中国華北で大気汚染対策進まず、鉄鋼企業の7割が「排出基準違反」=中国

中国の5つの環境保護団体が21日、共同で発表した報告書から、大気汚染が深刻な中国華北地方で鉄鋼業やセメント産業などの汚染排出対策が進んでいない実態が明らかになった。中国紙「21世紀経済報道」が22日伝えた。
報告書は、北京市や天津市、山東省、河北省など12の都市で産業や家庭生活での石炭燃焼による影響を調査し、まとめたもの。「火力発電の分野で二酸化硫黄の排出削減対策が普及している以外は、鉄鋼業、ガラス産業、セメント産業で二酸化硫黄の排出対策がまだ本格化していない」と指摘している。大気中の二酸化硫黄は呼吸器を刺激し、せきや気管支炎などの障害を引き起こす。
特に鉄鋼業での排出状況は深刻で、華北地域にある鉄鋼企業の7割以上が国の排出汚染基準に違反している状態。排煙から二酸化硫黄を除去する排煙脱硫装置の導入には大きなコストがかかるため、一部企業では全く汚染対策をとっていないのが現状だという。
報告書ではこうした状況から、「データが不透明で、関係業界が対策に努力していないこと、管理監督がうまくいっていないことは、国民の関心の度合いと正比例する。華北の大気汚染対策を進めるには、国民の参与が重要だ」と指摘。特に排出が深刻な河北省に対し、「環境保護当局が積極的に情報を公開し、市民からの苦情などに対応するべきだ」と提言した。
北京には東京都の舛添要一知事が今月24日から訪中し、微小粒子状物質「PM2.5」対策などについて、王安順市長などと意見を交換する予定だ。中国の首都として大気汚染のイメージを早期に拭い去りたいという考えもあるだろう。ただ、問題は北京だけでは解決しない。周辺地域と連携し、日本の技術、経験も取り入れた積極的な対策が必要だ。(編集担当:古川弥生)(写真は「CNSPHOTO」提供)
中国の5つの環境保護団体が21日、共同で発表した報告書から、大気汚染が深刻な中国華北地方で鉄鋼業やセメント産業などの汚染排出対策が進んでいない実態が明らかになった。中国紙「21世紀経済報道」が22日伝えた。(写真は「CNSPHOTO」提供)
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2014-04-23 18:45