中国経済に変調? 自動車販売が減速し卸売物価は急上昇=大和総研が経済見通し更新

 コロナショックからいち早く復調した中国経済に変化の兆しが出ている。自動車販売が減速し、一方で卸売物価が2008年9月以来の高い伸びになっている。卸売物価の上昇を小売り商品の価格等に転嫁できなければ、企業業績の悪化につながると懸念されている。大和総研経済調査部の齋藤尚登氏は6月22日、「中国経済見通し:物価上昇と業績悪化」と題したレポート(全8ページ)を発表した。レポートの要旨は以下の通り。 ◆中国の卸売物価が大きく上昇している。今後、生産財の川下分野、そして生活財への価格転嫁が進めば、最終的には消費者物価の大幅な上昇が懸念されるが、その可能性は低い。中国では加工工業品や生活財分野の価格競争は厳しく、消費者に近い分野ほど、価格転嫁の動きは部分的にとどまる可能性が高い。一方、価格転嫁が進まなければ、コスト増加によって企業業績は悪化を余儀なくされ、企業の業績悪化⇒所得の伸び悩み⇒消費の抑制が懸念される。この点で、中国政府による投機抑制策や国家備蓄放出などコモディティ価格抑制策が奏功するかどうかが、当面の注目材料となろう。 ◆中国国家統計局によると、2021年1月~5月の固定資産投資は、コロナ禍以前の2019年1月~5月との比較で、8.5%増(1月~4月の同比較は8.0%増)、同様に小売売上は8.8%増(同8.6%増)となり、内需はやや加速している。5月の輸出については、マスク・防護服など紡織品や、医療機器・器械が前年同月比で2桁の減少となるなど、これまでの好調の主因であった「コロナ特需」の剥落が輸出の足を引っ張るようになっている。それでも輸出が3割近く伸びたのは、世界需要の回復によるところが大きい。中国経済見通しに変更はなく、2021年は前年比8.8%程度、2022年は同6.0%程度の実質成長を遂げよう。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)
コロナショックからいち早く復調した中国経済に変化の兆しが出ている。自動車販売が減速し、一方で卸売物価が2008年9月以来の高い伸びになっている。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-06-23 10:45