【為替本日の注目点】米EUとの航空機を巡る報復関税に終止符

ドル円はFOMCを前に小動き。110円割れを試す場面もあったが、ほぼ110円台前半で推移。ユーロドルも1.21台前半で小動き。
株式市場は3指数が揃って下落。エネルギー株は上昇したが全体の流れは売りに押される。債券は小幅に上昇。長期金利は1.49%台とほぼ変わらず。金は3日続落。原油は大幅に反発し、72ドル台に乗せて引ける。
5月生産者物価指数 → 0.8%
5月小売売上高 → -1.3%
6月NY連銀製造景況業指数 → 17.4
米5月鉱工業生産 → 0.8%
5月設備稼働率 → 75.2
6月NAHB住宅市場指数 → 81
ドル/円 110.02 ~ 110.15
ユーロ/ドル 1.2102 ~ 1.2131
ユーロ/円 133.27 ~ 133.57
NYダウ -94.42 → 34,299.33ドル
GOLD -9.50 → 1,856.40ドル
WTI +1.24 → 72.12ドル
米10年国債 -0.002 → 1.492%
【本日の注目イベント】
日 5月貿易収支
中 中国5月小売売上高
中 中国5月鉱工業生産
スイス 米ロ首脳会議(ジュネーブ)
英 英5月消費者物価指数
米 5月住宅着工件数
米 5月建設許可件数
米 5月輸入物価指数
米 FOMC 政策金利発表
米 パウエル議長記者会見
加 カナダ5月消費者物価指数
日本時間明日の朝方に発表されるFOMCの結果を前に、ドル円は110円台で小動きです。欧州時間に110円割れを試す場面もありましたが、直ぐに値を戻し前日と同じ水準で戻って来ました。ユーロドルも1.21台前半で動意がなく、債券市場でも動きは限定的でした。
原油先物市場だけが元気で、この日は前日比1ドルを超える上昇を見せ、引け値でも72ドル台と、2018年10月以来となる高水準です。米国ではコロナワクチンの接種が進み、経済活動再開だけではなく、人々の生活やレジャーでも今後車を利用する機会が大幅に増加するとの見立てです。米ゴールドマンなど、今後の原油価格の推移には強気の見方が多く、専門家の中には「100ドルを目指す」との指摘もあります。
カリフォルニア州では新型コロナウイルス対策の制限措置を解除し、経済活動を完全再開しました。またNY州のクオモ知事は州内の成人の70%が新型コロナワクチンの接種を少なくとも1回受けたとして、残る制限措置全てを解除しました。イタリアでも新型コロナワクチンを少なくとも1回受けた人が人口の半数を超えたと報告されています。またロシアは、国産ワクチン「スプートニクV」について、インドで最初に特定された変異種「デルタ」に対して有効だと表明しましたが一方では、モスクワでは重症患者の入院がこの数日で70%増加したと、インタファクス通信が伝えています。
FOMCを前に、多くの予想や観測、あるいは専門家の見方も出揃った感じです。バンク・オブ・アメリカが実施した6月のファンドマネージャー調査では、回答者の63%が、米当局は8月か9月にテーパリングを示唆すると予想しており、インフレが一時的と見なす回答は72%で、少なくとも2024年まではリセッションがないとの予想は68%だったと伝えられています。また、米10年物国債の利回りが2%を超えると、株式に悪影響がでるとの見方が大勢を占めています。(ブルームバーグ)
ただ今回のFOMCでは、政策金利据え置きはほぼ多くの専門家のコンセンサスになっており、ブルームバーグ所属のエコノミストは、最近のインフレ急上昇について、金融当局は「一過性」との判断を維持するとみています。また、テーパリングについても、4月の会合以降に発表された2回の雇用統計がいずれも予想を下回ったことから、協議は先送りされる可能性があると予想しているようです。
ただ筆者も「今週のレンジ予想」で述べたように、「ドットチャートには注意が必要だ」と指摘しており、「参加者のうち2名でも利上げ予測を2023年に変更すれば、全体の方向性が傾斜することになる」としています。
米5月のPPIは市場予想を上回る上昇率でした。
前月比では予想の「0.5%」を上回る「0.8%」で、前年同月比では「6.6%」(予想は6.2%)と大幅な伸びでした。企業では人出不足が続いており賃金も上昇していることから、消費者への値上げ圧力が一段と高まっていることを示唆していると観られます。
米国とEUは、欧州の航空機メーカー、エアバスおよび米ボーイングへの補助金を巡る紛争の解決で合意しました。EUの行政執行機関である欧州委員会は、米国と今年3月に報復関税の停止で合意しており、解決策を模索していましたが、今後5年にわたって停止することを発表しました。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は「約20年にわたる紛争に終止符を打った」とはれやかに語っていました。
本日は昨日にも増して動きのない日中になりそうです。
FOMCの結果発表は朝方3時で、3時半からパウエル議長の会見が始まる予定です。本日のドル円は109円60銭~110円60銭程度と予想しますが、サプライズがあれば、まったく役に立たないことも考えられます。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はFOMCを前に小動き。110円割れを試す場面もあったが、ほぼ110円台前半で推移。ユーロドルも1.21台前半で小動き。
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2021-06-16 10:45