【為替本日の注目点】NYダウ一時3万5千ドル台に

ドル円は小幅な値動きながら底堅い。株価が堅調に推移したこともあり、110円台前半から半ばで小動き。ユーロドルは1.18台半ばを中心に大きな動きもなく、ユーロ円では上昇。株式市場は2日連続で3指数が揃って最高値を更新。ダウは午後3万5000ドルの大台に乗せる場面があったが、終り値では維持できず。債券は小動きの中、長期金利はほぼ横ばい。金と原油はともに反落。 ドル/円  110.11 ~ 110.40 ユーロ/ドル 1.1838 ~ 1.1874 ユーロ/円  130.46 ~ 130.99 NYダウ  +126.02  → 34,996.18ドル GOLD -4.70  → 1,805.90ドル WTI  -0.46   → 74.10ドル 米10年国債 +0.005  → 1.364% 【本日の注目イベント】 中   中国 6月貿易統計 独   独6月消費者物価指数 米   6月消費者物価指数 米   6月財政収支 米   企業決算 → ゴールドマン、JPモルガン、ペプシコ  NY株が堅調に推移していることもありややリスクオンの流れが強まる中、ドル円は110円台前半から半ばで大きな動きは見られません。ユーロドルも先週は1.18台を割り込みましたが、下落も一服です。パウエルFRB議長の議会証言を明日に控えていることから、市場は様子見ムードが広がったようです。ダウは引けにかけて一時、初の3万5000ドルの大台に乗せる場面がありましたが、引け値では大台に届いていません。ただ、先週末に続き3指数が揃って最高値を更新するなど、堅調な動きを見せています。米長期金利が下げ続け、先週は1.25%を下回る水準まで低下しました。金利低下を歓迎する形で株価が上昇したことは理にかなっていますが、金利が反発してもNYから聞こえてくる声は、「急ピッチの金利低下に歯止めがかかったことで、株が一斉に買われた」といったもので、何やら「買う材料」を無理やり作り上げているような印象です。基本は、長い間続いた超金融緩和による「カネ余り状況が続いている」ということのようです。出遅れ感満載の日本株も昨日は大幅高を見せましたが、それでも2万8569円。ドルと円の違いはあるものの、かたや3万5000と、その差は開く一方です。  イエレン財務長官は12日ユーロ圏財務相会合で演説を行い、中国とロシアと向き合うための支援をEUに要請し、米国とEUとの関係を修復する必要性を新たに主張しました。イエレン氏は、「開放性と公正な競争、透明性、説明責任の原則に対する脅威に、われわれは一体となって立ち向かう必要がある」と指摘し、「こうした課題には、中国の不公正な経済慣行や有害な行動、人権侵害のほか、ベラルーシのルカシェンコ政権下で続く不正など、さらに拡大している有害な行動が含まれる」と述べ、中国とロシアに対しこれまでになく辛辣は批判を展開したとブルームバーグは報じています。このような発言は財務長官としてはやや異例で通常、国務長官から発せられることが普通ですが、バイデン大統領の外交政策を反映しているものと思われます。  ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は講演で、目標を上回るインフレ率に言及し、「一過性のものだとの考えに、私は同感だ」と述べ、先行き持続的なベースでどの程度インフレになるのか、「最も重要な要素は労働市場だと考える」と発言しています。FRBの首脳が、足元の高いインフレ率は一時的なものだとし、労働市場の行方を注視していることを代弁したようにも思えますが、明日のパウエル議長の議会証言でも同様な発言が予想されます。またリッチモンド連銀のバーキン総裁もウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙とのインタビューで、当局が緩和策の縮小時期を決める上で、就業率が重要だと述べ、「債券購入の縮小を始めるには59%を上回る程度の就業率が望ましい」との考えを示しています。  先週109円台ミドルまで売られたドル円でしたが、その要因は米長期金利の急低下でした。想定を超えるような金利低下でしたが、やはりドル円との相関が強いことも確認された形です。従って今後ドル円が再び上昇し、111円あるいは112円台に乗せるには米長期金利の上昇が不可欠だということです。  2021年も前半が終わり、ここからの半年は「FRBの金融政策の変更」が最大のテーマです。その時期を巡り米長期金利が上下することになりますが、今後米長期金利が1%を割り込むことは、まずないと考えれば、ここから下がっても30ベーシスが限界で、一方上昇については50ベーシス以上も無いとは言えません。そう考えると、ドル円の下値も限られてくるのではないかと思われます。もっとも、「デルタ株」といった、米長期金利以外の要素も無いとは言えませんが、少なくとも昨年12月に見られたように、1日で30万人以上の新規感染者が出るような事態は想定しづらいと思います。 本日のドル円は110円~110円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小幅な値動きながら底堅い。株価が堅調に推移したこともあり、110円台前半から半ばで小動き。ユーロドルは1.18台半ばを中心に大きな動きもなく、ユーロ円では上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-07-13 10:00