【為替本日の注目点】米長期金利一時1.47%台に低下

ドル円は前日より小幅に水準を切り上げ109円66銭まで上昇。米長期金利はさらに低下したものの、リスク回避のドル買いが優勢だった。ユーロドルは底堅い動きを見せ、1.22台を回復。1.2218まで上昇したが、動意はなく低調な動きが続く。株式市場は3指数とも揃って下落。ダウは152ドル下げ、3日続落。S&P500は最高値を上回る場面もあったが、引けではマイナスに。債券相場は続伸し、長期金利は一時1.47%台まで低下。引けに掛けてはやや売られ、1.49%台まで上昇。金は小幅に上昇し、原油は小反落。
ドル/円 109.23 ~ 109.66
ユーロ/ドル 1.2175 ~ 1.2218
ユーロ/円 133.35 ~ 133.62
NYダウ -152.68 → 34,447.14ドル
GOLD +1.10 → 1,895.50ドル
WTI -0.09 → 69.96ドル
米10年国債 -0.042 → 1.491%
【本日の注目イベント】
欧 ECB政策金利発表
欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
欧 OPEC月報
米 新規失業保険申請件数
米 5月消費者物価指数
米 5月財政収支
本日米国では5月のCPIが発表されます。市場の最大の関心は、FRBによる資産購入の段階的縮小がいつ開始されるのかという点です。資産購入縮小の先には、政策金利の引き上げが行われ、「金融政策の正常化」へ舵を切り直すことになります。CPIはその政策に大きな影響を及ぼすことから俄然注目度が高まっており、昨日のNY市場ではドル円をはじめほとんどの通貨に目立った動きはありませんでした。CPIの結果を見極めてから動きたいということなのでしょう。
その中でも比較的動きが目立ったのが米10年債でした。債券は買われ、長期金利は1.5%を大きく割り込み、一時は1.4705%まで低下する場面もありました。通常、米金利の低下はドル円の売り材料となり、ドル安が進むケースが多いのですが、昨日はドルが買われています。「リスク回避のドル買い」といった後講釈がNYからは聞こえてきましたが、「リスク回避の円買い」は過去の話になってしまったのか、判断に迷うところです。ユーロドルではやや「ユーロ高ドル安」が進んだことを考えても、あまり説得力はありません。本日のCPIは前月比「0.4%」と予想されています。4月は「0.8%」だったので、伸び率は前月の半分程度ということになります。またコアCPIも伸び率は「0.5%」と、前月(0.9%)を下回ると予想されています。ただ総合が「4.7%」と、前月(4.2%)からの伸びが加速していると見られています。市場は、この値に反応する可能性もありますが、昨日の債券市場の動きを見る限り、FRBの政策変更が早まるとの観測は後退しています。
米議会上院は8日、人工知能や量子など先端技術の研究開発に290億ドル(約3兆2000億円)を投じる法案を可決しました。バイデン政権が「脱中国」、「中国包囲網」を強めていることへの一連の政策ですが、中国が策定した「中国製造2025」に対抗する姿勢を明確にしたとも言えます。これに対して中国は「新疆ウイグル地区を材料に中国への偏見はやめるよう」警告しています。バイデン大統領は就任後初となる外国訪問を行い、11-13日には英国でG7首脳会議に出席し、14日にはベルギーでNATO首脳会談に臨みます。また16日にはスイスでプーチン大統領と初の首脳会談を行います。一連の各国首脳との会談でバイデン大統領の指導力、外交力が試されると見られます。
ドル円は動意のない展開が続いています。先週末の雇用統計の結果を受けドル売りが強まり、110円台から急速に下落に転じたものの、109円19銭前後で下げ止まりやや反発しています。ドルの下値は底堅いものの、引き続き「月足の雲の下限」がドルの上昇を抑えている状況が続いています。またユーロドルでも同じように、上昇しても1.22台半ばが抜けずに「壁」になりつつあります。ドル円自体、それほど独自の動きを見せることはまれなことから、ここはユーロドルの動きも大きなヒントになると考えます。1.22台半ばを明確に抜けるようなら、ドル円は108円台突入もあり得ると予想しています。反対に1.21台を割りこむようなら、再び110円台が望める可能性があります。
本日はECBの政策金利発表もあります。「政策据え置き」が市場のコンセンサスですが、ラガルド総裁の発言に関心が集まります。コロナワクチンの普及で域内の経済活動再開が物価上昇につながってくるとみられ、現行のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)での、毎月850億ユーロ(約11兆3000億円)規模の縮小に言及があるのか注目です。
本日のドル円は109円20銭~110円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は前日より小幅に水準を切り上げ109円66銭まで上昇。米長期金利はさらに低下したものの、リスク回避のドル買いが優勢だった。ユーロドルは底堅い動きを見せ、(イメージ写真提供:123RF)
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2021-06-10 09:45