【為替本日の注目点】PCEデータ予想を下回る

ドル円は朝方のPECデータを受け下落。110円48銭までドル売りが進んだが、株価や長期金利の上昇に、110円80銭近辺まで反発して越週。ユーロドルは方向感の欠ける展開が続く。1.19台半ばを挟みもみ合う。株価はまちまち。ダウは237ドル上昇したものの、ナスダックは金利上昇の影響もあり小幅安。S&P500は最高値を更新。債券は続落。長期金利は1.52%台に上昇。金は反発し、原油は続伸。
5月個人所得 → -0.2%
5月個人支出 → 0.0%
5月PCEコアデフレータ → 3.4%
6月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 85.5
ドル/円 110.48 ~ 110.87
ユーロ/ドル 1.1927 ~ 1.1975
ユーロ/円 132.12 ~ 132.41
NYダウ +237.02 → 34,433、84ドル
GOLD +1.10 → 1,777.80ドル
WTI +0.75 → 74.05ドル
米10年国債 +0.032 → 1.524%
【本日の注目イベント】
中 習主席、ロシアのプーチン大統領とオンライン会議
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、BIS主催パネル討論に参加
米 バイデン大統領、イスラエル大統領と会談(ワシントン)
注目された個人消費支出は市場予想を下回り、FRBは利上げを急がないとの観測が広がり、ドル円は110円台半ばまで押し戻される局面がありました。ダウは237ドル高と、前日に引き続き大幅な上昇を見せましたが、ナスダック指数は長期金利が1.5%台を回復したことで小幅なマイナスで取引を終えています。ドル円も長期金利の上昇に110円台後半まで反発しています。
5月の個人消費支出はほぼ横ばいでした。個人所得は「-2.0%」と、2カ月連続のマイナスとなり、個人支出は「0.0%」でした。個人所得の大幅なマイナスは政府の経済対策による個人給付金を背景に、3月が急騰していた影響と見られています。またPCEコア指数は前月比「0.5%」でしたが、前年同月比では「3.4%」と、1991年以来となる高い伸びでした。FRBによるテーパリング開始の時期が早まるといった見方もやや下火になった印象ですが、消費者物価指数の高水準は続いており、さらにWTI原油価格も上昇傾向を見せています。同指数は先週末にNY市場では引け値で74ドル台に乗せて、取り引きを終えています。
18日のブラード・セントルイス連銀総裁の発言、「ブラード・ショック」に株式市場が大きく下落しましたが、先週はその下落分をほぼ埋め、ナスダッックとS&P500は最高値を更新する勢いを見せていました。恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」も、一時14.19前後まで低下し、今年の最低水準近辺で推移しています。市場では再び「リスクオン」ムードが高まり、投資家は株式市場へ資金を振り向けているものと思われます。FRBがいずれ、資産購入を減らすテーパリングに踏み切ることは間違いなく、いわば時間の問題と言えます。FRBは今後、利上げと株価の安定という難しいオペレーションを迫られることになります。注目点は、パウエル議長が繰り返し述べているように、物価上昇が一時的な現象なのかどうかといった点と、労働市場の回復スピードです。パウエル議長は、労働市場についても秋口からの回復に自信を見せています。今週末には早くも6月の雇用統計が発表されますが、これまで以上に注目されそうです。
トランプ前大統領が再びメディアに登場してきました。テレビ画面で観た限りではやややせた印象でしたが、トランプ氏は26日、オハイオ州クリーブランド郊外で開いた集会で演説を行いました。ブルームバーグはその状況を、「トランプ氏は昨年の大統領選挙の結果を巡る不満を再び漏らし、誇張された主張をあらためて展開した。また、来年の中間選挙に向けて自身が推す候補者への支持を聴衆に呼び掛けた」と報じています。トランプ氏は演説で、「われわれはこの選挙に2度勝った。3回目も勝利しなければならないかもしれない」と述べ、演説は1時間半に及び、前政権時代の実績を延々と語り、バイデン政権の実績を厳しく批判する中で、昨年の大統領選が盗まれたと、根拠のない主張を何度も繰り返したとのことです。集会には若者も含めた熱狂的なトランプ支持者が多く集まり、分断された米国という事実を、あらためて見せられた気がします。2024年の米大統領選にバイデン氏が出馬することはないでしょうが、もしかしたら、「ハリス対トランプ」の対決になるかもしれません。
今週は何と言っても2日(金)の雇用統計が最大イベントになります。その前にはISM製造業景況感指数もあり、今週後半は再び荒っぽい動きも想定されます。ドル円は米景気の回復を確認し、111円台を固める動きになるのか。あるいは、111円台で再び「壁」を作り110円を挟む展開になるのか、引き続き微妙な値位置にいます。
本日のドル円は110円40銭~111円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は朝方のPECデータを受け下落。110円48銭までドル売りが進んだが、株価や長期金利の上昇に、110円80銭近辺まで反発して越週。ユーロドルは方向感の欠ける展開が続く。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2021-06-28 09:45