【為替本日の注目点】WTI原油価格一時70ドルに

ドル円は緩やかに下値を切り下げ109円19銭まで下落。小動きの中、上値の重い展開が続き、終始109円台前半で推移。ユーロドルは小幅に続伸し、1.22台に乗せる。株式市場はまちまち。ダウとS&P500は下げたが、ナスダックは67ポイント上昇。 債券は小幅に反落し、長期金利は1.56%台に上昇。金は続伸。原油は一時70ドルを付けたがその後は軟調に。4月消費者信用残高 → 186.12億ドル
ドル/円 109.19 ~ 109.36
ユーロ/ドル 1.2160 ~ 1.2202
ユーロ/円 132.96 ~ 133.31
NYダウ -126.15 → 34,630.24ドル
GOLD +6.80 → 1,898.80ドル
WTI -0.39 → 69.23ドル
米10年国債 +0.015 → 1.569%
本日の注目イベント
豪 5月NAB企業景況感指数
日 4月貿易収支
日 4月国際収支
日 1-3月GDP(改定値)
日 5月景気ウオッチャー調査
独 4月貿易収支
独 4月鉱工業生産
独 6月ZEW景気期待指数
欧 ユーロ圏1-3月期GDP(改定値)
米 4月貿易収支
加 4月貿易収支
ドルは主要通貨に対して売られ、ドル円も109円19銭までドル安が進み、先週1週間の中ではサポートと見られていた109円30銭前後を抜けています。とりわけ円が買われる材料はなかったものの、クロス円も含めて、ややポジションの巻き戻しが優勢な展開でした。
イエレン財務長官はロンドンで行われたG7後にブルームバーグとのインタビューで、バイデン大統領が掲げる総額4兆ドル(約438兆円)規模の歳出計画について、来年にかけてもインフレ高進が続く状態を招き、結果として金利上昇につながったとしても、米国にとって好ましいものであり、推進すべきだと語っています。イエレン氏は、「やや金利が高い環境になったとしても、社会の観点ならびに米金融当局の観点では、実際にはプラスになるだろう」と述べ、「われわれは余りも低すぎるインフレおよび、余りにも低すぎる金利とこの10年にわたって闘ってきた」と説明し、「正常な金利環境に戻ることをわれわれは望んでいる」と述べています。また、「状況を若干是正する一助になるのであれば、それは悪いことではない。むしろ良いことだ」の語り、金利上昇を受け入れる姿勢を見せています。イエレン氏は「ここ10年低金利と闘ってきた」と述べていましたが、日本の場合は「20年以上も闘っている」ことになります。日本では長期金利が2000年以降2%を上回ったことはなく、「2%が壁」になっています。さらに2012年4月以降は「1%さえ」上回ったことがありません。われわれは米国民よりもさらに「低金利に慣れきっている」と言えます。そのため多くの住宅ローンを抱えている人は、「変動型」を選択し、低金利の恩恵によくしていますが、将来金利が上昇したらパニックになるのではないかと思っています。今から金利上昇に備えておくことが肝要かと考えますが、かく言う筆者も長期にわたって低金利を享受している一人です。
ドイツ東部ザクセン・アンハルト州で6日行われた州議会選挙で、メルケル首相が所属するキリスト教民主同盟(CDU)の勝利が確実となりました。CDUは3月の地方議会選挙2州で大敗を喫していましたが、今回の勝利で9月に行う連邦議会選挙で首相候補として戦うラシェットCDU党首にとっては追い風となってきました。メルケル氏はこの秋に引退を決めており、ドイツの次期首相に焦点があたっていましたが、これまでの地方選ではメルケル氏率いるCDUの人気はいまいちでした。今回の勝利でCDUの人気が再び高まった格好になりましたが、世論調査では支持率では緑の党と拮抗しており、秋に向けて連邦議会選挙での戦いは本格的になります。
G7財務相は、グルーバル企業の利益率10%を上回る部分の一部利益に他国で課税する枠組みを設けることで一致しています。今後、アマゾンや、フェイスブックなど米テクノロジー大手に対して各国が課税する権利を有することにつながります。昨日のNY株式市場はこの材料で売られた側面もあり、国際課税の歴史に新たな1ページが加えられたとの評価もあるようです。
ドル円は109円台前半まで売られたことで短い時間足ではネガティブな形を見せています。足元では「4時間足」の「200本平均線」に支えられている状況です。日本でもようやくワクチン接種が進み、人々にやや安心感が出てきたようですが、金融政策については出口への道のりは変わらず、1位米国、2位欧州、そして日本はずーと後方に位置しています。マラソンで言えば、上位は既に折り返し地点を通過し30キロを過ぎていますが、日本はまだ折り返し地点にも達していない状況と言えます。長い目で見て、円の弱さは変わっていないと考えます。
本日のドル円は108円90銭~109円60銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は緩やかに下値を切り下げ109円19銭まで下落。小動きの中、上値の重い展開が続き、終始109円台前半で推移。ユーロドルは小幅に続伸し、1.22台に乗せる。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-06-08 09:45