【為替本日の注目点】7月の米消費者マインド予想を大きく下回る

 ドル円は小幅ながら続伸。110円台で底堅く推移し、110円34銭までドルが買われる。ユーロドルは前日とほぼ水準が変わらず、1.18前後で小動き。株式市場は消費者マインドの下振れなどが影響し3指数が揃って下落。ダウは299ドル下げ、ナスダックは先週火曜日に最高値を記録して以降4日続落。債券は小動きながら底堅く推移。長期金利は1.29%とほぼ変わらず。金は3日ぶりに下落し、原油は反発。 6月小売売上高               →  0.6% 7月ミシガン大学消費者マインド(速報値)  →  80.8 ドル/円  110.04 ~ 110.34 ユーロ/ドル 1.1793 ~ 1.1817 ユーロ/円  129.88 ~ 130.28 NYダウ  -299.17  → 34,687.86ドル GOLD -14.00  → 1,815.00ドル WTI  +0.16   → 71.81ドル 米10年国債 -0.009  → 1.290% 【本日の注目イベント】 日   7月経済報告 米   7月NAHB住宅市場指数  発表された経済指標はまちまちでした。 7月のミシガン大学消費者マインド速報値は、市場予想を下回る「80.8」で、経済成長の持続性に対する懸念が意識され、株価を押し下げています。市場予想は「86.5」で、インフレは特に「低所得層と中間層において生活水準をさらに圧迫し、高所得層においても高額な裁量支出を見送る原因になった」とミシガン大学消費者調査の担当ディレクターは分析しています。中でも、住宅や自動車など耐久財購入を巡る消費者の見方を示す指数が「101」と、新型コロナウイルスがパンデミックとなって間もない昨年4月以来の低水準でした。  一方6月の小売売上高は予想に反して幅広い分野で増加が見られています。市場予想の「0.3%減少」に対して結果は「0.6%増加」でした。13分野のうち9分野で売上高が増加し、特に電気製品(3.3%増加)や衣料品(2.6%増加)、さらに飲食店の伸びも目立っています。ただここでも、自動車・同部品ディーラーの売上高は2%の減少でした。その理由として、サプライチェーン障害の影響で在庫が低くなっていることを反映しており、さらに世界的な半導体不足で自動車生産が抑制され、価格が押し上げられていることが影響していると見られているようです。(ブルームバーグ)  先週の経済紙に、ドル円は「米10年債利回り」に連動することは知られているが、このところの動きは、より短い「2年債利回り」により相関が強いとの記事がありました。もともと2年債は政策金利の影響を受けやすく、FRBによるテーパリングが強く意識され始めた6月15日から急騰していています。もちろんこの日は10年債利回りも上昇していますが、2年債の方がより上昇率が大きく、その後10年債と2年債との金利差は徐々に縮小しています。10年債が1.74%台まで急騰した3月での金利差は1.58%程ありましたが、足元では1.07%(10年債1.29%-2年債0.22)程に縮小しています。6月のFOMC以来、テーパリング開始の議論が急速に高まり、市場が金融正常化を織り込み始めたことで金利差が縮小しています。この傾向はFRBがテーパリング開始を正式に宣言するあたりまでは続くと見られます。  一方、1.74%台まで急騰した10年債利回りは低下傾向が続き、先週は1.4%台から1.3%を割り込む水準まで低下してきました長期に渡る金融緩和政策の影響から市場にあふれた資金が、相対的な金利の高さに加え、流動性や安全性などの観点から米国債に向かっていると見られますが、FRBによる金融正常化への舵の切り直しは、遅かれ早かれ実施されることは分かっていますが、足元のコロナ変異種の世界的な拡大が再び投資家を安全資産に向かわせている可能性もあります。債券ディーラーの見方では「1.25%が分水嶺」だといった見方があります。仮に10年債が1.25%を割り込むようだと、米国を中心に再び経済活動への制限措置が発せられている可能性が考えられます。  今週は異例な状況の中、いよいよ東京オリンピックが開幕します。  東京市場は22日(木)から休みに入るため、今週は3日しか営業日がありません。常識的には「夏枯れ」相場を想定していますが、これまでの夏と異なるのは、テーパリング開始時期への関心度の高さです。今週は「無風」でも、来週にはFOMCが開催されます。FOMCと8月のジャクソンホールでの内容からテーパリング開始時期を巡り、例年以上に暑い夏になるかもしれません。 本日のドル円は109円50銭~110円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小幅ながら続伸。110円台で底堅く推移し、110円34銭までドルが買われる。株式市場は消費者マインドの下振れなどが影響し3指数が揃って下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-07-19 10:15