【為替本日の注目点】ドル円1年3カ月ぶりに111円台に乗せる

 東京時間でも堅調に推移したドル円は、ロンドン時間昼頃には111円台に乗せ、111円10銭まで上昇。その後一旦ドル売りに押されたが、NYでは再び111円に乗せたものの、上値は限られた。ユーロドルは小幅に反発。域内のPMIが予想を上回り、1.1970までユーロが続伸。株式市場はまちまち。ダウとS&P500は反落したが、テスラ株などが上昇し、ナスダックは小幅ながら最高値を更新。債券は反落。長期金利は1.48%へと上昇。金と原油はそろって反発。原油は一時74ドル台に乗せる。米大手金融機関では100ドルに達するとの予想も。 6月マークイット製造業PMI         →  62.6 6月マークイットサービス業PMI       →  64.8 6月マークイットコンポジットPMI       →  63.9 ◆経常収支(1-3月)             →  -1957億ドル 5月新築住宅販売件数             →  76.9万戸 ドル/円  110.69 ~ 111.01 ユーロ/ドル 1.1920 ~ 1.1970 ユーロ/円  132.29 ~ 132.60 NYダウ  -71.34  → 33,874.24ドル GOLD +6.00  → 1,783.40ドル WTI  +0.23   → 73.08ドル 米10年国債 +0.022  → 1.485% 【本日の注目イベント】 独   独6月ifo景況感指数 英   BOE金融政策発表 英   BOE議事録 米   新規失業保険申請件数 米   5月耐久財受注 米   1-3月GDP(確定値) 米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総、パネル討論に参加 米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンラインイベントで講演 米   ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演 米   バーキン・リッチモンド連銀総裁、オンラインイベントで講演 米   カプラン・ダラス連銀総裁、オンラインイベントで講演  昨日の東京時間でも堅調に推移していたドル円は欧州市場で111円台に乗せ、111円10銭までドル高が進みました。2020年3月26日以来となるドル高水準です。ユーロドルでは「ドル安ユーロ高」が進んだこともあり、ユーロ円を含むクロス円全般で円安が強まり、再び先週まで続いた「円全面安の定位置」に戻った感があります。米株式市場もやや落ち着きを取り戻し、リスクオンの流れが強まったことから投機筋を中心に円売りが活発化したようですが、ただこのまま現在の状況が続くのかどうかは不透明です。FRBによるテーパリング開始のタイミングがまだ読み切れないからです。  アトランタ連銀のボスティック総裁は23日、米金融当局が資産購入ペースの減速を向こう数カ月に決定する可能性があると述べたほか、2022年の利上げ開始が望ましいとの見解を示しました。ボスティック総裁は、「最新のデータが示す上方向へのサプライズを考慮し、米金融当局の最初の動きに関する自分の予測を2022年終盤へと前倒しした」と発言し、「2023年には2回の動きもあると考えている」とも述べています。(ブルームバーグ)その理由として同総裁は、予想以上に早い景気回復を挙げ、インフレ率も想定を上回っていると指摘していました。その上で、「私の見解では、われわれはこうした目安の達成に近い。それを踏まえると、資産購入のテーパリング開始を計画していくことが十分に適切だと考える」と述べています。ボスティック総裁はこれで、セントルイス、ダラス連銀両総裁に次いで「タカ派」を宣言したことになりますが、これまでの両総裁に比べると、より具体的、かつ積極的な姿勢が目立った印象です。  一方昨日はFRB執行部の一人であるボウマン理事の講演もありました。ボウマン理事は、物価上昇圧力は経済再開に伴うサプライチェーンの目詰まりが解消されれば弱まるはずだが、それが早急に実現することはなさそうだと述べ、「物価上昇圧力の要因が解消されたら、ほどなくインフ率は鈍化するだろう」とするパウエル議長の見解とはやや異にしています。ボウマン氏は、「こうした物価上昇圧力はボトルネックが解消されれば緩和されるかもしれないが、いくらか時間がかかる可能性がある。状況を引き続き注視し、必要に応じて自身の見通しを調整する」としています。  このようにFOMCメンバーの中で、テーパリング開始の時期を巡る意見が分かれていることははっきりして来ました。焦点は、物価上昇が一時的なものなのかという点と、雇用の回復がどの程度早まるのかという点です。雇用は、ここ2か月連続で市場予想を下回っています。経済活動が再開し、飲食などのサービス業が急回復しているにも拘わらず雇用が伸びない理由の一つが、「手厚い失業給付金の上乗せ額」だと指摘されています。その失業給付金も州によっては6月で終了するところもあり、9月には大方の州で終了すると見られています。そうなると、雇用者増という形でその影響が跳ね返ってくるのは、早くて10月8日に発表される「9月の雇用統計」ということになり、場合によっては年末までずれ込むことも考えられます。9月あるいは11月のFOMCでテーパリング開始を決定する可能性が高いと予想しています。 本日のドル円は110円60銭~111円30銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
東京時間でも堅調に推移したドル円は、ロンドン時間昼頃には111円台に乗せ、111円10銭まで上昇。その後一旦ドル売りに押されたが、NYでは再び111円に乗せたものの、(イメージ写真提供:123RF)
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2021-06-24 09:45