【為替本日の注目点】ドル円110円台を回復

ドル円は110円台を回復。米長期金利の上昇を好感しドル買いが進み、110円10銭までドル高に。ユーロドルもやや水準を切り上げたものの、1.2131止まり。1.21割れは底堅いとの指摘も。株式市場は明暗が分かれ、ナスダックとS&P500は最高値を更新したが、ダウは85ドルの下落。銀行株の下げが重石に。債券は続落し、長期金利は一時1.5%台まで上昇。金は続落し、原油は小幅安。
ドル/円 109.73 ~ 110.10
ユーロ/ドル 1.2112 ~ 1.2131
ユーロ/円 132.90 ~ 133.43
NYダウ -85.85 → 34,393.75ドル
GOLD -13.70 → 1,865.90ドル
WTI -0.03 → 70.88ドル
米10年国債 +0.042 → 1.494%
【本日の注目イベント】
豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
独 独5月消費者物価指数(改定値)
欧 ユーロ圏4月貿易収支
欧 米・EU首脳会議(ブリュッセル)
英 英5月失業率
英 ベイリー・BOE総裁講演
米 5月生産者物価指数
米 5月小売売上高
米 6月NY連銀製造景況業指数
米 5月鉱工業生産
米 5月設備稼働率
米 6月NAHB住宅市場指数
ドル円は5月以降4度目となる110円台乗せを見せました。109円台でのもみ合いが続き、ボラティリティーも大きく低下するなか、明確な方向性が見つけにくい状況が続いています。先週は、週を通じてほぼ米長期金利は低下傾向でしたが、それでもドル円は109円30銭前後までの下落にとどまっていました。米金利低下に対する抵抗力がついてきたのでしょうか?昨日のNY市場ではその長期金利が上昇し、一時1.5%台まで上昇したことに伴ってドル円は110円台まで上昇しています。この動きを見て、「ドル円は上に行きたがっている」と判断するのは早計ですが、金利低下には反応薄で、金利高には高反応といった状況です。「4度目の正直」という言葉はないと思いますが、今回も110円台を維持できるのかどうかという点で、再び注目されます。
やや市場の変化を感じるは、長期金利が上昇したにも拘わらず、NY株式市場ではナスダックとS&P500が揃って最高値を更新したことです。金利上昇は株価の抑制要因ですが、この日はハイテク株を中心に買い物を集め、ナスダックは4月26日以来の最高値更新でした。一方金利が上昇したことで金は続落し、約1カ月ぶりの安値を付けています。FOMCを睨んでのポジション調整と見られますが、そのFOMCは本日から会合が始まり、注目度はさらに増しているようです。声明は17日(木)朝方に発表されますが、個人的には物価上昇を認めながらも、「雇用がFRBの期待に届いていない。もうしばらくは労働市場の動向を注視したい」と言った内容を予測しています。JPモルガンのストラテジストは、「米金融当局がテーパリングの道筋について議論を開始し、今後数回の会合のいずれかで実施のタイミングを示唆する可能性がある」とのレポートを発表しています。
英国でのG7首脳会議を終え、その結果は必ずしも万全とは言えないまでも、貧困国へのワクチン提供と中国への対応で結束したことで、バイデン大統領にとっては、トランプ前大統領との違いを打ち出すことに成功したと見られます。バイデン大統領は記者会見で、「会議全体の結果に非常に満足しているというのが結論だ。われわれの最も親しい友人の間で米国の信用と、われわれの価値への信頼の回復で前進したと思う」と語っています。バイデン氏はその後NATO首脳会議に出席し、トルコのエルドアン大統領とも会談しました。「ムードは明るかったものの、トルコによるロシア製地対空ミサイルシステム購入の問題では進展には至らなかった。エルドアン氏は会談後、トルコ政府の立場は変わらないと述べた」とブルームバーグは伝えています。この報道後、トルコリラは下落しています。
新型コロナウイルスのワクチンに関する動きも様々です。日本ではワクチン接種が軌道にのり、ようやく先行きにメドもついてきたように思えます。筆者が住んでいる市でも、「16歳から64歳までのワクチン接種の受け付けを開始します」という広報が今朝の朝刊に折り込まれていました。英国では今月21日に予定されていたイングランドの制限措置の解除を7月19日まで延期すると発表されました。インドで最初に確認された「デルタ株」の感染が拡大しており、2回目のワクチンを接種する人々を増やす必要があると判断されたようです。NYでは、未接種者を連れて来て接種させたコミュニティ・グループに、1人あたり100ドル(最大で2万ドルまで)支払うキャンペーンを16日から実施するそうです。また来月7日には新型コロナとの闘いで最前線に立った人々をねぎらうパレードも行われるそうです。
本日は5月小売売上高や、6月NY連銀製造景況業指数など、比較的重要な経済指標が発表されます。いずれも景気回復が順調に進んでいるのかを見極める重要な指標です。ただFOMCを前に動きは限定されると思われ、本日のドル円は109円80銭~110円40銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は110円台を回復。米長期金利の上昇を好感しドル買いが進み、110円10銭までドル高に。ユーロドルもやや水準を切り上げたものの、1.2131止まり。
(イメージ写真提供:123RF)
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2021-06-15 09:30