに前月比65万人の増加が予想されています。経済活動再開の動きが広がる中、本日発表される新規失業保険申請件数の方も38万7000件と、前週の40万6000件から減少するとみられています。また明日の雇用統計でも非農業部門雇用者は65万5000人の増加と予想されており、労働市場を巡る懸念がこの2日間で和らぐのか、あるいは増幅されるのか注目されます。昨日のNYでは雇用統計を前にユーロドルの持高調整とみられる「ユーロ売りドル買い」の動きも散見され、ドル円でもドルが上昇しましたが、110円には届いていません。米長期金利の低下がブレーキになったようです。  地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表され、米経済は過去2カ月に回復ペースが幾分か加速し、企業が人出不足とコスト上昇に取り組む中で物価上昇力が高まったと報告されています。ベージュブックでは、「全体的な物価圧力は前回報告からさらに強まった。販売価格は緩やかに上昇したが、仕入れコストはもっと明白に上昇した」と記されており、今回のベージュブックをまとめたクリーブランド連銀のチーフエコノミストは、「物価と賃金という面で、暑い夏になりそうだ。不足が第4四半期まで続くかどうかが正念場だ」と述べています。(ブルームバーグ)仕入れコストの上昇が続くようだと、価格への転嫁がさらに進み、物価を押し上げることにつながりますが、原油価格の上昇がさらにコスト上昇に拍車をかけることも予想されます。  フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は2日、バーチャル形式のイベントで講演を行い、現行の月間1200億ドル(約13兆1500億円)規模の米国債と住宅ローン担保証券(MBS)の購入について、「少なくともテーパリングの議論を考えてみる時期だろう」と述べ、大規模な財政支援や金融緩和策が講じられている中で、「インフレ上昇のリスクが一定程ある」との認識を示しました。ただテーパリングについては「ある日突然行うようなことではない」と述べ、パウエル議長が先に述べたように、何らかの方法で事前に開始時期が示唆されるようです。また世界最大の資産運用会社であるブラックロックのフィンクCEOも、「物価が急騰する可能性を投資家は過小評価しているかもしれない」と語っていました。  日本でも65歳以上でワクチン接種を受けた人の数が1000万人を超えたと報道されています。今後急速に接種率が進み、1日100万回もひょっとしたら実現できるのかもしれませんが、依然として世界レベルで見れば大きく遅れていることに変わりはありません。ハードワークが続く医療従事者の体力が持つのかどうかも心配されますが、頑張ってほしいものです。関東圏や関西圏での感染は確実に減少していますが、一方で北海道や沖縄などでの感染者数は高止まりしている状況です。このまま来週も減少傾向が見られるようなら、今月20までに延長された緊急事態宣言も一部地域で緩和される可能性があるかもしれません。やはり、「1にも、2にもワクチン・・・・」といったところで、早期の接種が望まれます。  バンク・オブ・アメリカはレポートで、FRBが資産購入を漸減するテーパリングの計画を9月末に発表する可能性があるとの見方を示しています。その場合、米10年物国債の利回りは年末までに1.62%前後から2.15%に上昇すると予想しています。2%を大きく超えると予想していますが、足元の長期金利は1.58%台ですから、ここから57bpも上昇することになります。そうなると、米金利との相関が高いドル円は果たしてどこまで上昇するのでしょうか?手元のデータで調べてみると、米長期金利が2.15%を付けたのは、直近では2019年5月29日です。この時のドル円は109円30-70銭程度で、実は現在のレートとほとんど変わっていません。やや驚きですが、一体どうゆうことが考えられるのでしょうか?1.58%台でもドル円が109円台半ばで推移しているのは、円が過小評価されていると考えられますが、これは上記コロナワクチン接種と関係していると考えられます。また、日本の潜在成長率も当時と比べると低下しているのかもしれません。米金利が大きく上昇すればドル円でもドル高が大幅に進むと考えますが、それほど上昇しない可能性もあるのかもしれません。因みに、この時のユーロドルは1.12前後で、足元のレートより約1000ポイントも低く、ドル安は進んでいなかったことになります。 本日のドル円は109円20銭~110円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は109円台半ばから後半で推移。ユ-ロドルでユーロが売られる場面もありドルが買われたが、110円台には届かず。ユーロドルはやや軟調に推移。1.2180まで売られ、(イメージ写真提供:123RF)
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2021-06-03 10:00