【為替本日の注目点】米ナスダック最高値更新

 ドル円は続伸。パウエル議長の議会証言を受けドルを買う動きが強まり110円79銭まで上昇。証言に目新しさは欠けたものの、利上げを急がないとの見方につながる。  ユーロドルは引き続き1.19を挟む展開ながら、ややユーロを買い戻す流れが強まり1.1952まで上昇。株式市場は揃って続伸。債券市場が落ち着きを取り戻したこともあり、ナスダック指数は111ポイント上昇し、最高値を更新。  債券は反発。長期金利は1.46%台へ低下。金と原油はともに値を下げる。 6月リッチモンド連銀製造景況業指数 → 22 5月中古住宅販売件数        → 580万戸 ドル/円       110.52 ~ 110.79 ユーロ/ドル     1.1882 ~ 1.1952 ユーロ/円      131.39 ~ 132.19 NYダウ       +68.01 → 33,945.88ドル GOLD       -5.50  → 1,777.40ドル WTI        -0.60  → 73.06ドル 米10年国債     -0.025 → 1.463% 【本日の注目イベント】 日  4月景気先行指数(CI)(改定値) 日  日銀金融政策決定会合、議事要旨(4月26日、27日分) 中  中国5月消費者物価指数 独  独6月製造業PMI(速報値) 独  独10月サービス業PMI(速報値) 欧  ユーロ圏6月製造業PMI(速報値) 欧  ユーロ圏6月サービス業PMI(速報値) 欧  ユーロ圏6月総合PMI(速報値) 欧  ラガルド・ECB総裁、イベントで講演 米  6月マークイット製造業PMI 米  6月マークイットサービス業PMI 米  6月マークイットコンポジットPMI 米  経常収支(1-3月) 米  5月新築住宅販売件数 米  ボウマン・FRB理事講演 米  ボスティック・アトランタ連銀総裁講演 米  ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演 加  カナダ4月小売売上高  ドル円は続伸し、NY市場では米長期金利が低下したにも拘わらず110円79銭までドル高に振れています。先週木曜日の東京市場で付けた110円83銭に迫る水準までドルが買われましたが、目先はこの水準を抜けるかという点と、その先の111円台に乗せることができるかという点が焦点になります。  111円台を回復すれば昨年3月以来ということになり、今年の3月にも目前まで上昇しましたが、結局抜け切れずに押し戻されており、その意味では「近いようで遠い111円台」と言えます。  日米株式市場では依然として荒っぽい動きが続いている中、このまま順調に111円台に乗せ、その水準を固める展開も予想しづらいところです。仮に111円台を回復すれば、1年半ぶりの水準ということもあり、実需のドル売りも構えていることが予想されます。  NYでドルが買われた背景には、パウエル議長の議会証言を経てリスクオンがやや進み、株高、債券高に振れたことが挙げられます。市場参加者は、それだけ今後のテーパリング開始に関する「手がかり」を欲しているということです。  パウエル議長の議会証言の内容が事前に公表されたことは、昨日のこの欄でも述べましたが、証言内容はそのテキストとほぼ一致していました。議長は、「インフレのオーバーシュートのかなりの部分、もしくは恐らく全てが、中古の乗用車やトラックといった経済活動再開で直接影響を受ける分野で生じている。これらは上昇が止まり、いずれ鈍化し始めるとわれわれが予想する項目だ」と述べ、足元の物価上昇は想定よりも大きいことを認めながらも、時間とともに低下する可能性が高いと認識していることを改めて述べました。  また労働市場についても、新型コロナウイルスワクチンの接種が進むことで、雇用は改善するとの考えを示しています。その上で議長は、「われわれは雇用が好調すぎるとの考えや、インフレの兆候への警戒を理由に予防的に利上げすることはない。実際のインフレやその他不均衡の事実に基づいた証拠を待つ」と述べ、辛抱強く利上げの時期を待つ考えを示しました。(ブルームバーグ)投資家はこの部分の発言で安心感を強め、「FRBは利上げを急がない」との認識を強めたと考えられます。  この日はFOMCメンバーである地区連銀総裁の発言も多くありました。ウイリアムズNY連銀総裁は、利上げについて、「まだずっと先の話だ」と発言し、「今はテーパリングに焦点が絞られていると思う」と述べています。インフレ率についても、来年2%近くに低下するとも予想しています。  クリーブランド連銀のメスター総裁は、テーパリングに必要な米経済の顕著な進展を検証する前に、「向こう数カ月における雇用のさらなる伸びを確認したい」と述べ、さらにサンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、「テーパリングの実施時期にはまだないが、準備を始めるのは適切だ」と指摘し、「現在、金利変更についての協議は議題にさえなっていない」と語っています。ブルームバーグはこれら一連の発言を「異口同音」と題して伝えています。  上記メンバーの言わんとすることは「利上げのタイミングはまだまだ先のことだ」という事ですが、メンバーの中にはセントルイス連銀総裁のブラード総裁や、ダラス連銀のカプラン総裁のような「タカ派」も多くいることから、FOMCでの会合全体では「同床異夢」と言い直すことも出来そうです。いずれにしても、サプライチェーンなど、一時的な物価上昇要因が正常化し、その結果今後物価上昇率が鈍化すのかどうかという点と、労働市場の推移を注意深く見極めていくしかありません。  本日のドル円は110円20銭~111円程度を予想しますが、上で述べてるように、今夜のNY市場で株価がさらに上昇し、リスクオンが強まるようだと、111円が見られるかもしれません。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続伸。パウエル議長の議会証言を受けドルを買う動きが強まり110円79銭まで上昇。証言に目新しさは欠けたものの、利上げを急がないとの見
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2021-06-23 09:45