【為替本日の注目点】ドル円再び111円台を回復

ドル円は111円台を回復し、111円12銭まで上昇。米金利の低下から110円台半ばまで売られたが、そこから切り返し、先月24日に記録した水準まで買われる。ユーロドルは続落。1.1845まで売られ、4月26日以来となるユーロ安を示現。株式市場はまちまち。S&P500は小幅ながらこの日も上昇し、5日連続で最高値を更新。ダウは210ドル上昇し、3万4500ドル台を回復。債券は朝方には買われ、長期金利は1.43%台まで低下したが、その後売られる。長期金利は1.46%台まで反発し、前日と同水準に。 金は反発し、原油は続伸。 6月ADP雇用者数          →  69.2万人 6月シカゴ購買部協会景気指数     →  66.1 5月中古住宅販売成約件数       →  8.0%    ドル/円  110.52 ~ 111.12 ユーロ/ドル 1.1845 ~ 1.1894 ユーロ/円  131.29 ~ 131.78 NYダウ  +210.22  → 34,502.31ドル GOLD 8.00  → 1,771.60ドル WTI  +0.49   → 73.47ドル 米10年国債 -0.002  → 1.468% 【本日の注目イベント】 豪   豪5月貿易収支 日   4-6月期月日銀短観 中   6月財新製造業PMI 中   中国共産党創建100周年記念日 独   独6月製造業PMI(改定値) 欧   ユーロ圏6月製造業PMI(改定値) 欧   ユーロ圏5月失業率 英   ベイリー・BOE総裁講演 米   新規失業保険申請件数 米   6月ISM製造業景況指数 米   6月マークイット製造業PMI(改定値) 米   6月自動車販売台数  米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、パネル討論に参加  ドル円は底堅い動きを見せ、再び111円台に乗せています。先月24日に付けた111円12銭まで上昇し、そのままこの日の高値圏で取り引きを終えました。特段目立ったドル買い材料は見当たらなかったものの、「月末要因と、テクニカルからドルが買われた」との説明ですが、要はドル高の流れが継続しているということです。ユーロドルでも「ドル高・ユーロ安」が進み、ユーロドルは1.1845まで下落。こちらは4月6日以来となるユーロ安水準です。ドル円はどうやら110円台を固めたようにも思えます。このまま111円台を維持し、さらに一段の上昇を見せるかどうかは、明日の雇用統計次第というところはありますが、主要通貨が足並みを揃えて「ドル高」を鮮明に映し出して来ており、特にユーロドルが1.18台半ばまで売られ、1.20台が徐々に遠くなって来たことが一つの「支え」になりそうなイメージです。  今日から7月です。今年もちょうど半分が終わったことになりますが、今年の前半を振り返ってみると、ドル安で始まり、ドル高で終わったことになります。1月6日には102円59銭までドルが売られ、昨日6月30日には111円12銭までドルが買われました。ほぼ今年の年初にドルの底値を記録し、6月末には今年のドルの最高値を記録したことになります。結局今年前半は上げ下げを繰り返しながらも、終始ドル高が続いたということです。  ADP雇用者数は市場予想を若干上回る「69.2万人」でした。部門別ではサービス部門の雇用が62万4000人増加しています。今回の新型コロナウイルスのパンデミックで最も被害を受けた娯楽・ホスピタリティー分野でのさらなる雇用増加が引き続き進んでいることを今回の統計は示唆しており、明日の雇用全体を押し上げるとの見方も浮上しています。ただ気を付けたいのは、繰り返しになりますが、ADP雇用者数と、明日の雇用統計は明確な相関関係はありません。  アトランタ連銀のボスティック総裁は講演で、「雇用の回復にはしばらく時間がかかるだろう」と述べ、インフレについては、制御不能なほど高進していないとしつつ、「注意を払う必要がある」との認識を示しました。またダラス連銀のカプラン総裁もブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、テーパリングについて、「市場に周知させたい。FOMCや公にも行われているこのテーパリング議論は良いものだと考えている」と語り、「そうした調整が近く行われると市場に認識させることになる。ここで唯一問題になるのはその時期だ」と述べました。誰しもが知りたいその「時期」でしたが、カプラン総裁は「sooner or later」(遅かれ、早かれ)と述べるに留まり、明言を避けました。その上で、2013年の「テーパー・タントラム」(資産購入縮小に伴う市場のかんしゃく)は避けるべきだと述べています。いずれもテーパリングは近い将来行われることから、投資家はその準備を怠らず、混乱を避けるよう促した発言と捉えることが出来ます。「最もタカ派的」な市場予想は、今月のFOMCでテーパリングを示唆し、8月のジャクソンホールで正式にテーパリングを宣言し、11月に開始するというものですが、筆者は個人的に組みしません。労働市場の回復を少なくとも2~3回ほど確認し、手ごたえを得た上でテーパリングを宣言すると予想し、早くても12月。労働市場の状況によっては2022年になる可能性もあるのではないかと考えています。もっとも、明日の雇用統計が上振れするようだと、テーパリング開始議論が一気に熱を帯び、先走ることもないとは言えませんが。 本日のドル円は110円80銭~111円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は111円台を回復し、111円12銭まで上昇。米金利の低下から110円台半ばまで売られたが、そこから切り返し、先月24日に記録した水準まで買われる。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-07-01 10:15