【為替本日の注目点】ドル円昨年3月26日以来の111円台半ば超え

 ドル円は続伸し、2020年3月26日以来となる111円64銭まで上昇。米長期金利は低下したものの、ポンドドルでドル高が進んだことが影響した。  ユーロドルでもドル高が進んだが、小幅に留まる。1.1841までユーロが売られたものの、さらに下値を試す動きにつながらず。  BOEのベイリー総裁は、一時的なインフレの加速には過剰反応すべきではないと発言。ポンドドルは1.38台前半から1.3760近辺まで下落。  債券は続伸。長期金利は1.43%台へと低下。金は続伸。原油も大幅に続伸し、一時は76ドル台に乗せる。引け値は75ドル前半まで下げたが、OPECプラスでは減産で合意したものの、UAEが反対するなど、先行きは不透明。 新規失業保険申請件数          → 36.4万件 6月ISM製造業景況指数        → 60.6 6月マークイット製造業PMI(改定値) → 62.1 ドル/円       111.35   ~ 111.64 ユーロ/ドル     1.1841   ~ 1.1884 ユーロ/円      132.05   ~ 132.43 NYダウ      +131.02   → 34,633.53ドル GOLD      +5.20     → 1,776.80ドル WTI       +1.76     → 75.23ドル 米10年国債    -0.010    → 1.432% 【本日の注目イベント】 ◆欧  ユーロ圏5月生産者物価指数 ◆欧  ラガルド・ECB総裁講演 ◆米  6月雇用統計 ◆米  5月貿易収支 ◆米  5月製造業受注 ◆加  カナダ5月貿易収支 ◆加  カナダ5月住宅建設許可件数  堅調に推移しているドル円はNY市場でさらに上値を伸ばし、111円64銭までドル高が進みました。これは2020年3月26日以来のドル高水準です。NY市場では債券が買われ、長期金利も低下し、さらにドルと逆相関の動きを見せることの多い金(きん)も買われた中での「ドル高・円安」でした。ポンドドルで「ドル高・ポンド安」が進み、その影響を受けた格好です。  BOEのベイリー総裁はロンドンでの講演で、政策当局は一時的なインフレ高進に過剰反応すべきではないと述べ、BOEが近く引き締めに動くとの観測が打ち消されたことで、ポンドが売られました。  総裁は、「最近のインフレ加速の一部は、前年の物価水準が低いことによるベース効果および、新型コロナウイルス対策の行動制限の緩和に伴う需給ひっ迫によるものであり、こうした影響は長続きしないはずだ」と指摘しました。  さらに、「現時点では金融環境の早すぎるタイト化によって回復が損なわれないことが重要だ」と続けています。(ブルームバーグ)こうした発言が、BOEが2%を超えるインフレ率を容認するとの観測を強めたようです。英国の直近のCPIは前年同月比で「2.1%」、コア指数でも「2.0%」と、高水準で推移しており、市場では金融正常化への期待も膨らんでいました。ベイリー総裁の発言は、FRBにとっても心強い援軍で、発言内容はパウエル議長の考えと一致しているように受け止められます。  もっともドル円が続伸した背景には、米景気の堅調な回復を示す指標の影響もあったと見られます。昨日発表された新規失業保険申請件数は「36.4万件」と市場予想を下回り、新型コロナウイルス感染がパンデミックとなって以降の最小件数を更新しました。  申請件数が減少したということは、裏を返せばそれだけ職に就いた人が多いということになり、今夜発表の雇用統計にも期待が膨らみます。ただ今夜の数字は、6月12日を含む1週間の数字で速報値です。その週では失業保険申請件数(41.8万件)はまだそれほど減少していなかったこともあり、影響が出るとしても来月あたりからの可能性もあるため注意は必要です。  ISM製造業景況感指数も昨日発表されました。  6月の総合指数はやや鈍化していましたが、堅調なペースの拡大は維持しています。仕入れ価格指数が急上昇し、「92.1」と、約42年ぶりの高水準だった一方、雇用指数は「49.9」と、今年の最小となっています。製造業では人手不足が依然として続いていると見られます。  今夜発表の6月雇用統計では、非農業部門雇用者数が「72万人」と、これまでの「70万人」からさらに増加していると、予想が「上方修正」されています。市場予想通りなら3月以来の大きな伸びとなりますが、4月、5月の数字はいずれも予想を下回り、市場はやや暗い雰囲気に包まれました。そのため、「警戒ムードは漂っており、慎重ながらも楽観的だ」とブルームバーグは伝えています。テーパリング開始観測が一気に強まるのか結果が気になるところですが、仮に予想を上振れするようだと、株と債券が売られ、金利上昇に伴いドル円は112円を試す展開も予想されます。もちろん、予想を下回ればその逆の動きになりますが、それでもドル円が大きく売られる可能性はそれほど高くはないと見ています。もし112円をテストするような展開になれば、いよいよ「月足」の雲の上限が近くなってきます。  本日のドル円は111円~112円といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続伸し、2020年3月26日以来となる111円64銭まで上昇。米長期金利は低下したものの、ポンドドルでドル高が
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2021-07-02 09:45