【為替本日の注目点】米長期金利再び1.3%近辺まで低下

アジア時間では109円台半ばを超える水準で推移していたドル円はNYで110円台に乗せる。米長期金利が再び1.3%前後まで低下したものの、ドルは小じっかり。ユーロドルは目立った動きもなく、1.18台前半で推移。株式市場は前日と同様にまちまちの展開。ダウは53ドル上昇したものの、ナスダックは続落。債券相場は続伸し、長期金利は再び1.3%を割り込む。金は続伸。原油は大幅に続落し71ドル台に。OPECプラスで減産合意が縮小され、供給が増えるとの見立て。
米 新規失業保険申請件数
米 6月輸入物価指数
米 7月フィラデルフィア連銀景況指数
米 6月鉱工業生産
米 6月設備稼働率
米 7月NY連銀製造景況業指数
ドル/円 109.79 ~ 110.08
ユーロ/ドル 1.1796 ~ 1.1823
ユーロ/円 129.60 ~ 130.05
NYダウ +53.79 → 34,987.02ドル
GOLD +4.00 → 1,829.00ドル
WTI -1.48 → 71.65ドル
米10年国債 -0.047 → 1.299%
【本日の注目イベント】
日 日銀金融政策決定会合
日 黒田日銀総裁記者会見
欧 ユーロ圏6月消費者物価指数
米 6月消費者物価指数
米 5月貿易収支
米 6月小売売上高
米 7月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶
米 財務長官とFRB議長、金融安定監視評議会の会合で住宅市場について議論
米 APEC非公式首脳会議(オンライン)、バイデン大統領、習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、菅首相らが参加
加 カナダ6月住宅建設許可件数
前日に続きこの日上院で議会証言を行ったパウエル議長は、引き続きハト派姿勢を堅持したことで米長期金利は1.3%を割り込む水準まで低下し、価格は上昇しました。ドル円はそれでも売り込まれることなく、NYでは一時110円台を回復する局面がありました。ただ主要通貨ではドル高が進んだことからクロス円全般ではやや円高方向へシフトしています。注目のパウエル議長の議会証言も終わり、来週は異例な状況の中での東京オリンピックが開催されることもあり、市場では材料難から値動きは限定されると思われます。
パウエル議長はこの日も、インフレが「心地よくない」水準で推移する中、米経済への支援を続ける金融当局のスタンスについて、その正当性を主張しました。議長は、「これは経済活動の再開に伴いシステム全体に衝撃が及んでいる状況であり、それが2%を大きく上回る水準にインフレ率を押し上げている。当局としてはもちろん、心地よくない」と述べ、このところの物価上昇については、「歴史において他に類を見ないものだ」と発言しています。またその上で高インフレについて、「一時的なものにとどまる限り、それに対応するのは理にかなっていない」と述べ、これまで通り価格上昇は一過性のものだとの見通しを改めて示しました。また資産購入の縮小を巡る議論についても言及し、「FOMCは6月の会合で、資産購入を縮小する可能性について議論を開始した。FOMCは今月27、28日に開く会合で、この議論をさらに進める」と、議長は語っています。(ブルームバーグ)6月の会合で議論を行ったことは既に明らかにしていましたが、引き続き今月の会合でも議論を重ねることを明言したことで、同会合の議事録や8月のジャクソンホールでのシンポジウムが一段と注目されることになりそうです。いずれにしても、「資産購入縮小開始の始まりの第一歩」を踏み出していることは間違いありません。
パウエル議長は前日の下院での証言で「資産購入の縮小を開始できるだけの『一段と顕著な進展』は見られない」と述べていましたが、FOMCメンバーの中では最も「タカ派」と目されているセントルイス連銀のブラード総裁は15日、ブルームバーグとのインタビューで「真逆な認識」を示しています。ブラード総裁は、「米金融当局はインフレと雇用の両方に関して『一段と顕著な進展』を遂げるという目標を達成した」とし、「テーパリングできる状況にあると考える。市場を動揺させるようなことは望んでいないが、こうした緊急措置を終了する時期だと思う」と述べ、景気刺激策の縮小で前進するよう求めました。
東京都を中心にコロナウイルス感染の「第4波」がじわじわと押し寄せています。感染の再拡大に伴い日本株が一段と「一人負け」の様相を強めており、足元では日本株が売られると、円高方向に動く傾向が確認されます。今朝の経済紙でも触れていましたが、コロナ後の成長を巡る主要国の財政支出では、その規模において日本は欧米の10分の1以下であり、しかも成長戦略にメリハリも効いていないと論評されています。これらは本来は円売り材料と見られますが、日本のアフターコロナはまだ先の話です。希望が持てればいいのですが・・・
本日のドル円は109円30銭~110円10銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
アジア時間では109円台半ばを超える水準で推移していたドル円はNYで110円台に乗せる。米長期金利が再び1.3%前後まで低下したものの、ドルは小じっかり。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-07-16 10:15