【為替本日の注目点】米長期金利1カ月ぶりの低水準に

 ドル円は小幅に反発したものの109円台半ば止まり。米長期金利が低下したがドルを買う動きが勝り、109円51銭まで上昇。  ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。来週のFOMCを見極めたいとする中、1.21台半ばから後半で小動き。株式市場は前日と同様にまちまち。ダウは小幅に下げたが、ナスダックは長期金利の低下傾向を好感し43ポイント上昇。1万4000ポイントに迫る。  債券は上昇。長期金利は1.53%台まで低下し、約1カ月ぶりとなる低水準に。金は反落。原油は反発し、引け値で70ドル台に。 4月貿易収支  → -689億ドル ドル/円   109.28 ~ 109.51 ユーロ/ドル 1.2171 ~ 1.2193 ユーロ/円  133.13 ~ 133.42 NYダウ   -30.42 → 34,599.82ドル GOLD   -4.40  → 1,894.40ドル WTI    +0.82  → 70.05ドル 米10年国債 -0.036 → 1.533% 【本日の注目イベント】 豪  豪6月ウエストパック消費者信頼感指数 中  中国5月消費者物価指数 中  中国5月生産者物価指数 独  独4月貿易収支 独  独4経常収支 加  カナダ中銀政策金利発表  ドル円は昨日の東京市場では下値を試す場面もありましたが勢いはなく、今のところ109円割れは回避されています。  NYでは米長期金利が1.53%台まで低下し、約1カ月ぶりとなる低水準を付けましたが、その割には健闘していると言えます。昨日のロンドン時間正午前に、インターネット上でデータを素早く送信するネットワークを運営するファストリーのサービスに障害が発生したことで、NYタイムズやブルームバーグなどのウェブサイトが一時利用できなくなったことが影響して、米債券が買われ、金利が低下したとの報道です。  このところ米長期金利の動きに敏感になっているナスダック市場は、これを「好感」して上昇したのも事実です。  「風が吹けば桶屋が儲かる・・・・」式の連想だったような気もします。  バイデン政権は8日、半導体などの戦略物資を調達するためのサプライチェーンを見直す考えを示し、日本、オーストラリア、インド(クアッド)と、さらにG7と連携することで、安定的に戦略物資を調達する方針を示しました。  具体的には、半導体、電気自動車用電池、レアアース、医薬品の4分野の供給網を構築するようです。  同時にそれらの品目の安定供給を確保するためのタスクフォース(特別チーム)を、レモンド商務長官、ブティジェッジ運輸長官、ビルサック農務長官を中心に設置する方針です。バイデン政権はさらに、トランプ前大統領が決定したEUに対する鉄鋼、アルミなどの関税を撤廃する方針のようです。来週15日にベルギーのブリュッセルで行われるEUとの首脳会談で伝える模様です。  米国とEUではお互いが報復関税を掛け合う状況が続いており、EUは米国からのハーレーダビッドソンのオートバイやリーバイスのジーンズ、さらにはバーボンなど、米ブランド品に関税を掛けています。バイデン政権のこれら一連の決定に、透けて見えるキーワードは「中国包囲網」です。  バイデン政権は、人権問題や南シナ海での軍事行動などを理由に中国への圧力を強めており、今後、中国からの輸入に頼っているレアアースなどは供給が遮断されることも予想され、日欧との関係強化は不可欠になっています。そのため「クアッド」の創設や欧州との関係修復を急ぐ必要があり、とりわけドイツとの関係修復は急務です。  G7首脳会議で、メルケル首相を中心に欧州勢がトランプ前大統領に冷ややかな眼差しを注いでいた、当時の報道写真を記憶している方も多いと思いますが、その横で微笑みながら温かい眼差しを投げかけていたのが、安倍前首相でした。  毎年公表される「びっくり予想」でおなじみの、ブラックストーン・グループのバイロンウイーン氏の名前が半年ぶりに登場しました。ウイーン氏は、米経済が回復しインフレが抑制され続けることで、米国株が2カ月にわたる停滞を抜け出して記録的な上昇相場を再開するとの見通しを示しました。  S&P500指数は、年内のどこかの時点で「4500」に達すると予想し、昨日の同指数は「4227」であったことから、ここからさらに「270ポイント」ほど上昇することになります。また、価値保存の手段としてはビットコインよりも金が望ましいとの見解も示しています。  そのビットコインは昨日の取り引きで10%ほど下落し、3万1000ドルに迫っています。4月には6万4689ドまで急騰したビットコインでしたが、すでに「半値」を割り込む水準まで調整を続けています。  因みにウイーン氏の「2021年びっくり10大予想」の一部を紹介すると、 ■5-10種類のワクチンの成功と治療法の進歩で、今年のメモリアルデーまでに米国は何らかの形で『正常』に戻れる ・・・ほぼ予想通りです。 ■S&P500種株価指数が21年前半に20%近く下げ、そこから4500まで上昇 ・・・これが今回改めて示した予想です。 ■米成長率は6%を上回り、10年債利回りが2%に上昇する ・・・こちらもほぼ予想通りですね。1.77%台まで急騰した長期金利は記憶に新しいところです。 ■景気敏感株がディフェンシブ銘柄をリードし、小型株のパフォーマンスが大型株を上回り、大型テクノロジー銘柄は出遅れる ・・・これはいまいちです。 ■ グーグルとフェイスブックのサービスで実際には消費者が利益を得ているとの主張に動かされ、米司法省は両社に対する態度を軟化させる ・・・これもデジタル課税の強化など、世界的に逆風です。 ■経済活動の正常化に伴い、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油65ドルに上昇する ・・・こちらは予想をはるかに超え、昨日は70ドルに達しています。 このように見ると、今回の強気の予想も、「あなどれない」と言えそうですが、どうでしょう。  本日のドル円は109円~109円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小幅に反発したものの109円台半ば止まり。米長期金利が低下したがドルを買う動きが勝り、109円51銭まで上昇。
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2021-06-09 09:45