【為替本日の注目点】米6月のCPI、13年ぶりの高水準

ドル円は続伸。長期金利の上昇にドルが買われ、110円65銭までドル高が進む。
ユーロドルは売られ、1.1772前後までドル高が進み、約3カ月ぶりのユーロ安水準に。
株式市場は3指数が揃って反落。ダウは朝方3万5千ドルに乗せる場面もあったがその後値を崩し、107ドル安で引ける。
債券は続落。30年債の入札が不調に終わり金利が上昇。長期金利は1.41%台まで上昇。金と原油はともに反発。
6月消費者物価指数 → 0.9%
6月財政収支 → -1742億ドル
ドル/円 110.21 ~ 110.65
ユーロ/ドル 1.1772 ~ 1.1851
ユーロ/円 130.24 ~ 130.63
NYダウ -107.39 → 34,888.79ドル
GOLD +4.00 → 1,809.90ドル
WTI +1.15 → 75.25ドル
米10年国債 +0.052 → 1.417%
【本日の注目イベント】
豪 豪7月ウエストパック消費者信頼感指数
日 5月鉱工業生産(確定値)
トルコ トルコ政策金利発表
欧 ユーロ圏5月鉱工業生産
英 英6月消費者物価指数
英 英6月生産者物価指数
米 6月生産者物価指数
米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
米 パウエル・FRB議長、下院金融委員会で証言
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加
米 企業決算 → バンクオブアメリカ、ウェルズファーゴ、ブラックロック、
シティグループ、デルタ航空
加 カナダ中銀政策金利発表
ドル円は110円台半ばを超え、110円65銭まで買われています。大きな値動きはなかったものの、主要通貨では概ねドルが買われ、ユーロドルも1.1772前後まで売られ、4月以来となる「ドル高」水準を記録しています。6月のCPIが前月比で「0.9%」上昇し、2008年以来となる高水準でした。前月の「0.6%」を超えただけではなく、市場予想も上回りFRBの金融政策に影響を与えるとの見方も強まっています。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIも前月比「0.9%」上昇しており、インフレ圧力はさらに強まっていると見られます。項目別では中古車やホテル宿泊、レンタカー、航空運賃などが大きく上昇しており、原油高を反映し、ガソリン価格も上昇しました。
総じて見れば、ワクチン接種が進み、行動制限が解除された影響が如実に出ていることが窺えます。
ただそれでもFOMCのメンバーはそれほど懸念していないようです。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、6月のCPIが大幅に上昇したのは想定内の「上振れ」だと述べる一方で、金融当局は年末までに大型資産購入の段階的な縮小を開始できる可能性があるとCNBCとのインタビューで答えています。
デーリー総裁は、「恐らく年末か来年早々にはテーパリングの状況が整うだろうというのが、私の見解だ」と述べ、「資産購入を段階的に縮小し、経済に供給してきた緩和の一部を引き揚げることについて協議を始めるには適切だ」と述べる一方、利上げについて協議するには「極めて時期尚早な段階だ」と語っています。
またリッチモンド連銀のバーキン総裁は、低所得労働者の賃金上昇がインフレ圧力に寄与しつつあると指摘し、「より持続的な変化の見通しは9月末までには明らかになる」と語っています。(ブルームバーグ)
両総裁は今年のFOMCでの投票権を有しています。
さらに最も「タカ派寄り」と見られる、セントルイス連銀のブラード総裁はウォールストリートジャーナル(WSJ)紙とのインタビューで、「米経済が7%の成長を遂げ、新型コロナウイルス流行がますます制御されつつある今、緊急措置を縮小する潮時だと思う」と述べた上で、「明日、開始する必要はないが、FOMC内で機が熟したとの見解が共有されれば、態勢は整っていると思う」と語っています。
米国では早くも第2四半期の決算発表が始まりました。
昨日第一陣で発表を行ったJPモルガンとゴールドマンはともに好決算を発表しています。JPモルガンは投資銀行部門がM&Aなどで手数料収入を大きく伸ばし、ゴールドマンは同じく投資銀行部門の収益を伸ばし、特にM&A助言では83%の手数料収入増となっています。米国はコロナ禍からいち早く脱却し、株式市場では連日「最高値」が続き、企業もアフターコロナを見すえ、積極的に経営資源の再配分を行っています。今年上期の世界のM&Aは過去最高の2兆5000億ドル(約276兆円)にも上っており、この傾向は当面続くものと見られています。
仮に手数料が1%としても、3兆円余りの手数料がどこかの投資銀行部門に落とされる計算です。
予断ですが、筆者の娘も米大手コンサルに勤務していますが、この夏臨時ボーナスが出ると、はしゃいでいました。米国「一人勝ち」の様相とも言えそうです。
本日はパウエル議長の議会証言があります。
東部時間14日正午(日本時間15日午前1時)から開かれる下院金融委員会で行われます。注目されるのは、6月のCPIの上振れを受けてもなおまだ「物価上昇は一時的なもの」との認識を変えていないのかどうかといった点です。
その認識に変化があるかどうかで、テーパリング開始時期に微妙な影響を与える可能性があり、市場が過大に反応することにつながります。また今回の証言で、バイデン大統領は今後、パウエル議長続投の是非の検討に入る見通しだとブルームバーグは伝えています。パウエル氏の任期は来年2月で満了です。今回の証言はパウエル氏をテストする意味合いもあるのだと報じています。
本日はパウエル議長の議会証言をきっかけにドル買いが強まるのかどうか。ドル円は111円、ユーロドルは1.17台前半をテストすることになるのかどうかが注目されます。予想以上に冷静な認識を示すようだと債券が買われ、金利低下からドル円反落の可能性もあるかもしれません。
本日のドル円は110円20~111円10銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続伸。長期金利の上昇にドルが買われ、110円65銭までドル高が進む。ユーロドルは売られ、1.1772前後までドル高が進み、約3カ月ぶり
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2021-07-14 10:45