【為替本日の注目点】NYダウ500ドルを超える下落

 FRBによる利上げ開始が早まるとの観測が強まり、ドル円は110円48銭まで上昇。その後は米株の厳しい下げに円を買う流れが強まり、110円06銭まで売られる。ユーロドルは下落が止まらず、1.1847まで売られる。株式市場では3指数が大きく下落。セントルイス連銀総裁の発言も売り材料となり、ダウは533ドル下げ、5日続落。債券は続伸。長期金利は1.43%台へと低下。金は続落し、原油は反発。 ドル/円    110.06  ~ 110.48 ユーロ/ドル  1.1847  ~ 1.1911 ユーロ/円   130.63  ~ 131.20 NYダウ    -533.37 → 33,290.08ドル GOLD    -5.80   → 1,769.00ドル WTI     +0.60   → 71.64ドル 米10年国債  -0.066  → 1.438% 【本日の注目イベント】 豪  豪5月小売売上高 欧  ラガルド・ECB総裁、欧州議会に出席 米  ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演 米  ウィリアムズ・NY連銀総裁講演、オンラインイベントで講演  NYダウの下げが止まりません。  この日は前日比533ドルの大幅な下げに見舞われ、これで5日続落。つまり、先週は全ての営業日で下げたことになります。この間の下げ幅も1180ドル(3.4%)に達し、好調だった米株式市場にも先行きに対する懸念が広がっています。先週金曜日の大幅な下げのきっかけになったのが、セントルイス連銀のブラ―ド総裁の発言でした。  ブラード総裁はCNBCとのインタビューで、16日に公表された最新の金利予想分布図(ドット・プロット)に言及し、「私は2022年終盤の開始を予測している」と述べています。総裁はさらに、「ただし、これらは予想の内容に関連していると考えなければならない。私の予想は21年のインフレ上昇率(コアPCEインフレ率)が3%、22年のコアPCEインフレ率は2.5%だ」と説明しています。その上で、「これが実際に起こると考える場合、22年末までに既に2年間にわたって2.5-3%のインフレが続くことになる」と語っています。  今回の経済予測では、22年に利上げを予測した参加者は7人おり、3月時点から4人増えていました。ただブラ―ド総裁は今年のFOMCでの議決権を持っていません。  ブラード総裁はタカ派として知られていますが、物価上昇率が続く中、「インフレが想定以上だ。われわれが若干タカ派に傾斜したのは当然のことだと思う」(ブルームバーグ)とも語っています。  一方ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は慎重な立場を示し、「労働市場が新型コロナウイルス禍前の力強さを取り戻せるようにするため、少なくとも2023年末まで事実上のゼロ金利政策が維持されることを望む」と、ロイター通信とのインタビューで述べ、早期の利上げには反対の立場を見せています。  筆者は、カシュカリ総裁のこの発言が現状のFOMCメンバーの総意に近いものだと考えており、先ずは労働市場の回復が最優先課題で、労働市場がコロナ禍前の状況に戻れば、利上げは自然と付いて来るものと思います。  もっとも、ブラード総裁のタカ派的な発言であっても、利上げまではまだ1年半先の話で、その間に経済状況はまだまだ上下する可能性もあります。  バイデン大統領は、連邦ガソリン税をインフレ指標に連動させる案について反対しているとホワイトハウスは述べています。  ホワイトハウスのベイツ報道官は声明で、「失業や収入減、家計の圧迫など一般市民が2020年に非常に困難な時期を経験した後、最も苦しんでいる人々に議会が増税するのをバイデン氏は認めるつもりはない」と説明しています。  ただ、バイデン大統領が提案した2兆2500億ドル(約248兆円)規模のインフラ計画は、超党派の議員によりその規模の縮小を迫られていますが、それでもその財源にはガソリン税などが含まれており、インフラ計画の実現が懸念されることになります。  クロス円はほぼ全て大きく下落しています。  ユーロドルなどで大幅な「ドル高・ユーロ安」が進行していますが、ドル円では110円台には乗せたものの、上値が抑えられる展開が続いていることが要因と見られます。ドル円が今回のステージで110円台を回復した先週火曜日には、ユーロドルは1.21台前半でしたが、足元ではドル円の水準がほぼ変わっていないにも拘わらず、ユーロドルは1.18台後半で推移しています。「ユーロ円の下落分」の全てが「ユーロドルの下落分」に起因しているということが言えます。これは他の主要通貨についても言えることです。  株価の大幅な下落が起きている中、リスク回避の流れからこれまでのポジションの巻き戻しが活発になっているということでしょうが、株価がどこまで下げるかがポイントです。本日の日経平均株価も大幅な下げが避けられない状況です。今週はこの動きが継続されるのかに注目してきたいと思います。  本日のドル円は109円80銭~110円60銭程度を予想しています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
FRBによる利上げ開始が早まるとの観測が強まり、ドル円は110円48銭まで上昇。その後は米株の厳しい下げに円を買う流れが強まり、110円06銭まで
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2021-06-21 09:45